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Interview : WETNAP in August 2020.

「パンク」は社会の不正義や不条理に抗い、自身の意思を表明・対話・連帯する音楽であり生き方と筆者は考えています。「WETNAP」の怒りを解き放つ女性Voのスクリーミングと、苦悩と対峙するようながなり声男性Voが突進するビートに乗せる優しさあるメロディには、ハードな環境の中でポジティブさを見失わいための意志といたわりを感じます。D.C.ハードコアパンクカルチャーにも通ずるセンスフルな音楽性とアートワークも魅力的な彼・彼女たちの音楽愛にまつわるエピソード満載のテキストです!

▼ 1st S/T e.p. Cassette bandcampリンク ▼

▽こんにちは。初めまして、新宿ナインスパイスの佐藤です。最初にメンバーのみなさんそれぞれから自己紹介をお願いします。

アサノ:アサノ、30歳です。

黒坂:黒坂です。クロッシュやくろちゃんと呼ばれています。WETNAPではベースと自分が歌っている曲の作曲(アイデア出し…?)をしています

小池:ドラムの小池祐希です!!!

▽みなさんのことは、昨年3月にリリースされた1st EP CassetteがRAFT RECORD(横浜・横須賀を中心にサッドなフィーリングのメロディックパンクを中心にリリースするLABEL & DISTRO)で取り扱われていたり、やはり昨年3月に上野で行われたスタジオライブ(w / ControlPROM)の告知のフライヤーを見かけたりして知りました。

▼controlとWETNAPのダブルリリースパーティーとして行われたスタジオライブ▼

その後みなさんのbandcampでEPの一曲目「Now, I know」を聴き、DAG NASTYみたいでメロディアスなパンクでかっこいい!と、とても印象に残りました。

▼ 1st S/T e.p. Cassette ▼

WETNAPはどのように結成されたのでしょうか?また、みなさんはこれまでどのような音楽活動をされてきたのか伺いたいです。

アサノ:WETNAPの結成の経緯は、2018年の3月に以前私(アサノ)がやっていたVOTZCOというバンドを解散し、新バンドをやる為、メンバーを探しから。5月頃に、たまたま母校にて在学生が主催するスタジオライブに、友人と遊びに行った際、小池くんのドラムをはじめて見て、バンドに誘いたいなと思いました。

同時期に、彼がボーカルを務めるバンド”GAKUDAMA”の音源をSNSで聞いたり、ツイッターにてFLASH LIGHT EXPERIENCEのライブ映像を投稿しているのを見たりして、彼の事を少し気になっていた気がします。私のLAZYさ故、彼をバンドに誘うのは、それから2ヶ月くらい経ちます。

黒坂さんは、もともとVOTZCOの時から交流がありました。6月に黒坂さんが企画した2 LAZY BOYSの来日パーティー後、酒を一緒に呑んでいたTHE GUAYSのヒロシに「ぜったい黒坂と一緒にやったほうがええで」と後押しされたのが、決定打になりました。その後わりとすぐ、黒坂さんを誘い、黒坂さんには、絶対誘いたいドラムがいるんだけど、まだ仲良くなってないから、少し待って欲しいとだけ伝えていました。

その同時期に、グアイズから企画に出ないかと誘ってもらいました。勿論まだドラムも決まっていなかったので、話は流れました。今思えば、グアイズは私のケツを叩く意味もあり、誘ってくれたのかなとも思います。その後、黒坂さんから「バンドをやるって話は、本当なんですか」とケツを叩かれ、小池くんに連絡をし、ナインスパイス休憩中の彼を呼び出し、ナインスパイスの階段の上で、彼を誘い、即答で了解してくれました。すぐ3人でスタジオへ入り、テープにも収録したNow, I knowを3人で合わせた時、やるっきゃねえなと思った事を記憶しています。

一度流れたグアイズのライブに、私がどうしても出たいと言って、2人に快諾してもらい、グアイズのキャプテンを呼び出して、「やっぱり出してくれ」とお願いしました。確かその時、まだ色んな候補の中から、バンド名が決まっていなかったのですが、キャプテンに先走って、私が出した案のWETNAPというバンド名だと伝えてしまった記憶があります。ライブまで残り1ヶ月ちょいだったと思うんですが、初ライブでは、5曲やったのですが、うち4曲は今もやっている曲です。

ダラダラといたずらに長くなりすぎました、すいません。初ライブ後、わりとすぐに富山でディストロをやっているエンドーという男に、Flowerzombiesと一緒にライブに来ないかと誘ってもらい、それに間に合わせようと音源を録った感じです。 (結果、富山でのライブには音源間に合わなかったです)

