好きな歌 1 岡本真帆『水上バス浅草行き』より
前々から好きだった岡本真帆さん(@mhpokmt)が初の歌集を出されたので、早速購入しました。その歌集の中に収録されている大好きな歌です。
川辺の小石と同じように気に留められなかったであろう脇役の山本が、
川に反射した光のスポットライトに照らされて主役に躍り出る瞬間の印象。
実際の水切りは長くても数秒で「まだ止まらない」ことはあり得ないけれど、切り取られたこの瞬間において石は永遠に動き続け、寡黙な山本自身の中に密かに溢れる自我の強さを伝えてきます。
周りにいるクラスメイトの呆気に取られた表情とちょっぴりの敬意が伝わってきて、顔もわからない山本に不思議な愛おしさを感じました。
コミカルな表現の中に生身の温もりや情動を溢れさせる表現力は、あの歌で大バズりした岡本真帆さんの真髄なんだろうなと勝手に思っています。
三十一文字というごく僅かな文字数だからこそ、溢れ出る何次元もの情景。写真や動画にはない短歌の魅力に惹かれてしまいます。
短歌の感想、思ってた以上に書くの難しい。
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