詐欺とは呼べない程度の不誠実な営業①

最近はネットショップを作るためのハードルがずいぶん下がりました。

一昔前まではサイトから自分で作らなければならかったり、決済手段や発送方法客とのやり取りなど、様々な点でネットショップ開設には難所があったわけですが、楽天やメルカリショップ、店舗型でもBASEや僕が使っているSTORESなど、個人でも簡単にネットショップを開設することができるようになりました。

ただし、開設が容易になったということは、それだけ潜在的なライバルも増えてくるということです。モール型では価格競争や物量勝負に陥りがちですし、ショップ型では集客に苦労します。

僕のストアも始めて三ヶ月、まだまだ集客に苦労しているところで、少しずつ売り上げが伸びては来ていますが、始めた最初の一ヶ月は売り上げが720円にしかなりませんでした。

こういうショップは世の中に結構存在すると思います。余程人脈があったり、世の中から注目される商品を発売していたり、Instagramのフォロワーが万単位だったりしない限り、ショップ型のネットショップは初期の集客に苦労するのが普通だと思います。

そういうネットショップを狙って、詐欺とは言えないまでも、非常に不誠実な営業電話をかけてくる業者が世の中には存在します。僕が実際に体験して(騙されかけた)ケースをもとに説明したいと思います。

結論から言いますと

・そもそも、連絡してないのにかかってくる電話には警戒する

こちらか連絡していれば別ですが、余程のことがない限り、連絡してないのに向こうから電話をかけてくるのは、相手にとってなにかしらのメリットがあるからです。

・話が大きかったりうますぎる場合する場合には鵜呑みにしない。

会員数2000万人のサイトへの出店~とか、発行部数500万部の新聞への広告~というのは、仮に真実であってもどれ程の効果があるのか、考えてみた方が良いと思います。例えば僕のショップは「島根の米農家」でGoogle検索すると一番上に出るから、たぶん何十億人かが利用しているサイトに登録されているわけですが、一日のアクセス数は100人いけば御の字です。会員数が多ければ多いほど、興味や嗜好が分散されているので、総数だけを見ても意味がないことが多いです。

・大手のマスコミや会員制サイト(の代理人)を名乗る

誰でも知っているような大手企業や会員制サイトの名前を前面に出して、「そこの委託を受けている○○という会社です」と名乗る場合には気を付けましょう。大事なのは電話かけてきた相手であって、調べる際には電話をかけてきた会社の評判を調べることが大事です。

・登録料や掲載料として前金を要求されたときは要注意!

広告業というのは当然、利益を得るためにやっているわけなので、無償でなにかをしてくれることなどありません。自分の商品などをPRしてもらうために広告料を払うのは当然のことですが、問題は払った金額に見合うだけの効果があるか、ということです。

この点を頭に入れておくだけで、効果の無い広告料や登録料を払ってしまうことが減るんじゃないかと思います。

僕が体験したケースは詐欺ではありません。厳密にいえば悪質商法とも呼べないでしょう。ただし、おそらく相手は、このような営業で効果が上がらないことを知った上で営業していると思われますので、不誠実な営業と言って良いとは思います。

ケース1 新聞広告載せたるで

新聞や雑誌に自分の商品を売り込みたいと考えたときに、プレスリリースという手段があります。芸能人なんかが良くやっているイメージですが、要するに「こういう商品を作ったから、興味のある方は取材に来てくれませんか?」という発信を行うわけです。

例えばこのような無料で行えるプレスリリースサイトがあり、ここで発信しておけば、もしかしたらどこかしらの新聞や雑誌、ネットサイトなんかが取材に来てくれるかも、みたいなものです。

僕もこのようなサイトを利用してプレスリリースを出しました。幸いなことに、そのプレスリリースを読んだ某新聞社の方が、その新聞社が運営しているネットニュースサイトに記事を載せても良い、と返信してきてくれました。

ところがその直後、どこから聞き付けてきたのか、その新聞社に広告を出校しているという広告代理店が、出校料四万円で、ネットニュースではなく新聞本誌に掲載してあげます、という営業電話がかかってきました。

おそらくは、プレスリリースを読んだ業者が、僕が記事掲載を依頼した新聞社を調べたのでしょう。

業者がいうには「僕が販売している商品を調べて、非常に興味が湧いた。まだ知名度がないけど、周知されたら絶対に売れるはず。ところで来週発売される○○新聞の広告欄が急に空いてしまって、広告を出せる人を探している。緊急のことだからすぐに決断してもらいたいのだが、特別に広告料を安くして4万円でどうか?」

