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【検証】天気図解析してホタルとmeetする話

今年は異例の早さで梅雨入りとなりました。
長梅雨に向け、雨具や防カビ、湿気対策も大事ですが
アジサイにカタツムリ、そしてホタル。梅雨ならではの見どころも楽しみましょう。

ホタルにとって梅雨時期の飛行は短い寿命の貴重な「婚活」の場です。
梅雨が早まり「乗り遅れてたまるか!」と我先に戦線に出始めています。
そんなホタル、見られる条件は大きく分けて4つあります。

①風が弱いこと     風速3m未満推奨
②雨が降っていないこと 
③気温が高いこと    概ね20℃以上
④湿度が高いこと    75%もしくは気温/露点の差が3℃未満推奨

ベストコンディションで婚活の成功確率を高めたいのは皆同じ。
「見た目じゃないよ。中身が大事」ぬるい妄言は捨てましょう。

さて、条件それぞれを考察すると
①②は単純に飛行能力を存分に発揮できず
飛行へのリスクがあるからでしょう。

続いて③は他の虫たちと同様、冷たい空気より暖かい空気の方が分子が「密」では無いから。飛行への抵抗が少なく軽やかに飛べますね。

④が個人的にはミソで、成虫の蛍の栄養源は水のみ。
でも経口から摂取出来ないので、空気中の水蒸気で賄っています。
「旨い水あるとこ知ってるけど、一緒行く?」
甘酸っぱい恋の始まりに誘い文句は欠かせません。


今回は上記条件を天気図で解析し、ターゲットの日を決め観測に臨みました。解析をまとめてみました。今回の観測予定地は南大阪
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*天気図は全て協定世界時間なので表記の時間に9時間足して使いましょう

・FXFE5782
https://www.jma.go.jp/bosai/numericmap/data/nwpmap/fxfe5782_12.pdf

画像2

ここでは500hPa=高度約6000mの気温を見ます。
天気予報で「上空に寒気が入り込み大気不安定」のヤツです。
梅雨時期の目安は-18℃の線です。
今回はかかってないので降水要素は少ない。

画像3

高度約6000mの渦度
渦度の強い赤色のエリアに覆われていると、湿った空気が持ち上がりやすく雨になりやすい。
今回は南大阪を覆ってるので雨降り要素少しあり…

画像4

続いてもFXFE502。次は地上の降水量図
この天気図はその後12時間で降る雨の量を図にしてあるので、朝9時の予想を確認。
関西の朝9時から夜9時までの降水量はゼロ。

・FXJP854
https://www.jma.go.jp/bosai/numericmap/data/nwpmap/fxjp854_12.pdf

画像1

これは高度1500mの相当温位を図にしたもの。何じゃそりゃ
相当温位が高い=ざっくりですが気温が高くて湿っている事で、下層湿潤なんて言います。
正にホタルの条件③④のための天気図‼︎
で、大阪はちょい湿り気味の空気が入ってる程度。
矢羽の向きを見ると、もっと湿ってる沖縄あたりから南西風で空気が運ばれてくる事も無し。
湿気は梅雨にしては控えめですが、風速は3m未満なので、条件①は達成の見込み

余談ですが湿潤な空気がぶつかっている沖縄の北側(緑の斜め線)では、ぶつかり強く上昇、6000mの渦度により発達した雨雲になる見込み。

画像5


*夜9時の雨雲レーダー

まとめると
条件①の「雨」は下層がやや湿っているものの上空寒気は無し。
渦度が気になりますが、夜にかけ気温も下がるので日射により空気があっためられ渦度の高度まで上昇し始めることも無し。
条件②の風も梅雨前線は沖縄まで下がっていて、近くに低気圧もないので吹き込みは弱し。
条件③は好天で日中は日射で地面近くの空気もあったまり、観測時間の8時にもまだ余熱ありの見込み。
条件④の湿度は元々の水蒸気量は少ない為、日没から気温が下がっても湿度はそこまで稼げなさそう。

これをホタルサイドで考えると
「広くて動きやすいけど、ご飯がイマイチな店で女子テンションやや低め」
と言ったところ。

………さて当日夜8時。
予想通り、半袖で動ける気温とは裏腹に、湿気は少なく人間的には快適
紳士淑女の社交場にお邪魔してみると




いた!!!!


不本意ながら人生早送り
前倒しになった婚活パーティー🥳を縦横無尽に駆ける、必死でダサくて、でもそれがカッコいいメンズが飛び交ってました。
基本的に葉に止まって光るのが女子、飛ぶのが男子なので
積極性が無いと何も進まないのはホタルも同じですね。

「勝手に好きになっても、いいですか?」
手練手管のセリフが飛び交う夜空を、静かに見守った夜でした。


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