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おっさんずラブ−リターンズ−からいただいた宝物

おっさんずラブの感想の期限は、5月3日までと決めていた。
5月4日からは私の優先順位が家族と仕事に変わるからだ。
といいつつ、もうすでに5月4日を迎えている。
時間の使い方も学び直さなくてはならない。

私はこれまで、おっさんずラブの感想が書けなかった。
=in the sky=の時は感動しすぎて明後日の方向に行ってしまった。
今作リターンズを見て、やっぱり感動して、この感謝の気持ちはやはり形にしなくてはと、自分の意思ではあるけれど、書かねばならない心から湧き上がる使命感みたいなものに突き動かされていた。
今度こそ絶対書けるぞと、根拠なき自信で意気込んでいざ始めたのだが、なかなか言葉にできない。
素敵だと思っている気持ちはあるけれど、言葉になかなかできない。
何でなんだろうと、期限のギリギリまで粘ってみたけどわからなかった。
そうなのだ、私はやはりこのドラマの素晴らしさをよく理解できていなかったのだ。

でも、とても感動している私がいる。
感想を書くことでいろんなものを失ったけれど、結果自分の大きさを知ることができて、挑戦させていただけて感謝の気持ちでいっぱいだ。

何にも理解できなかったのかと言うとそうではなくて、ドラマ本編をとおして自分の周りや手元を見た時に、嬉しい気づきがあったり、何を軸にどのようにこれから生活していきたいのか、きちんとは理解できていないかもしれないけど、今の私が感じていることを記しておきたい
ドラマ本編をよく理解できていない私にとって、今一番重要なところはここだと思うのだ。

重ね重ね、こんなに素敵な作品を作ってくださった、おっさんずラブチームの皆様には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
すみません。


”日本のラブ”ってなんだろう

人によって違うと思うけれど、今の私が感じている「日本のラブ」について書き留めておきたいと思います。

結論から言うと、「春田創一の生き方は、私も大好きな仏教哲学の良い香りがする」ということです。
「他人を思いやり、自分の善い行いによって他者を救済する」利他の心。
いろんな人との関わりの中で他者を観察し、自分を分析し、それまでの自分の枠組みを解体し、新しい自分を組み立てる。そこからまた他者との関係を深めたり、新たな人との繋がりを作っていく。仏教の”空”や”縁起”の実践を見ているようなのです。

私はこれまで春田創一に対しては、「優柔不断」「いい人」「子供っぽい理想論」という印象しか持たなかったのだ。お恥ずかしい限りだ。
しかしリターンズ第4話で一気に見方が変わる。
牧のお父さん(以下 牧父)のお尻を拭くことができた日の夜の春田と牧の会話のシーンである。

春田「牧の家族は、俺の家族でもあるからさ。楽しい時も大変な時も、分かち合いたいって思ってる」

おっさんずラブリターンズ 第4話より

気づいたら、私は心のペンライトを春田に振っていた。
大切な人の大切な人を自分も大切にしたいって、とても素敵なことだし私もそうしたいと思っているけれど、初めはやはり難しいのだ。特に牧父には、春田がストレートすぎるところもあって、逆に反発されて当たられてしまうこともあった。私だったらそこで尻込みしてしまうところだが、春田はその壁を果敢に超えていくのだ。
牧父の困難に自ら飛び込んでいくものの、関わり方がわからなくて一度は失敗する。でも和泉さんとの縁でそのヒントを得ることができ、牧父を理解し関係性を深めていったのだ。
見たまんまのことを言っているが、私はこの春田の行動力とこのセリフに表れている春田のあたたかな利他の心に感動した。
牧、あなた本当にすごい人をパートナーにしたのね!と、春田の尊さに若干引きながらも感動している牧の背中をバンバン叩きながら私も感動していた。
春田がモテる理由がやっとわかったのだ。