文面で読むと、こんな営業電話に騙されるバカがいるか? と思うかもしれません。でも、自分の中では「面白いアイディアだ!」と思って手間とコストをかけて販売したものの、まるで人は集まらず一月の売り上げは720円。周知さえしてもらえれば絶対に増えるはずなのに・・・・・・という心境の人間にとっては、「あなたのアイディアを知ってとても興味が湧いた、あとはそれを世の中に広めるだけだ、その手伝いをしたい」という申し出に、なかなか抗えるものではないのです。

その新聞社は関西では有力なスポーツ紙で、なかなかの発行部数を誇ります。一方、記事の掲載を約束してくれたネットニュースサイトは、ヤフーニュースなどに記事が転載されたりするので、記事の内容によってはなかなかのアクセスもあるようですが、実際に自分の記事がどの程度読まれるかは未知数です。

公称50万部の新聞に、四万円。売り上げが無いとはいえ、決して払えない金額ではありません。「緊急で空いた広告枠だから安くしている」ともいっているし、あと一時間以内に結論だしてくれと言っているから、今頼んでおいた方が・・・・・・などと悩んだ結果、一時間後に折り返し連絡するから待ってくれ、と言って電話を切ることにしました。

今思うと、このとき電話を切っていて本当に良かったと思います。オレオレ詐欺などの電話も、一旦切って周囲の人間と相談したりすることが重要などと言われますが、人間心理としてはどうしても自分の言って欲しいことを言ってくれる人間には警戒心が緩みますし、焦らされるとすぐに結論を出してしまおうと思ってしまいます。

電話を切ったあと、僕はインターネットで営業電話をかけてきた大分の広告代理店の名前を検索しました。トップにでてきた会社のHPはなかなか立派なもので、業務内容の説明もきちんとされていて府に落ちるものです。

続けて、会社の公式発表ではない、実際にこの会社の営業電話にのって広告を出した、という人の声を探してみました。

すると、

「営業電話に載せられて金を払った。たしかに実際に広告は出してくれたが、反響は全くのゼロだった」

という声がいくつも出てきました。

僕のところには某スポーツ新聞社に広告だしてます、という触れ込みで電話かけてきてましたが、有名な女性週刊紙やファッション紙など、ありとあらゆる雑誌の名前を使って、この手の営業電話をかけていたようです。

おそらくこういうビジネスモデルなのでしょう。

集客に困っている零細ショップに広告の出校を持ちかけ、ぎりぎり払えないこともない金額を要求し、そのうちのいくらかで格安で買える新聞や雑誌の広告欄を買ってちょっとした記事を書く。

もしかすると、本当に魅力のある商品であれば、集客に繋がるのかもしれません。

でも、新聞とか雑誌に小さくのっている広告を見て、その商品を買いたい、と思ったことはありますか?


少なくとも僕はありません。余程自分の趣味嗜好に沿ったものであれば「お!」と思うかもしれませんが、新聞や雑誌の片隅にぽっと出ているだけの広告は、背景の一部のように無視して読み飛ばす人が大半ではないでしょうか?

この手の広告欄では、怪しげな開運グッズやエロ広告が主体のように思われます。大半の人が読み飛ばすとしても、一部の人が「お!」と思って引っ掛かってくれたらそれだけで利益が出るような商品です。このような商品はあらゆる媒体に絨毯爆撃して、それでどうにかカモを釣り上げているような状態だと推測しています。原価のほぼ全てを広告料に費やしているタイプの商品ですね。

その手の商品を販売するために広告費を惜しまない、というならともかく、全うな商品を宣伝するつもりで、新聞の片隅に小さな広告を出したとしても、大半の人が読み飛ばすと思うでしょうし、多少興味があったとしても「ふーんこんなのもあるんだ」くらいに思ってくれたら御の字でしょう。

僕もこれまで何度か販売している商品を、ネットニュースや新聞に記事にして貰ったことがあります。それによって多少の反響はありましたが、新聞にそこそこ大きく掲載されて、販売する商品の内容を数百字に渡ってしっかり説明して貰っても、それで商品が爆発的に売れる、ということには繋がりませんでした。

おそらく、営業の電話に乗って広告料を払っていたとしたら、ほとんど何の効果もない広告に4万円を払って失うだけに終わったでしょう。

何度も言いますが、これは詐欺ではありません。

営業の電話に乗ってお金を払えば、向こうが言う通り実際に大手の新聞に広告を出してはくれるでしょう。しかし、余程のことがない限り、それが実際に効果をあげることはないと思います。

本当に魅力のある商品を作っていて、それをうまく紹介するストーリーさえ作れたら、無料で新聞やテレビに商品を紹介して貰う「だけ」なら難しいことではありません。

ただ、紹介されただけで商売が軌道に乗るわけではないのが、ネットショップをやっていく上でつくづく難しいところだな、とつくづく感じながらやっています。

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