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Geminiに「Python実行機能」搭載!ChatGPTとどっちが便利?【徹底比較】

GeminiがPython実行機能を搭載

GoogleのAIツール「Gemini」の最新機能として「Python」を実行できる機能をリリースしました。(※有料のAdvancedプランのみ)

Pythonはデータ分析や業務自動化など幅広いシーンで活用されるプログラミング言語です。

ChatGPTにも同様の機能「コードインタープリター」が搭載されています。
そこで、今回の放送では、それぞれの Python実行機能を比較しまとめてみました。

・どちらの Python実行機能が便利なのか?
・GeminiとChatGPTを徹底比較
・ビジネス用途での活用事例を6つ紹介

この記事は、Voicyの放送のAI文字起こしをベースに記事化しています。
詳細はVoicyでご確認ください。


Geminiに追加されたPython実行機能とは

今回のニュースは、2月20日にGoogleのChatGPT対抗馬とも言えるChat型AIであるGeminiが、Pythonのコードを実行できる機能を搭載したというものです。

2024.02.20
Gemini Advanced 限定機能: Python コードの編集と実行
更新内容:
Gemini Advanced 限定の機能として、Python のコード スニペットを、Gemini のユーザー インターフェース内で直接編集して実行できるようになりました。コードをテストし、その変更が出力にどう影響するかを確認し、コードが想定どおり動作するかどうかを検証することができます。

Gemini リリースの更新内容より
https://gemini.google.com/updates

「コードスニペット」とは、ある処理を実現するための短いコードの塊のことです。

今回の機能追加により、提示されたコードをその場で実行したり、ユーザーがコードを編集して実行結果を確認できるようになったのです。

この機能によって、自分の開発環境でいきなりコードを試す前に、Gemini上で予めコードの動作をシミュレートできるようになります。コードのバグ修正などに活用できそうです。

[図あり]ChatGPTとの比較


次に、ChatGPTとの比較についてご紹介いたします。
ChatGPTにもコードインタープリターという近い機能があります。これは自然言語で命令することで、ChatGPTがPythonのコードを書いてその場で実行し、結果を返してくれるというものです。非常に便利な機能で、データ処理やグラフ化などを簡単に行うことができます。

ただし、ChatGPTのコードインタープリターとGeminiの機能にはコンセプトの違いがあると考えています。ChatGPTの機能は「だれもがデータサイエンティストになれる」とアピールされており、ファイルのアップロードやダウンロードに連携しています。
一方、Geminiはファイルの処理には対応しておらず、機能はむしろコードのデバッグ・テストを目的とした環境であると思われます。

つまり、ChatGPTは実用を重視し、Geminiは学習・検証を重視しているように見えます。

事例1: 日付一覧の出力

それでは、実際にGeminiのPythonコード実行機能を試してみた事例をご紹介します。

まずやってみたのが、「今年の月曜日の日付を全て出力してください」という簡単な処理です。Geminiにこの命令をすると、Pythonのコードが生成され、実行ボタンが表示されます。ボタンを押すとコードが実行され、日付の一覧がすぐに表示されるという感じでした。生成速度は非常に速く、コード実行環境の性能の高さを実感できます。

事例2: CSV出力

次にCSV形式でファイル出力してください、という命令をしましたが、これは残念ながらエラーとなってしまいました。今のところGeminiのコード実行機能ではファイルの入出力ができないようです。

一方でChatGPTのコードインタープリターはファイルのアップロード・ダウンロードに対応しているので、差分がはっきりしました。

事例3: Amazon商品情報取得

最後にAmazonの商品データを取得してください、という命令も試みましたが、必要なライブラリのインストールができずやはりエラーでした。使用できるライブラリに制限があるようです。Webアクセスが必要な処理は難しいでしょう。

事例4: グラフや表の出力

次にグラフや表の出力ができるかどうかを確認する事例を行いました。

グラフの出力:
ChatGPTのコードインタープリターでは可能な機能です。しかし残念ながら、Geminiでグラフ描画のPythonコードを生成・実行してもグラフは表示されませんでした。恐らく結果を画面出力することに制限があるのでしょう。

表としての出力:
ChatGPTなら表形式に整形してファイル出力も可能ですが、Geminiはテキスト出力するという結果でした。表のように見やすい形式での出力には今のところ対応していないようです。

表を書かせてからPythonで処理させる

そこで試してみたのが、予めGeminiに表データを出力してもらい、そのデータをPythonで処理するという方法です。具体的には、都道府県名とコードの対応表を出力してもらった後、コード順に並べ替える処理を加えました。この場合、ある程度まとまった行数のデータをPythonで処理できることが確認できました。

ただし課題もあり、途中でデータが省略されてしまうなど完璧とは言えませんでした。また事前に表データを用意する手間がかかるので、毎回この方法を使うわけにはいきません。ですが、応用の可能性としては面白いアイデアだと思いました。

Geminiはもともと「暗黙のコード実行」機能がある

ここで補足といたしまして、Geminiや以前のBardには「暗黙のコード実行」と呼ばれる機能があり、ユーザーからの質問に計算処理が必要な場合には内部でプログラムを実行していたことをご紹介いたします。

例えば、「今年の月曜日すべてを出力せよ」、といった質問の場合、Geminiは内部的にはその処理を実現するためのコードを自動生成、実行していたはずです。

今回の機能追加により、その内部プロセスの一部をPythonで可視化できるようになったともいえます。ユーザーがコードを書き換え可視化、検証できるようになったことで、Geminiの挙動をより深く理解できるようになったと考えています。

計算中心の質問に対しては、これまでも正確な回答を得られていたので、今回の機能が直接役立つ場面はそう多くはないかもしれません。

第二言語としてのPythonスキルの重要性

最後に、Pythonというプログラミング言語の重要性がAI時代においてますます高まっていることをご紹介したいと思います。

以前から申し上げている通り、PythonはAIとのコミュニケーションツール、いわば共通言語としての地位を確立しつつあると考えています。今回のGeminiによるPythonコード実行機能の追加も、その流れの表れだと捉えています。

ChatGPTのコードインタープリターに始まり、Excelとの連携機能であるPython in Excel、Copilotとの連携など、Python言語は様々なツールとつながっています。AI自体がPythonに対応する流れは明らかであり、外せないスキルになっていくと思います。

今後とも、第二言語としてのPython力を高め、AIの可能性を更に引き出せるようにしていきたいと考えています。GeminiのPythonコード実行機能も、AIと人間が協調するアイデアを広げる有用なテクノロジーだと捉えています。


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