リンゴは、そんなに赤いのか?

絵が上手に描ける人は、情報を正確に捉え、自らの表現に「必要な情報」を選択している。

これは、世間的にあまり絵が上手ではないと言われる人が描いたリンゴです。「リンゴは、赤く、Appleのロゴのような形をしていて…」などの自分の知識の中で構築されたリンゴなのです。

リンゴだと分からないわけではない。ただ、本物のリンゴとは異なる。


「絵が上手」と一般的には言われる人は、正確なリンゴを観察して描ける。

輪郭を一発で描くのではなく、指の一関節くらいの長さの線を置く。一筆で綺麗に描けるようになるには、相当の年月が必要になる。

リンゴは、立体的である。立体のモノには、必ず光と影がある。その意識を持ちながら「リンゴの赤」を置く。

ただの「赤」では、ない。

リンゴにも黄色がある。

情報を細かく見て、必要な情報を選択しながら絵を描いていく。


絵本のような可愛らしいを絵を描く人、漫画のような独特なタッチで描く人。ゴッホのような世界観がある人。このような人たちは、見た情報を特徴的に描いているだけで、存在しない情報を描いているわけではない。絵を描き続け、特徴をどのように表現すればいいかを身につけているのである。

一番はじめのリンゴ(世間的にあまり絵が上手ではないと言われる人が描いたリンゴ)も見た情報を特徴的に描いているとも言える。
それを意図的に表現しているか、していないかの違いである。

モノは、完成形で評価される。しかし、コンセプトやストーリー次第で、その完成形の評価も変わっていく。モノづくりで、コンセプトを考える意味は、そこにある。

(世間的にあまり絵が上手ではないと言われる人が描いたリンゴ)も「幼稚園児が頑張って描いた」というストーリーがあれば、絵の見方が変わってくる。

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