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10月16日 悲しみをとおさないとみせていただけない世界がある

久しぶりの投稿です。「1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,浄土真宗東光寺坊守 東井浴子さんです。

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悲しみをとおさないと
見せていただけない世界がある
身みずからこれにあたる
代わるものあることなし
代わってもらうこともできなければ
代わってやることもできない
自分の荷は
自分で背負って生きるしかない
1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(致知出版社)

東井浴子さんは,東井義雄氏のお孫さんにあたります。東井義雄記念館館長の宇治田透玄さん(浴子さんの義兄)も「365人の仕事の教科書」の記事があります。

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ここで東井義雄氏について復習。
貧しい生活の中,師範学校を卒業し,小学校に着任。
昭和の大恐慌,終戦を経て,昭和32年に「村を育てる学力」を出版。
この実践記録が全国的に大きな反響を呼びます。
昭和34年,その教育活動の功績により広島大学から「ペスタロッチー賞」を受賞します。
もっと知りたい人は,こちらを参考に。

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7月3日の宇治田透玄さんの記事でも出てきますが,浴子さんの夫(東井義雄氏の長男)が倒れたことについてこのように述べています。

夫が倒れたのは確かにショックでしたけれども,不幸と思ったことは一度もありません。
(中略)
確かに人から見たら不幸のように見えるかもしれないけれども,私は子どもが素直に育ってくれたこと,自分の両親が陰ながら応援してくれたこと,ここのおじいちゃん,おばあちゃんが私のわがままを全部受け止めてくれたことなど考えると,本当に恵まれていると思っています。
(中略)
私,寝たきりで動かない夫を見ていて,これは私に対する生き仏かなって思いました。だって本当は一遍死んで,電気ショックで生き返ったんですもの。何か生きておかねばならない理由があったのだと思います。
1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(致知出版社)

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「悲しみ」の先にあるもの。
「悲しみ」をとおして気づいたこと。
誰にでも,一度「悲しみ」を経ないと気づかない世界がきっとある。

ネガティブな感情は悪いものとして扱われがち。でも,そこから得られること,気づかされること,学ばされることがあります。
コーチングをしていても,クライアントの感情に触れるとき,ネガティブな感情から得られる気づきは,クライアントにとって良くも悪くも大きなショックを与えます。気づきを得るまでに,時間がかかることもしばしば。

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冒頭の「悲しみをとおさないと…」で始まる詩は東井義雄氏のもの。
悲しい気持ちを誰かに代わってもらうことはできない。
寝たきりの長男の代わりに,自分が寝たきりになることもできない。
何かの「代わり」になるものはない。

7月3日の宇治田透玄さんの記事には,「悲しみを通して,初めて見さしてもらえる世界があるのですね」と浴子さんが東井義雄氏に言ったという記述があります。
長男の病気からうまれた「悲しみ」を背負って生きていくのが人生だと気づいた東井義雄氏。「悲しみ」の先に気づいた「見逃していた幸せ」に気づいた浴子さん。浴子さんの気づきから,また気づきを得た東井義雄氏。

「悲しみ」からうまれた気づきのサイクルだけど,どこかあたたかく,しっかりした土台を感じる言葉たちから,また私も気づきを得るのでした。

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