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「すずめの戸締り」見てきたよ/わたしのアニメ語り

11月11日(金)に公開された新海誠監督の「すずめの戸締り」。公開から2日後の日曜日に見てまいりました。感じたことをいろいろと書いてみますね!

大ヒットを見込んでかなり上映回数の多い今作、午前8時10分からの上映を見に行くと8割ほどの埋まり具合。劇場版「鬼滅の刃」よりは少し余裕がある感じかなと思いました。ま、劇場版「ソードアートオンライン」よりは確実に入っているでしょう(泣)

前作「天気の子」では様々な理由で拒否反応を示したワタクシ。今作を見終えた後の率直な感想としては「目指すべき到達点に向け、軌道修正完了」ってイメージですかね。

たった一人きりで映画「ほしのこえ」を作り上げ、SF好きをあっといわせた新海監督。作品を作り上げるごとに少しづつスタッフが増え、ファンが増え、と微速前進を続けてきた彼が大ブレイクしたのは「君の名は。」でした。

それまでは「万人受けするハッピーエンド」を避けてきたがゆえに、カタルシスを逃していた新海監督。「夢と知りせば~男女とりかえばや物語」という仮題を、プロデューサーのアイデアを受け入れて「君の名は。」と改題したことからも見えるように、「商業主義」との折り合いをつけることで次へのステップを踏み出したといえるでしょう。

しかし、その次の「天気の子」ではそれがオーバーフローしてしまいました。スポンサーからの要望。アーティスト楽曲とのバランス。自分が描きたいテーマ。これらの要素をコントロールしきれないまま、作品は空中分解していったように、私には感じられました。

今作では「震災」という重いテーマを扱っているが故か、スポンサーとのコラボはやや控えめ。マクドナルドのコラボCMがあったり、作品中にローソンが出てきたりしますが、前作より露骨さは減少しているように感じます。

そして、RADWIMPSとの兼ね合い。「君の名は。」「天気の子」では映画自体がRADWIMPSのMVではないか、と揶揄する声も一部ではありましたが、今作では懐メロ(松任谷由美、井上陽水、松田聖子、河合奈保子、斉藤由貴などなど)を盛り込むことで回避しつつ、ここぞという聞かせどころでテーマ曲を持ってくる工夫がなされています。

うーむ、改善されている・・・。


新海作品と言えばその特徴は・・・
①現実以上ともいわれる風景の映像美
②引き裂かれる男女と、神話に依拠するような運命観
③猫
④電車
・・・などがあげられます。

今作については
①⇒映像美ばかりが際立つようなシーンを控えつつ、髪が風になびくシーンのような細かい演出を丁寧に仕上げることに注力した印象。

②⇒新海作品のテーマ性は保持しつつ、よりポジティブなメッセージを伝える「使命感」へと昇華しつつある。

③⇒やっぱり猫が好き。

④⇒なんだかんだいって、どっかのシーンに必ず電車や駅はぶっこんでくる。


<まとめ>
新海監督はまだ進化できる、と私は思います。なぜならば、過去に至らなかった部分を認め、受け入れる力があるから。

自分の力、というよりは偶然のバランスで大ヒットした「君の名は。」。
あがいて道を踏み外した「天気の子」。
それらの経験で学んだことを突き詰め、修正してきた今作を「集大成」と表す宣伝を目にしますが、それは違うと私は思います。

新海監督は毎回「集大成」の作品を作っているのです。
前作も、今作も、そしておそらくは次作も「集大成」なのです。
学んだことを消化して身に取り込んで、次へ進む。
その過程にはまだまだトライ&エラーが待ち受けているかもしれません。
今作では新海監督がポジティブに、しっかりと前に進んでいることがわかりました。

新海監督が、真に納得する作品を仕上げたとき、おそらくはそれが監督の引退作品となるでしょう。
もう、足すものも引くものもない。
そんな作品にたどり着く瞬間が、楽しみでもあり、怖くもあります。

敷かれたレールの上を走ることしかできない、電車。
「秒速5セントメートル」では、自身のもどかしさをアイロニカルに表現するツールとして使われた感もありました。
しかし、今作では重要キャラの一人が、震災復興のシンボルともいえる「三陸鉄道」に乗って自分の居場所に帰るという表現があります。
『新海作品の見どころは電車にあり!』というのは言い過ぎでしょうかw

さ、ここまで読んでいただいたアナタ!
劇場で見たくなーれ
(かしこみかしこみ、謹んでお頼み申す)


新海誠監督。
すべてをたった一人で完成させた「ほしのこえ」に衝撃を受けて以来、その作品を追い続けてきました。
最初期の「彼女と彼女の猫」以外の作品は、YAHOO映画のレビューに感想を書いていたので、そちらもあわせてお楽しみいただければw


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