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メギドゲームブックの思い出を語る

メギド72、3周年おめでとう!

絶望を希望に変えるRPG、メギド72がサービス開始から3周年を迎えた。メギドを愛するいちプレイヤーとして、この節目にゲームブック時代のメギドの思い出を語ろうと思う。当時を知るエルダーの皆さんにはそんなこともあったなと思い出して欲しい(エルダーという言葉も、最近になって新しい設定が明かされワクワクしているところだ)。メギド72から入ったソロモン王の皆さんにも楽しんでもらえたら何よりだ。

まだプレイしてない方はぜひ上記から始めよう!​

ゲームブックとは

そもそもゲームブックとは何か知らない新世代の皆さんのために簡単な説明を載せておこう。ゲームブックは、小説でありゲームである。いくつかのパラグラフに分けられた小説に番号が振ってあり、読者の選択によって移動するパラグラフが変わり、物語の展開が変わるというものだ。ものによってはサイコロを用いる戦闘要素があったり、自分の頭でリドル(謎掛け)を解かねばならなかったりする。挿絵を用いたリドルが含まれるものもある。wikipediaに例もついた分かりやすい解説が載っているので、馴染みのない方は一度目を通しておくと楽しいかもしれない。

この遊びはスマートフォンの登場前、80年代に流行したがコンピューターゲームの台頭とともに廃れていった。今でもソーサリーシリーズなどジャンルを代表するものは復刻版が入手できるが、ほとんどは廃刊となっている。メギドゲームブックも同様だ。そのへんの古本屋では見つからないのだから、メギドのオリジナルがゲームブックだと知らないユーザが多いのもさもありなんといったところだ。

メギドのゲームブックは「悪魔の約束」「悪魔の塔」「魔を統べる者」の全3冊。それぞれの内容を、知らない方にも分かるよう書いてみようと思う。

悪魔の約束

1985年に鵜蘇八百書房から発売されたファンタジー世界観のゲームブック。とはいえこれがメギド72に連なる物語のオリジナルであるというのはほとんど知られていない。ゲームブックの主人公というのは、伝統的に『きみ』である。多くのゲームブックが、「きみは松明を掲げた」とか「あなたは大蛇に向かって火球を放った」とかいう文体である。この本の主人公、つまり『きみ』は『悪魔』の『エルダー』であり、道中戦う敵も『悪魔』『天使』『人間』などの単語が用いられている。エルダーはともかくほかはごく一般的な単語と言っていい。そのため、続編はともかくこの第1冊目はメギド72とはすぐに繋がらない。

だがこの本を最後までクリアした方なら、中盤の遺跡でラスボスを倒すために不可欠の謎を解いた覚えがあるだろう。そのリドルに出てくる詩の一節に「メギドが統べるメギドラル」というものがある。メギドという単語と悪魔を結びつけるのは聖書由来であるが、その意味ならメギドは地名である。メギドを種族名とし、メギドラルという世界の名前(こちらは造語)を登場させたという意味で、このゲームブックこそが物語のオリジナルであると筆者は認識している。この本においてはこの一節は単なるフレーバーテキストに過ぎないが、今や大きく広がった愛すべき物語の最初の一句なのである。

ストーリーは悪魔のエルダーである主人公が、とある『約束』を果たすためその相手を探す旅の途中、世界の存続に関わる陰謀に巻き込まれるというもの。ファンタジーものとしてはありきたりと言っていいが、主人公が悪魔に抗う人間ではなく、同じく力を持った悪魔の一柱というのがひねりがある。この本においてはエルダーは「強力な悪魔」程度の説明しかない。小説としての描写は結構残酷で、村一つ潰れたり目の前でモブが死んだりは普通にある。だからこそそれを覆すカタルシスも大きくなるのだが。

ちなみにこのゲームブックでは、敵は『炎の天使』やら『色欲の悪魔』やら抽象的な名前が採用されており、固有名詞はほとんど出てこない。例外はラスボスのバフォメットであるが、挿絵を見ると細かいところのデザインが村長の☆6メギド体に取り入れられているのに気付く。

悪魔の塔

1987年に鵜蘇八百書房から発売された「悪魔の約束」の直接の続編。主人公は前作と同一の悪魔のエルダー。だがこの本はゲームブックとしてはあまり評判が高くない。まずタイトルが当時日本のゲームブック界で傑作の呼び声高かった「ドルアーガの塔(同名のアーケードゲームが原作)」を彷彿とさせパクリ本だと思われたのと、酒場で強制的に絡んでくる三人組の会話がバカ丸出しとか、主人公がトイレに入ったら怠惰の悪魔がいたとか、妙に展開がコメディチックというかトンチキだったため残酷描写のあった前作からのファンが辛口評価をつけているのだ。とはいえそういうことを置いて1冊のゲームブックとして見てみれば、今でも十分プレイに耐えうる出来である。

