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「春ピリカグランプリ」朗読配信ウラ話/⑤掌編『ダストテイル、朧げ。』 作:白鉛筆

「春ピリカグランプリ2023」個人賞入賞作品の朗読について、読ませていただいた感謝と作品への向き合いを綴っています。

今回は『橘鶫賞』を受賞された白鉛筆さんの『ダストテイル、朧げ。』です。

まずこのタイトルにやられますよね。ダストテイル、という何かはわからないけどやたらオシャレな単語の響き。調べてみると「彗星の尾の一種」とのこと。うはー!はい、もうカッコいいー!
それが「朧げ。」なんですよ。「朧げ」ではなく「朧げ。」です。
余韻の上乗せ。
物語のテーマである「ためらい、まどい、あとを引く思い」。それを振り切り、ピアノ練習に心を向ける主人公の刹那の心の動きこそが「ダストテイル」であるようにも読み取れます。

この作品は丁寧に仕上げられた洋菓子のように思えます。
試行錯誤を重ねた末に確立した土台の上に、その修練の跡を見せぬように美しくコーティングされたクリーム。
載せるのは存在感のあるイチゴではなく、フランボワーズとラズベリー。
チョコは邪魔にならない程度にぱらり。
過度に自己主張しない割に、「自信あり」という佇まいがニクいなあ。

そんな今作を読む際に気を付けたことは以下の点です・
・BGMをピアノ曲ベースで揃える。
・妹が5歳というところから、主人公は中学生から高校生くらいか。そこまでの若さの声は出せないが、心の声として逆に大人びた感も出してみる。
・セリフ部分の主人公は、めいっぱい若く。
・「聖者の行進」の曲は使用許諾OKのものを探して、コメントとあわせて貼り付け。
・タイトルで使った曲を、メインパートでリフレイン。
・エンドBGはフェードアウトで。

何度も読み返すたびに心のどこかがキュッとなる、甘酸っぱさの今作。朗読もお試しいただけると嬉しいです。

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