見出し画像

ドービニー展に行ったよ!

ひろしま美術館で行われている「シャルル=フランソワ・ドービニー展」へ行ってきました。

この特別展は、箱根にあるポーラ美術館を訪れた際に知りました。
当時はすでに倉敷の大原美術館に行こうと思っていたので、倉敷と広島近いやん!ついでに行くか!というような感じで来館を決意。
このように、正直あまり期待せずに行きました。

ところが、ま~すんごく良い特別展でした。
今のところ今年のお気に入り展覧会の上位に入ります。
(因みにその他の上位は、三菱一号館美術館での「フィリップス・コレクション展」と、Bunkamuraでの「ロマンティック・ロシア」です。)
まぁ単純に私がドービニーを気に入ったというのもありますが、オリジナルキャラクター(ドービニーくん)を考案したり、アニメを作成したりと、結構力が入っていたように思います。
特にドービニーの画家人生を描いたアニメは良かったです。
親しみやすいキャラ、分かりやすいイラストと説明で、ドービニーを全く知らなくてもなんとなく彼の作風が分かります。
惜しむらくは英語の字幕が無かったことですかね…。展示会自体、外国人観光客が結構来てましたし、私の隣でアニメを見ていた外国人観光客は、日本語のみだと知ってすぐ離席してしまいました。
とても残念でした…。
あと、ドービニーくんが個人的にすごく好みなのですが、てっきりグッズがあるだろうと思いきや何もありませんでした。
え??!!?!看板だけ??!?でした。

ドービニーは、所謂「印象派」よりも早い段階に活躍した画家です。
「バルビゾン派」と言うのだそう。
彼は、官展で作品を評価されて画家としての評判を上げていくという、伝統的な方法での大成を目指します。
ところが、官展に二度も落選し、そのことで(宗教画や肖像画などの)伝統的な絵画ではなく、風景画を描くようになります。
ただ風景画を描くだけでは飽きたらず、なんとアトリエ船を製作して、船に乗って絵画作成に取り組みます。

このように、ドービニーの作品の多くは風景画、それも水辺のものとなっています。
ドービニーの風景画は正しく「王道」と呼べるものでしょう。
木の葉を一つ一つ細やかに描写し、時刻に伴う空の色の変化を表現し、水面を正確に描きます。
「水の画家」と呼ばれるだけあって、水面の描き方は本当に見事です。
展示会の一枚目の作品で既に心を掴まれました。

風景の描写力はさることながら、風景の中に可愛らしく動物などが書き入れられているのが個人的に好きです。
川面をアヒル(?)の親子が横切っている様子や、馬たちが水を飲んでいる様子、えっちらほっちら働いている人々の姿、などなどが然り気無く描かれていて、思わず笑ってしまいます。
お茶目な人柄だったのでしょうか。
風景画って、「これは朝だな」「雪が積もってるし冬かな?寒そう~…」「水浴びしてるってことは初夏くらい?」というように、絵画から色々想像するのが楽しいと思っています。
そこに、「夕焼けが描かれてるし、仕事終わりかな?疲れているのかな…」「アヒルの親子だ!生まれたてかな?」などの想像も加わり、脳内はとても賑やかでした。

この展覧会、音声ガイドがなかったのですが、逆にないほうが色々想像できて楽しいのかもしれません。

ドービニーの作品には、時が経つにつれ、筆致が荒々しく風景の「印象」を表現するようなものが出てきます。
これが後の印象派に繋がるのですが、個人的にはドービニーは前期の写実的な風景画が好きです。

また、彼は版画も作成していて、アトリエ船での製作活動を記した版画集を出しています。
銅版だったのですが、「は~、あなた、そんなこともできるの…」と感心するほどでした。
この版画はもともと近しい人たちに見せることを想定していたからか、可愛い動物たちが多く描かれています。
船上で昼食をとっているドービニーらを見上げて口を開けている魚なんて見たら、きっと笑ってしまいますよ。

作品が徐々に評価されていったからか、後期になると大きいサイズの作品が増えます。
ですが、前期の作品は比較的小さいものが多く、目を凝らして見ていました。
今となっては、官展の審査員よ、彼を落選にしてくれてありがとう!って感じもします。
複雑ですが。

いや~、本当にドービニー展よかったです。
迷わず図録を買いました。
中国地方にお住まいの方々に是非お奨めしたいです。

勿論、ひろしま美術館の常設展も堪能しましたよ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?