しまや出版見学ツアーに参加して

2019年9月28日(土)、技書博主催の同人誌印刷所「しまや出版」見学ツアーに参加しました。

東京都足立区にある印刷所へのアクセスは、JR王子駅からバスに数分乗っていくとのことでしたが、私はバスがあまり好きではないので、google mapで調べて日暮里・舎人ライナーの扇大橋駅から徒歩で向かいました。日暮里・舎人ライナーには初めて乗りました。レールが道路より高くて、ゆりかもめっぽい。扇大橋駅からの道順はわかりやすく、迷うことなく20分ほどでしまや出版に到着できました。荒川にかかる江北橋は、桜のモチーフがたくさん付いている、とても可愛い橋でした。

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それではここから見学の話を…しまや出版では、1階にオフセット機や製本用機器等、2階にオンデマンド機を設置しています。まずオフセット機を見せていただきました。

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機械は大変大きかった…Y(イエロー)→M(マゼンタ)→C(シアン)→K(黒)の順に刷っていくらしい(うろ覚え)です。

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印刷に適しているのは室温24℃、湿度55%で、春と秋は比較的刷りやすいそうです。加湿器は10月頃から稼働させるとか。コミケは夏と冬だから、印刷環境をととのえるのが大変ですね…

印刷の用語で200線とか300線とか聞いたことがありますが、これは1センチに何個の点があるかということ(うろ覚え)で、新聞は70線(1センチあたりに70個の点がある)、商業印刷で175線、同人誌の高精細カラー印刷だと300線だそうです。175線と300線の比較画像を見せていただきました。ルーペで見ると、175線はドットの集合に見えますが、300線はルーペでもドットが見えなかった…!

2階に移動して、営業部へ。入稿データを確認して不備を連絡したり、問い合わせへの対応をしているのがこちら。今はほとんどがデータ入稿だけど、紙原稿をスキャンするための機械が置いてあります。「SCAMERA-3(スキャメラ)」は、カラーもスキャンできるけれどモノクロがメインで、1枚あたり数分かかるそうです。

続いてオンデマンド機を見学。

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オンデマンド機はゼロックスの最上位機種を置いているそうです。オンデマンドはインクではなくトナーで印刷する方法です。濃色の紙に白色で印刷する際は、オフセットよりもオンデマンドのほうが紙色が透けずにクッキリ印刷できます。白トナーの上にカラーを印刷なんてのも、綺麗にできてますね!

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あと、PP加工も、オンデマンドは印刷後すぐにかけられるそうです。

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左の機械にかけられているのがクリアPP、右の社員さんがお持ちなのがマットPPのロール。

製本の機械を見せていただくために、ふたたび1階へ。


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大変わかりやすい図を用意していてくださいました。

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丁合機。

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1冊分の前半と後半で高さを変えて(うろ覚え)、1冊ずつ取りやすくしています。背の部分に糊が入るように削って、糊を塗って表紙でくるみます。(くるむ様子を動画で撮ったけど、ここにUPできませんでした…)

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最後に、小口と天地の三方を断裁して、製本終了。

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数冊まとめて断裁できるのですが、刃は2回下りてきます。1回目に小口(背の反対側)を裁ち、2回目に2つの刃が天と地を同時に裁ち落とします。

最後に、社長の小早川(こはやかわ)氏からいろいろなお話を伺いました。

しまや出版は今年で創業51年目、十条で文房具屋さんとして始まったそうです。封筒を刷っていたところを、近所の帝京大学から本の印刷の依頼を受け、その後コミケの2回目開催あたりから漫画の印刷を受けるようになったとのこと。東京の地場産業は「印刷」で、昔は小さな印刷屋さんがいっぱいあって、それぞれ「製版だけ」「カラー印刷だけ」などと分業されていたけれど、今は斜陽となり、B to Bしないで個人のお客さんとやりとりをするようになったとか。コミケに搬入登録している印刷所は約100、そのうち同人誌印刷組合に加入しているのは25社ほど(もちろんしまや出版は入っている)。しまや出版のお客さんの傾向は、今は女性向けジャンルが元気、初心者さんが多い、小説本(文庫、新書)が増えている。PDFで入稿する際は「PDF/X-1a」がいちばん安心できる。刷り上がったものは検品して、仕上がりに問題がある場合には刷り直すため、品質の良いものをつくるために納品まで日数に余裕を持てるように入稿してほしい、等々…

このたびは通常知ることのできない業界について、見て聞いて知る機会をいただけて、大変感謝しております。 次に本を出す際には、時間に余裕を持って装丁をいろいろ考えてみたいと思いました。

(敬称略)

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猫と文房具(主に手帳)が好きで、自分で使いたいものをほそぼそと作っています。同人誌『文章校正のしをり』『とるツメ!(最新は第弐號)』を発行。
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