リモートワークで新人は育てられる?-オンライン新人研修のコツと注意点-(ウェビナーレポート)
この記事では、2021年11月10日に株式会社OneColorsが開催した「リモートワークで新人は育てられる?-オンライン新人研修のコツと注意点-」のウェビナーをレポートしていきます!
講師:伊藤 記事:吉田 編集:田所
▼動画で視聴したい方はこちらから
https://hb.one-colors.jp/webinar-archive20211110
コロナ禍でオンライン化やリモートワークが進む中、新入社員と会社の両方にとって効率よく価値の高い研修を目指すためにはどんなことを意識し、実践すればいいのでしょうか。
新人研修を行う上で抱えがちな課題からそれに対する考え方や対策まで、今回は解説していきます。
1.コロナ禍で人事が抱える悩み/新入社員が持つ意識
まずはコロナ禍の中で、人事側が求める人材の変化や新たに抱えることになった問題点について、データを元にしながら考えてみたいと思います。
今までのやり方では通用しなくなってきている
実際に人事担当の方たちが持つ悩みを聞くと、
・テレワークの増加により教えるべきマインドや行動の定義が今までのモノでは通用しなくなっている
・コミュニケーションや繋がり不足により帰属意識や競争心が生まれにくい
・つながり不足による、チームワークや団結力、良い意味での競争心理不足を感じる
といった意見が多くありました。
実際に顔を合わせ、コミュニケーションをとりながら仕事をするという機会が少なくなったことで、大切にすべき判断基準、行動指針を見直す必要があると感じている人事の方も多いのではないでしょうか。
また、会社内、チーム内でちょっとした雑談をする機会も減少し、表面上の付き合いになってしまっているように感じられているのかもしれません。
新入社員は期待と不安を持っている
一方で、新入社員の意識を見てみると、
・「環境変化に適応できるかどうか」に不安を抱える新入社員が減少している
・新しい人間関係やその構築方法に対する期待が高まっている
などといった傾向が見られています。
大学の講義などもオンラインで行われることが増え、学習環境の変化への適応を求められるようになったことで、環境の変化に対する抵抗感が下がったのではないかと考えられます。
しかし一方で、学生時代に他人との繋がりが薄くなったように感じている新入社員も多く、初めての職場や環境での新しい人間関係への期待、社会での人間関係の構築方法に対する不安を持つ人が多いようです。
2.オンライン研修の現状と特徴
ここまでで解説してきた内容から、人事側、新入社員側が抱えるそれぞれの悩みに合わせ、研修も変化していく必要があると考えられます。
オンライン研修を増やした企業は全体の3/4
実際、この一年で全体の3/4もの企業がオンライン研修を増やしたことがデータとしてわかっています。
ではこのコロナ禍において、社内でのオンライン研修はどのように行われているのでしょうか?
時間効率が良いが、「受け身になりがち」「交流しづらい」と言った声も
次にオンライン研修の現状と特徴について解説していきます。
この記事を読まれている皆様も体感されていると思いますが、現在のオンライン講義でのメリットは時間が削減できること、スケジュールが調整しやすいこと、画面共有によるデジタルでの情報の共有が行いやすいこと、などが挙げられ、オフラインでの研修に比べて時間や手間を省いて効率的に研修を行えていることが分かります。
一方で、デメリットとしては聞くだけの受け身の受講になりやすい、受講者同士の交流が難しい、積極的に発言しにくい、などが挙げられています。やはりオンライン上でのやりとりでは会話や相手の間などを読みながら会話を盛り上げていくことは難しく、研修を行う側もコミュニケーションや交流を活発にするきっかけ作りをしていくことが課題であると考えられます。
実際に受講した新入社員の声「学習目標を8割以上達成」
では、実際に研修を受講する新入社員側は、オンラインでの研修に対してどのように感じているのでしょうか。
アンケートによると、オンライン研修で学習目標を8割以上達成したと感じた新入社員の割合は46.5%で、対面での集合研修時と比較して劣っていないことが分かります。
今後はオンライン研修の質がより求められるように
また、オンラインでの集合研修で成果が出ていない企業であっても65%の企業が今後も研修をオンラインに置き換えていきたいと考えており、オンライン研修がメジャーになることでその質がより求められるようになると考えられます。
ここまでの解説から、会社や新入社員のために今まで以上にオンライン研修に力を入れることの重要性を感じていただけたかと思います。
ではどうすれば、より効果的に研修を行うことができるのでしょうか。
そのヒントを、次の項目からお話ししていきます。
3.研修の効果を高めるには
突然ですが今この記事を読んでくださっている人事の方は、オンライン研修の前後、新入社員に対して何か特別な働きかけやフォローは実施されているでしょうか?
オンライン研修は、研修前後のフォローが大事?
