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10月11日 経営と仕事の違い

「1日1話,読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より,京セラオプテック元社長の福永正三さんです。
※肩書は『致知』掲載当時のものです。

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 緊急事態宣言が解除され,学校もほぼ通常通り。その日の記事を読んで一日一本書くはずが,1か月近くずれてしまいました…。年末までに追いつきたいと思う今日この頃です。

というわけで本題。
京セラフィロソフィーを全社員に広め,実現したという福永正三さん。彼は,月に一億の赤字を出す会社を再建し,6年後には月に一億の黒字を出す会社に変えた人です。一週間,全ての業務を停止させ,全社員を食堂に集めて「会社を再建するのか,つぶすのか」と語り掛け,『膝詰めで,ど真剣に話し合った』。その頃のお話が掲載されています。

ちなみに「京セラ稲盛哲学実践の書」として,『会社再建-サラリーマンを超えた男』という本が文化出版社から出ています。

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今日は,気になった部分を抜粋して紹介します。

関東の労働組合全体を牛耳っている人に直談判したとき。

「経営者の足を引っ張って,権利ばかりを主張しても幸せになんかなれん。本当に幸せになりたいのなら,いい仕事をいっぱいして,誰にも負けない努力をすることだ!」
一週間,業務を停止して全社員と話し合っていた頃。

 その時,随分ひどいことも言ったんですよ。
(中略)
会長は「大善は非情に似たり。大悪は小善に似たり」と言いますが,彼らのプライドが傷つくようなことを言って私が恨まれるなんて,「へ」でもない。会社がつぶれて路頭に迷ってからでは遅いんです。
なかにはどうしても私の考えに会わないという人が三分の一いました。残念でしたが,その方々にはお辞めいただきました。三分の一いうたら百人ですから,普通やったらそんな一度に辞めたらびっくりするでしょう。でも,違う。やる気がある人たちのベクトルが合ったら,そのくらいカバーできる。これが三分の二だったら会社をつぶそうと思っていました。

 福永氏は厳しいことを言って,反発を煽っているわけではありません。一週間業務を停止するまでに,社員とコミュニケーションをとったり,京セラフィロソフィーを管理者に語ったり。協力してくれる人をきちんと集めて育てるなどの下準備をした上で行動されています。
 相手に厳しいことを言ったときそれが響くのは,相手との関係を作っているから。「話せば分かる」と言うけれど,分かってもらえるように話す工夫と,時間をかけることが必要だと私は思っています。

さて,今日のタイトル「経営と仕事の違い」について,福永さんはこう仰っています。

経営と仕事は違います。誰かがつくった道を歩くのではなく,自分らが生きる道をつくり出していくことが経営なんです。

 「自分が」ではなく,「自分らが」というところが大事なのでは,と思います。「自分ら」=「経営者である自分と社員たち」ということですよね,きっと。
 経営者だけではなく,社員にとっても「自分と上司,同僚,後輩」という「自分ら」があります。

最近,チームコーチングをするときに,主語を「わたしは」ではなく「わたしたちは」にして考えると,視点が変わることを体験しました。
「わたしたちは,何を目的(ゴール)としたチームなのか?」
「わたしたちの強みは何か?」
「わたしたちに足りないものは何か?」
こうやって「チーム」を主語にして考えた後に,
「わたしは,わたしのどの強みを使って,チームに貢献するか?」
と考えると,チームの課題にフィットした「わたしの行動」が出てきたのです。

このようなことを考えて「自分ら」と表現されたのかどうかはわかりません。経営者と社員のベクトルが揃っていれば,良い仕事に繋がっていくことに気づいた福永氏の思いが「自分ら」という三文字に含まれていると思いました。

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