そんな春田に影響を受けて、リターンズでは牧も変化していく。
私の勝手な印象だが、牧はどちらかと言うと春田と自分二人の関係に重点を置いていたような気がする。もちろんそれが一番大切なのだが、そこに春田の他の人とも関わってこれまで自分が知らなかった、何と言うか共同体の中の幸せというのを理解していったように感じる。おむつパートナーからのおむつ同盟であり、牧主催の”春田さんを幸せにする会”である。本当に素敵で牧の成長とともに泣いた。
最終話の春田の「牧といる何気ない時間が一番幸せ」というのにも、感慨があった。2018年のときはみんな大切すぎてどうしたらいいのかわからなかった春田が、牧や部長をはじめたくさんの人との関わりの中で、失敗をしながらも、みんな同じくらい大切だけど牧が一番大切という、なかなか言葉で表現することが難しい大きくてあたたかな愛の人になっていたことに、やっぱり感動したのだ。
人は人との関わりで変化していく。どのような人と関わるかでその変化の仕方も変わっていく。おっさんずラブの素敵な”縁起”を感じながら、とても心ぽかぽかして満たされて、何だか呼吸がしやすくなったことを覚えている。
思い返せば私にとって「おっさんずラブ」シリーズは、どれも見終わった後に呼吸がしやすくなる作品だったと思う。
なんでかなと思っていたのだが、私にとってはここにあったのかと気づくことができた。

リターンズが放送されている時に、私はたまたま「維摩経」の解説本を読んでいました。もともと前述している仏教哲学が好きで知識として本を読んでいたのですが、抽象的なところもあってどのように実生活で生かしていったらよいのか理解していなかったのです。
しかしながらこの「維摩経」は、維摩居士という人が病気になった!お釈迦さまの代わりにだれがお見舞いに行く?と言う場面から始まる物語でもあり、維摩居士と文殊菩薩や周りのお弟子さんたちのやりとりがとても面白いお話です。そのやりとりに頭が爆発しそうになるのですが(笑)。
この維摩居士の生き方(実は仏様なのですが、在家の方々と共に生き、その関わりの中で人々の苦悩を救済する)が、春田創一の生き方と重なって、維摩経の解説本を見ることでより春田創一が理解ができたような気がするし、春田創一を知ることで今も昔も変わらない人と関わる上で大切なことを知ることができたような気がします。

「維摩経」は紀元1〜2世紀ごろにインドで作られ、その後中国に伝えられて、日本には飛鳥時代ごろにやってきます。聖徳太子の三経義疏の一つでもあります。人との関わりで大切なことは2000年前も今も根本的なところは変わっていないし、全く色褪せていない!
時代は目まぐるしく変わっていくけれど、よりよい生き方の軸はこのような古典の中にやっぱりあるのだなと改めて感じました。
古典はとっつきにくいし一度で理解できるものでもない。
仏教にしても論語にしても、実践してなんぼだと言っています。
リターンズを見ていると、そんな古典の大切なエッセンスを現代語訳して、しかも実践レベルで提示してくれれていると私は感じます。

リターンズでは他にも、古来から日本人が大切に今日まで伝えてきた古今東西の哲学や物語のエッセンスが散りばめられていると思います。
私が見つけられたのは、荘子の「莫逆の友」や菊様の部屋に飾られてあった宮本武蔵・五輪書の「万里一空」、後漢書の「虎穴に入らずんば虎子を得ず」くらいですが、まだ知らないけれど素敵だと感じている何かがたくさんあると思います。
春田たちの考えの根幹がこういうところにあるので、それによって彩られた春田たちの素敵な関係性が「日本のラブ」なんじゃないかなと私は考えています。

リターンズは多くを説明しないし空白も多い。だからこそ、時間が経ってこのドラマを見返す時に見方が変わって面白い(これまでもそうだった)。
その時々の自分を知ることができるような気がします。変わっているところもあるし、やっぱりここは変わってない!そのような楽しみ方もできると思っています。

そして、春田たちの考えの根幹が「日本のラブ」に基づいているから、時代が変わってもこの作品で描かれている大切なことって変わらないと思うのです。そして再び見た時に新しい発見がある!
1年後、数年後見た時の自分の感じ方も楽しみだし、姪っ子たちといつか一緒に見て感想を言い合いっこするとか、そんな楽しみもあるなと私は考えています。姪っ子はこの前4歳になったばかりなので10年くらい先の話ですが。それでも決して色褪せてないと思うんです。