次の表をご覧ください。
オンラインでの集合研修に対し、研修前後の働きかけを行っているかどうかを表しています。
オンライン集合研修の前後に事前学習や事後フォローを実施している企業は、追加でオンラインでの学習を行ったり、動画コンテンツや資料の配布をして自己学習を促したりといった働きかけを行っていることが分かります。
しかし、オンライン研修に対して3割以上の企業が特に事前学習や事後フォローを行っていないということも現状です。
ここに、オンラインでの集合研修の効果を高めるためのポイントがあるのです。
研修後のフォローが成果に繋がりやすい
こちらはオンライン研修とその前後の働きかけに対する受講者の満足度を調べた調査です。
調査によるとオンライン研修後のフォローは、受講者の満足度が高く成果に繋がりやすいと感じていることが分かります。しかし、残念ながら実施率が低いのが現状です。
研修で学んだことがきちんと身についているのか、どのように現場で活かすのかといった振り返りをする機会となるようなフォローを研修後に行うことで、研修の効果をぐんと高めることのできる可能性があるのです。
また、ATD(Association for Talent Development)という世界最大の人材・組織開発に関するNPOの会員制組織で発表されている、学習(研修)効果への影響要因に関する実際のデータにもこういったものがあります。
研修効果を高める要素ランキング
上記の表から、上司が研修前、研修後に与える影響が学習効果に影響を与える要因の1、3位に位置していることが分かります。
上司から新入社員へ研修前に研修への期待や目的に関する会話を行ったり、研修後に研修内容や学び、今後への活用方法に関して擦り合わせを行い、行動を促したりするといった、上司による直接的なコミュニケーション、フォローが重要であると考えられています。
加えてこの表では、講師が研修前に与える影響も大きいことが示されています。
ただ淡々と研修を実施するのではなく、どのような人材が参加し、どのようなことが目的で研修を行うのかという点を、上司だけでなく講師も正しく認識し、事前課題や当日の研修に反映させていくことが必要です。
そのため、上司と講師が事前にコミュニケーションをとり、お互いの目指す方向を同じに定めておくといいでしょう。
上司や講師に関する要因の他にも、ATDで紹介されている学習効果を高める方法を一部紹介すると、
・受講生が自分自身の学習に対して責任を取る
・受講者の研修準備に関する指導を受講生の上司に行う
・受講生が内省し、行動計画を立てる時間を設ける
といった点が挙げられています。
研修が無駄になりかねない3つの要因
反対に学習を無駄にしてしまう可能性として注意すべき要因も紹介されており、
・受講生の学習意欲が低い
・組織的なサポートが弱い
・十分に実践練習ができていない
などが挙げられています。
これらの項目はなるべく排除できるように努める必要があります。
加えて研修を考える際に意識するといい要素としては、
・研修前の学習への期待感
・研修中の没入感や効力感
・研修後の行動変容
があり、以上の点を新入社員が感じ、吸収することができるような工夫を考えて研修に組み込んでいくことが必要です。
オンライン研修はその前後の働きかけも含め、1つの研修と考えるようにするのがポイントなのではないでしょうか。
4.課題解決への3つのステップ
ここまでで研修に必要な要素や落とし穴を解説してきましたが、では実際にどのようにして研修を組み立てていけばよいのでしょうか。
新卒が自律し、研修を自分事として捉えて効果的に学習をしていくための研修作りに関して、抑えるべき3つのポイントがあります。それは、
・マインドセット(理念浸透)
・ワーク中心の実践型研修
・日々の行動への反映(定期的な実践後の振り返り)
というものです。
ここでは、以上の意識すべき3つのポイントを踏まえ、研修計画のステップを順に解説していきます。
①マインドセット(理念浸透)
研修を効果的に行うにあたり、会社の方向性や人事と上司の方向性が一貫していることが不可欠です。どういったことを達成するために、どういった期間、どの程度の力を注いで教育を行っていくのか。そういった会社の価値観と個人(研修を行う人事や上司)の価値観の擦り合わせができて初めて、研修の土台が完成します。
②戦略的な育成体系の設計
先ほどのステップで決めた研修の方向性を踏まえ、実際にどのように研修を進めるのか具体的に計画を立てていきます。手段はもちろんのこと、ここまで重要だと解説してきた上司や講師の研修前後のフォローや受講者が受け身にならないような仕掛けについても考慮し、優先順位をつけて設計を進めていくことがポイントです。
③インプットと実践を繰り返す育成
ここまでのステップで理念や育成体系を強化して作成してきた研修を、実施するのみで完結させてしまうのは大変もったいないです。研修でおこなった内容が実践の場で活かされているのかどうか、新入社員自らが振り返る機会や、上司などからフィードバックを得ることのできる機会を作り、研修内容がより効果的に身につくようにアフターフォローを継続していきましょう。
弊社OneColorsでも、このステップに則った研修計画のサポートをさせていただいております!
BRAND BOOK PROJECTでは、経営者様の想いを言語化してストーリー化し、理念浸透のための教科書を作成するというサポートをさせていただいています。
社長、経営層、マネージャー、社員の誰が読んでも理解し同じ方向を向くことができるようなBRAND BOOKを作成します。しかしただ作成するだけでなく、制作の過程でミドル人材を巻き込んでエバンジェリスト化を図ることで、より理念や想いが会社に伝わりやすくなるような仕組みを作っています。
その後、制作したBRAND BOOKを用いて、教育研修のプログラム作成のサポートまで行っています!
ただフォーマットをご提供して埋めていただく、というサポートではなく、それぞれの企業様の現状や想いをヒアリングし、整理しながら施策を共に考えていきます。
気になった方は、是非弊社にお声がけくださいね。
お問い合わせはこちらから→https://one-colors.jp/contact/
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
オンライン化が進む中での研修への捉え方や意識するポイント、注意点などを少しでも理解していただけていれば幸いです。
より効果的に研修を行うために、上司と講師がしっかりと連携を取り、研修前後を含めて受講者を巻き込んだ研修を意識されてみてください。
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