ストーリーは前作で世界征服を企むバフォメットを止めたものの、『約束』を果たすべき相手には会えなかった主人公が旅を続けるうち不思議な塔を見つけて探索するというもの。塔は内部の空間が歪んでおり、1フロアが1つの小さな集落になっている。ザコ敵は相変わらずふわっとしたネーミングだが、フロアごとの中ボスには固有名詞がついている。筆者のお気に入りは選択肢によっては戦闘をせず階段への道を通してくれるマルコシアス。とはいえその場合だと取引の名のもとにアイテムを手放す必要があるので、体力に余裕がある場合は普通に戦っちゃうのはご愛嬌。挿絵を見ると現在のメギド体を彷彿とさせるデザインだが、四足である。

メギド72を始めて少し進めてからメギドの塔が解放されたとき、「悪魔の塔だ!」って叫んだエルダーのみんなは私と握手。悪魔の塔イベントのとき、ラスボスのバルバトスを倒すのにフェルシュングの力を借りたことを思い出したエルダーは更に固く握手。でもそのルートだと必須アイテム足らなくて裏ボス倒せないんだよね。悲しい。

魔を統べる者

1988年に鵜蘇八百書房から発売されたゲームブック。上記2冊のスピンオフという位置づけである。主人公の『きみ』はヴィータの青年(始終きみと呼ばれ明示されないので女性の可能性もあるが、挿絵の後ろ姿が上半身マントだけなので青年というのが通説)。そう、この本からヴィータメギドという名前が種族名として用いられる。この本には天使は登場しないので、ハルマという単語は未登場。

ストーリーはヴィータの青年が三柱のメギドのうち一柱と契約し、不思議な世界を旅しながら同じくヴィータと契約したメギドと戦っていくというもの。コロシアムではないが、ソロモン王決定戦の原型である。契約相手によって道中で使える魔法が変わる。この契約は契約としか書かれておらず、どう契約するのか詳細の描写はない。指輪も登場しないが指輪ではないと書かれているわけでもないので、メギド72プレイヤーは指輪で契約したんだなと思っておけばスムーズに読み進められる。主人公が契約できるメギドはウェパルアイムフォカロルの三柱。それぞれ水魔法炎魔法風魔法を操ることができる。違うメギドを選べば同じストーリーでも異なる方法で道を切り開くことになるため、一度クリアしても何度でも楽しめる。

序盤は町で聞き込み→バトルという流れの連続で少々盛り上がりに欠けるところが低評価を受けていたが、メギド72プレイヤーにとっては「敵陣営にいるブネ」「しわがれた老人の声のバラム」という要素だけで楽しめると思われる。

中盤以降はもはやお得意の、俺たちがこんなところで目先の利益を求めて小競り合いをすればするほど卑劣な作戦が進行するんだ!というやつ。序盤で倒した敵を生かしておいた場合、ラストバトルに駆けつけて手助けしてくれる展開が熱い。

この本に登場するメギドは一柱を除きすべて固有名詞がつけられており、そのほとんどがゴアティエ由来のため、ファンの間で主人公の青年はソロモンと呼ばれていた。固有名詞のないメギドこそがこのゲームブックのラスボスに当たる。そのメギドはペルペトゥムに寄った場合に得られる情報によるとエルダーで、倒したあとのエピローグでとある『約束』について話してくれる。

そしてメギド72へ

こうして振り返ると、世界観の基礎は当時からあったことが伺える。だがゲームブックの内容がそのままソーシャルゲームになったわけでは全くない。今我々を楽しませてくれるフォトンドリヴンなどの仕組みもゲームブックという形式上影も形も存在しないし、紙の本なので当然3Dモデルもない。これらはコンシューマーゲームとして発展するうち進化していった要素なのだ。

進化した要素も、希望を与えてくれるという変わらないストーリーも我々を魅了して離さない。今までもこれからも熱いメギド、4周年に向けて頑張って欲しい。8章楽しかったです。

お断り

言うまでもないことだが、このnoteは1から10まで幻覚である。メギド72といういい意味で90年代を感じさせる作品の力に乗っかって書き散らした妄想に過ぎない。改めてメギド72、3周年おめでとう!

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