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私たち、フツウの噺家にもどります/「おきゃん会 ファイナル・カーニバル」

おいおい、国立演芸場でやるのかよ!?( ゚Д゚)

寒の戻りか、冷たい雨風が打ちつけた2022年3月22日の東京。涙雨が滴るこの日、私が訪れたのは国立演芸場だった。その名の通り歴とした「国が建てた施設」である。アナーキーなイベントに対応できるユーティリティに感服。

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この日の催しは300の座席が完売、というファン垂涎のビッグイベント。その名も「おきゃん会 ファイナル・カーニバル」

落語界を席巻した奇跡のアイドルユニット「おきゃんでぃーず」が、惜しまれつつ4年半の活動に終止符を打つ区切りの日を迎えたのだった。

三者三様の魅力!?

「おきゃんでぃーず」の構成メンバーは『あん(林家あんこ)』、『つる(林家つる子)』、『はな(春風亭一花)』の三人。おっとりお嬢タイプの『あん』、あざと可愛い『つる』、うっかりキュートな『はな』。

あなたのお好みは誰ですか?・・・いえ、答えは聞いていません。ただ問うただけ。

聞かれてないのに答えますが、私の推しは『あん』です(キリッ)

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ふざけるな!?…いや、もっとふざけてよ!(^^♪

今を時めく若手実力派の女流噺家による「きまぐれユニット」のファイナルステージは、ステージは解散発表から記者会見を模した大喜利まで、林家たけ平師匠の軽妙なまわしのおかげでトントンと音がするほど軽やかに進んでいく。

『あん』のファイナルステージ見たさに北海道から駆け付けた私にとって、熱烈なファンがひしめく会場は絵にかいたような『アウェイ』。常連さんに向けた内輪ネタが多く、初見ではわからぬ展開も繰り広げられる。その様は、サウジアラビアでのバドミントンの試合くらいの『アウェイ』である。

だが、それがいい。

事実上、定席の寄席がない北海道で見られる噺家さんは、いわば、すでに出来上がった『完成品』だ。未完成で、無限大の可能性を秘めた若手がはっちゃける様子は、多少懐が痛んでも『見るべきもの』なのだ。

後半のレビューショーで、なんのてらいもなく「キャンディーズ」のナンバーを歌い上げる3人。満を持して登場する『あん』の実父・林家時蔵師匠歌手として招かれた柳家喬太郎師匠は、落語は一切やらずに「東京ホテ〇ル音頭」18番まであるうちの7番までを朗々と歌唱。どうやらこのうち2つが新ネタだったらしい。

こんなところでネタおろしかよ。どうかしてるぜ!(;'∀')

私たち、フツウの噺家にもどります

おう、戻りゃいいじゃねーか!・・・なんていわないでよね。

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プロフェッショナルの領域にいる人間ならば誰しも、日頃培った技量を発揮できる場が欲しい。誰よりも優れていると、名乗りをあげたい。

ひとつ、つかんだとっかかり。天から垂れる『蜘蛛の糸』。

手繰り登れるものならば、蹴落としてでも極楽へ。

糸が切れたらおなぐさみ。元の地獄へ逆戻り。てけてんてん。


なーんて、シニカルなことを書いてみましたが、噺家さんであるならば知恵と工夫でこの先の『芸の地獄道』をスイスイと涼しい顔で渡り歩いてもらいたいものです。

・・・『地獄八景亡者戯』のごとく(*'▽')

「おきゃんでぃーず」じゃなくなった3人は、『本寸法』の噺家になるのだそう。一日も早く、彼女たちの噺を聞いて

「いいねェ、本寸法だねェー!」

・・・と唸りたい。


「おきゃんでぃーず」

それは徒花。偶然が生んだ、ほんのひと時の奇跡。

「あん」

それは決意。呪縛を解き放つための挑戦。

「つる」

それは飛躍。前を目指し、突き進む力。

「はな」

それは邂逅。出会いで開く、未来の扉。

「おきゃんでぃーず」

それは追憶。いま生きるこの時より後は、すべて過去。


「おきゃん会 ファイナル・カーニバル」、かけがえのない一瞬を熱い皆さんと共有できたこと、すごく幸せでしたー!(^^♪


ちなみにこの会の後、私にとって激アツの展開が待ち受けていたのですが、それは週末あたりに音声配信で話します!(ニヤリ)

ではまた!

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