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俗物

仕事の都合で、5年前に実習させてもらった町に来た。

実習の翌年には洪水が起きて橋が流されたり、大変だった。まだ、町中にはその爪痕が残っていて、当時、大変なことを知りながら、心配しながら、何にも行動に移さなかった自分のことを思い出す。

実習の時もそうだった。
最後に、手を握りながら、「資格をとって私達のような人の支えになってください。」と伝えてくれた人がいた。築30年以上のアパートに住みながら、ここは私のお城なんだと言ってお茶をごちそうしてくれた人もいた。

けど、私は、やっぱり、その世界には進まなかった。人助けを生業にするには、私は俗物すぎる。新しい服も靴もほしいし、車はやっぱり新車で買いたい。家だって、これからまだいろいろ充実させたい。それをするにはもっと稼ぎたい。お金が稼げる仕事をしたい。

転職しなかったのは、それが1番大きかった。

自分の卑怯さ、俗物さを時々思い出すというか、忘れんなよ?と誰かが定期的に仕掛けてくる感じ。

いやさ、今はまだ何にもできてないけど、これからの人生でそうなる時が来るかもだし、稼ぎたいがなくなってきたらそうしたいと思ってる。

それに、私と同じくらいお金稼ぎたいと思っても、社会の整備のせいでそれが叶わない人がいるんだってことは、忘れないようにしたいし、自分にできることは何なのかを考え続けていきたい。

今の今だけを見て、そこまで自分を責めなくていいんだろうけどさ。

なんとなく書き残したかったから。

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