途中からすごく抽象的な話になってしまった。
そうなのだ、私は頭でっかちなだけでやっぱり理解はできていないのだ。
第8話を見終わったあとに書いていた感想のメモの冒頭は「こういざ書こうと思うと、言葉が出てこない。」だった。
すごく素敵だなと思ってても、どう素敵なのか言葉が出てこない。
まだまだ実践レベルで私は理解できていないと感じました。
私が今やるべきことは、ここで考えることではなくて、おっさんずラブで素敵だなと感じたことを実生活でどんどん実践していくことだと思いました。
顔と名前をお互い知っている身近な人たちの中で、衝突することや失敗すること、失うものもたくさんあると思うけれど、余計なものは削ぎ落として、合わないなと思ったら解体して作り直して、でも自分の中でこれだと思うものは突き通す。
私ができることはやはりとても小さなことだけれど、それで自分と自分の周りの温度をすこし上げることができたら、それでいいじゃないかと思うのです。春田のようにはなかなかなれないけれど、思い切って真似してみて失敗して自分の形を作っていくことに挑戦していこうと思います。
私ももうすぐ40。人生の折り返しにきているのか。
そんな時に、これからの私の人生の軸になるような素敵な作品と本に出会えたことはこれ以上ない喜びです。
ドラマ本編の感想ではなくて、本当に申し訳ないのです。
これから先、また激流の中で大切なことを見失いそうになる時がたくさんあると思うけれど、そんな時こそ一息つきながらリターンズと維摩経で原点回帰して、周りの大切な人たちと共に日本の片隅の温度をちょっとずつ上げていこうと思います。


リターンズを通して一番嬉しかったことと、これから何度つまずいてもぜったいにやりたいことを書いておく。
時々自分でも見返して、決意を新たにして頑張っていこう。

身近にいた「はるたん」〜実の弟について

おっさんずラブ−リターンズ−をとおして、私が一番嬉しかった出来事がある。
それは、身近な「はるたん」の存在に気づけたことだ。
それは私の実の弟である。

おっさんずラブ−リターンズ−の放送が終わってしばらく経った頃、母から電話があった。「弟の足が腫れて病院に行って診てもらったんだけど、先生は入院を勧めたけど弟は一旦家で様子を見るといって帰ってきたのよ。でもなんか腫れも酷くなってきているようだし痛みも強いようなのよ。どうしたらいい?」という内容だった。すぐに実家に行って見てみると、明らかに蜂窩織炎でそりゃ先生が入院を勧めるような状態であった。最近は劇症型溶血性レンサ球菌感染症が増えているし、そうでなくても油断したら命に関わる状態に移行するかもしれない。弟には、先生の言うとおり入院をしたほうが良いと伝えたのだが、弟はなぜか入院に消極的だったのだ。今にも皮膚ははち切れそうだし痛みが強いのに。なぜなのか話を聞くと「明日は職場の人が休みを取ってご家族に付き添って病院を受診する。僕が休んだら職場の人はご家族と病院に行けなくなるんだよねー。」と言ったのだ。聞いた時、いや仕事に行くも何も歩けないだろう、そんな状態で言っているのか?と思ったのだ。職場の人間関係が悪くて休むに休めないのかと思って聞いてみたらそうではないらしい。シンプルにそう思って悩んでいたのだ。どうみても仕事はできないし、入院して直したほうが職場復帰も早いし、あんたがいなくなるほうが職場の損失になると考え直してもらって、職場の方に連絡してもらい何とか入院してもらったのだ。もちろん職場の方も状況を理解してくれてしっかり治して戻ってきてほしいとおっしゃってくれた。
どういうことだったのかと考えていた時にたまたま叔母に会い、弟のことを話した。その時言われたのが「あの子は本当に純粋な子。なかなかいないわ。大切にしなさいね。」ということ。
確かにダマされやすかったり、ワンテンポにぶかったりすることもあるけれど、それは相手のことを素直に信じる心であったり、相手を受けとめてしっかり考えていたということなのかもしれない。ちょっとズレているところもあるけれど、謎の行動力もあって信頼できる友達も私よりずっと多くてそれが長続きしているのだ。そのときふと春田創一の顔が浮かんだのだ。なんと自分の身近にも「はるたん」いたんだと。しかも実の弟。とてもしっくりきたのと、それに気づくことができたことがものすごく嬉しかったのだ。推しが身近にいたのだ。そのことに気づくことができたのもおっさんずラブ−リターンズ−のおかげなのだ。
弟は現在介護ヘルパーとして働いている。精神的にも体力的にも大変だと思うのだが、弟は介護ヘルパーの仕事が好きだと言っている。利用者さんにも人気らしい。そんな弟が自慢だし、心から尊敬している。
そんな弟がここ数ヶ月元気がないように感じるのだ。
おこがましくも、そんな彼のために私は何ができるだろうか、何をすべきなのかとずっと考えていた。
まずは話を聞いてみようと思うのだ。

