【書評】『意味という病』:柄谷行人
語り得ないものについて語ること、そこで生じる理解と誤解ともどかしさ。僕が物心ついたころからずっと抱えていた違和感、それが「意味」という病だったんだと本書を読んで初めて気づいた。
著者は(自身も抱えているであろう)どうしようもなく拭いきれないような「病の症例」を、他の作家や哲学者の文章のなかに発見しては、その病状を例示してみせる(その行為自体が、あたかも「反復強迫」のようだ)。
だが、この病のやっかいなところは、はじめから「正常」がないところにある。したがって、根本的な治療