WETNAPの3ピースという編成ながらとても表情豊かな楽曲と各楽器のフレージングやアレンジメントからは、様々な時代と場所で産まれてきたハードコアパンクバンドの意匠を強く感じます。ぜひメンバーのみなさんがそれぞれ大好きなハードコアパンクの曲やアルバムを紹介いただきたいです!そしてそんなパンクの盤が手に入るおすすめのレコード屋がありましたらそちらもお教えていただけると嬉しいです。

アサノ:

▼ MAN★FRIDAY "DISCO-GRAPHY 1999-2001" ▼

▼ Jawbreaker ”Unfun” ▼

甲府のstreet justiceというお店で、高校生の頃、買いました。

黒坂:パンク、ハードコア、インディー、オルタナ等の中間にあるバンドが好きなので色々聴いてしまうのですが、その点で言うとDeep woundが1番憧れている存在かもしれません。

▼ Deep Wound ‎– Deep Wound (Discography) 2006 (1982-1983) ▼

現行のハードコアだとfeel itからリリースしていたFried Eggのサウンドにバチバチにやられました。

▼ Fried Egg - Square One ▼

 ハードコアでは無いけど最近はWarpからリリースしたポストパンクバンドのSquidが大好きです。

▼ Squid - Broadcaster (Official Video) ▼

 好きなレコード屋さんは野方に住んでいるので高円寺BASEが1番です!レビューの硬派な感じが毎度素晴らしいです。

小池:好きな曲

▼ BLACK FLAG - My War ▼

ハードコアパンクという名前も知らない頃に、ジャケの絵が気になり聞きました。 個人的に、ハードコアパンクという言葉に対して思いつくイメージの1つで、楽器と怒号に近い歌が混ざり1つの音塊のようになっている。的な状態がめちゃめちゃ好きなんですが、 このアルバムの1曲目のMy Warでは不穏なギターのフレーズから突如、ヘンリーロリンズの怒号と楽器が一体化してまさに音の塊と言えるようなかっこいいフレーズが繰り広げられていきます。 ハードコアの原体験でもあるし、今でも超好きな1曲です。

▼ 好きなアルバム L.S.D. - Destroy ▼

アメリカやイギリスのパンクバンドを好んで調べたり聞いたりしていたタイミングで、discloseを知る機会がありました(多分ナパームデスのインタビュー、、??)。日本のハードコア?!とそこでまず衝撃を受け、ディスクレビューの本やDOLLのバックナンバー、レビューを載せている個人のブログなどいくつかの方法で日本にどんなハードコアバンドがいたのか、いるのかを調べていく中でL.S.D.に出会いました。 Destroy 初めて聞いたとき、1曲目のkaren nashがかっこよすぎてしばらくボーッとしていたと思います。いつ聞いても感情揺れ動きまくる大好きなアルバムです。

▼ 好きなレコード屋さん 三軒茶屋 - 富士山 

ドラムを叩いているパレットゾーン白金(今はちょこっとお休み中)というバンドでヘブンズドアによく出演していた時、リハが終わると毎回遊びに行って『これある!!!!!』と日本の様々なアンダーグラウンドのアーティストの方々のCDやレコード、本やソノシートなどに触れて衝撃を受け続けているレコ屋さん ここで買ったSADIE SADS のTシャツは緊張し過ぎてまだ着たことありません(笑

▽先日みなさんは下北沢LIVEHAUSfallsとの2マンライブを収録・配信された際にネットプリントを利用したジンを発行されました※現在はダウンロード期間を過ぎています。

1st EP Cassetteにもジンが同封されていたりと、D.I.Yなパンクカルチャーからの影響を音楽と活動両方で体現されています。

こうしたアクションも含めて、みなさんがバンド活動に対して感じる思いや魅力を聞かせて下さい。

黒坂:今回のフリーペーパーに関してはLivehaus Soundcheckの販促として作成しました。ライブが自由にできない状況で、サウンドチェックに誘ってもらったことでバンドの活動が再開できたこともあり、少しでも多く売れてくれ!!という思いがありました。

 また、大好きなfallsと一緒に撮れること、麻野さんと大学同期の文園太郎さん(パブリック娘。)が映像を担当してくれて、それにものすごいこだわりを感じたこと等、絶対に残しておきたい気持ちがあったため作りました。パンクからの影響ももちろんありますが、まずはこのライブに対する気合いや日々の生活、忘れてしまいそうな今の気持ちを残しておきたいという思いが強いです。 