仕事のこと

今年の6月から、私の部署の仲間が産休に入る。
喜びの気持ちでいっぱいなのだが、これまでギリギリの人数で回してきた仕事を、いよいよどう考えても足りない人数で回さなくてはならない。
私は普段、病院で薬剤師として働いている。
薬剤師はいずれ供給過多になると言われているが、偏在していて地方の病院は常に人手不足だ。その理由も納得できるから、人手不足を解消しようと色んな団体が動いてくださっている。
新しいシフト表を部署のみんなと相談しながら作ったが、定時に終わらないかもという内容だ。患者さんの安全と自分たちの健康を考えて、業務の見直しをした上でつくったものだから、もうやるしかない。
なりたくて進んだ道ではなかったが、自然科学が好きな私にとって今の職業はなんだかんだ性に合っている。しかし志高く始めた仕事も、仕事に追われ人間関係の疲れもあって星の数ほどやめたいと思ったし、あまりにも頭に来て当時の上司にブチ切れて、やめてやるーーー!と言ったこともあった。でも、その時引き留めてくれた今の上司のおかげで今の仲間たちに出会うことができ、大変な状況ではあるけれど楽しく実りある環境の下で仕事ができている。この仲間たちや環境を失いたくないし、これからもより良い医療を他職種と連携しながら患者さんに提供できるように、この仲間と共に努めていきたい。
医療もチーム連携が必須だ。「おっさんずラブ=in the sky=」の仕事論やTPAのみんなの姿に学ぶことが多々あって、心の拠り所にもしてきた。これかはらシリーズすべてが私の心の拠り所の一つになるし、黒澤キャプテンにはいつまでも私に激を飛ばし続けていただきたいと思っている。

地元の新しい名産品 カモミールティー

地元の新しい名産品にカモミールティーがある。
無農薬&手摘みで作られるカモミールティーは、爽やかでフルーティー。まろやかで飲みやすくてとても美味しい。
カモミールティーはリラックス効果があると言われているが、仕事で疲れた日に一杯入れてほっと一息ついて寝るとぐっすり眠れる。
このおいしさをたくさんの人に知ってもらいたいと私は思うが、生産者も生産量も多くなく、今のところ地元のみで販売され、通信販売の予定もない。
ちょうど今が収穫の時期で、夏頃にその年の新茶ができあがる。
知り合いを通じて毎年購入しているが、今年は友達や親戚とのお茶会に持っていってみようと思うのだ。好き嫌いがあるから好みを聞きながら。
カモミールの香りは青リンゴのようだと言われるけれど、私はそうかなぁ?と思うが、あの爽やかでフルーティーで瑞々しい香りが、この時期カモミール畑いっぱいに広がっている。
今年は予定が決まる前から別の予定を入れていたので叶わなかったが、来年は収穫会に参加して、地元の人たちと話しながら貴重な畑の維持について考えて、できることをしていきたいと思うのだ。


おしまい。
短い間でしたが、本当にありがとうございました。
また会う日まで。
皆様、何卒お元気で。

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