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助演男優賞

「エネルギーをチャージして頑張るぞ!」
そういう気持ちの時、私はすた丼を食べます。
厚めの肉、ニンニクのパンチが効いたタレ、唇がテカテカになる脂。
その中毒性は、月に1回程度私の足をすた丼屋へと向かわせます。

先日、すた丼を食べていると、ふとご飯の上に敷いてある海苔を見て
「これってそば屋のカツ丼じゃね?」
と思ってしまいました。


時として主役を喰っちまう

ご飯の上の海苔がそば屋のカツ丼とは意味がわかりませんが、どちらも肉、そばという絶対的な主役が近くにいるという共通点があります。

今、いろいろなバラエティ番組に引っ張りだこのHIP HOPユニット「Creepy Nuts」。
私は数年前から彼らが好きで、楽曲やラジオをよく聴いています。

彼らの楽曲で「助演男優賞」という曲があります。
割と有名な方の曲ですが、その曲中に「そば屋のカツ丼、牛丼屋のカレー、またはバナナワニ園のレッサーパンダ、ダークナイトでいえばジョーカー、ブラックレイン松田優作、ロックフェスでのCreepy Nuts」という歌詞が。

いろいろと羅列されていますが、要は「主役ではないが、主役にない魅力を持っていて、時にその力は主役をも飲み込むほど」というような意味合いです。

そういえば前回私が投稿した『脇役の美学』。
助演と脇役。
彼らの曲に共感するのは必然だったのだろうとつくづく思います。


カツ丼、お前もか…(感嘆)

以前から好きで、よく食べていたすた丼。
私は肉、ニンニク、そして脂に中毒性があると思っていましたが、まさか海苔が黒幕だったとは。

知らず知らずのうちに、奴らは私をすた丼屋に引き寄せる中毒性の権化として私の食欲を支配していたのです。


これまで存在を認識はしていたが意識はしていなかった海苔。
静かに、目立つことなくじわじわと攻め込み、一気にすた丼という主役を食ってしまう様はまさに助演男優賞であると、そう昼過ぎのすた丼屋で感嘆のため息を漏らす私でした。


そば屋ではざるそばしか食べない私ですが、次はカツ丼を頼んでみようかな。
助演らしくそばを邪魔せず、しかしそばをも凌ぐその魅力に、私は再び感嘆のため息をつくのでしょう。

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