また、WETNAPは各々が大学生の頃に東京でバンドをはじめていて、軽音サークルで活動するうちに自然と自分たちでスタジオを用意したり、アンプやサウンドをセッティングを覚えていたというのも大きいです。 それと同時進行で海外のパンクレーベルの活動、Dischord、K、Sub pop等を調べるうちに純粋にかっけー!!!と思い憧れているのもあります。

▽2020年の8月現在、依然としてコロナ流行は拡大しており不安な社会情勢が続きそうです。無観客配信ライブでしたり、レコードショップも入場時間を制限したりとまだ音楽文化にとっては不自由な現状があります。いつか安心できる日がまた来た時、みなさんがしたいことを教えてください。

アサノ:これはつい最近自分の中で気づけたことで、まだ人に話せるほど上手くまとまっていない内容なので、乱文になってしまうかも。なので、これからアップデート?更に積み重ねていきたいと思っている話です。それぞれが、その人らしく暮らす為に。

7月から新しい職場で研修を受けているのですが、その研修の中で障害を持っている方への接遇や介助について映像で学ぶ機会があり、そこで触れられていたテーマのひとつが、”誰でも自分で出来ることは自分でしたい”というものでした。

ひとつ例を挙げると、車椅子を利用している人がレストランに来店した際、店員がテーブルの前に置かれた椅子を外し、車椅子のまま食事出来るようにする。そういったサポートが必要な方もいれば、一方で、車椅子を利用している方でも、短い距離であれば、自分で移動出来る人もいるし、その人が飲食店の椅子に座って、食事をする事を楽しみにしていたかもしれないということ。同じ人だって、その日の状態だったり、環境で必要なサポート方法だったりは、勿論変わっていく。良かれと思って行動した事が、時として一方的・過度になり、その人が望んでいる生活や、尊厳、当たり前に出来る行動までも奪ってしまうこともある。実際に、これまで行動としてそういった経験はないとしても、自分はそういう場面では心の中で一方的に「大丈夫かな」と心配になったりしてるなと思ったんですよね。”自分で出来ることは自分でしたい”という気持ちを、考える前に、考えずに。

今まで、”たまたま”そういった行動に移すような場に居合わせなかったわけではなく、無意識のうちに、意識しないようにしてた可能性があるなと思いました。周りの友人や先輩も介助・福祉の仕事をしていたり、ライブが行われる会場で、実際に介助の現場を見ていたのに、自分の意識がその程度に留まっていた、全然アップデートされていなかった事に気づいてめちゃくちゃショックだったんですよね。

自分がバンドをする、生活する上で、色んな環境、境遇の人にとっての選択肢を無意識のうちに、奪っていたかもしれない。其々の美徳とするスタイルとしての格好良さを前提とした活動を否定するってことではなく。私はこれからそういった事を踏まえた上で、色んな人の話を聞いたり、自分が話をしたりして、考え方を積み重ねながら活動したいと思いました。現時点では、自分がどうすればよいか、具体的なものはまだ分からないので、文章としてはまとまらず、”コロナ禍における不自由な音楽文化の現状で今後どうしていきたいか”という質問に直接的には答えられていないかもしれません。日々考える、想像する、対話するということを”自分のペース”で続けていければ、良いなと思います。

▽お話頂きありがとうございます。最後に読者のみなさんへメッセージをお願いします!

小池:最後まで読み進めて頂きありがとうございます!!
今回のライブとインタビューは電波を通して皆さんに触れる形になっていると思います。 もちろん、直接生の空気感を味わいながらライブを見る、するのは最高なんですが、逆に電波が届きさえすればどなたでもどこにでも今回のインタビューやライブを届ける事が出来るというのも俺は最高な事だなと思っています。 直接お会いすることが出来る日が来ましたら、いろいろな方々と音楽を共有したり笑いあったり、話倒したり、、、そんな日々を想像してワクワクしながら日々生きていこうと思います! いつか会いましょう~!電波の中からさようなら~~!!

▽SHOW INFO : 2020/8/7(ツイキャス有料配信ライブとなります)

本公演はツイキャスを利用した有料チケット制配信ライブとなります。下記販売ページURLよりご購入いただけます。ご視聴いただくために、ツイキャス視聴用アプリ「ツイキャス・ビュワー」をお使いの端末にダウンロードしてください。

Shinjuku NINESPICES pre.

"Beats & Vibes Vol. 2"

kamisado
WETNAP
tranquil life

Date : 2020/8/7
Start : 19:30
Ticket : 1,500 Yen

【配信期間8/21まで購入・視聴でき期間中は何回でも視聴いただけます】

※お願い:ご購入の際メールアドレスを記入するページにある項目「メッセージ」にお目当てのバンド名を記入くださいますようお願いいたします。

▼販売ページ▼

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