発達障害を「身体・ストレス」から捉えた本 "Autism and the Stress Effect"を読んで。


本の概要

発達障害は、こだわりが強いとか、衝動的とか、行動面に注目して、その行動そのものをどうやって改善しようか、と捉えるのが一般的ななかで、

多くの子供たちが、便秘、高血圧、糖尿病、肥満、睡眠障害、不安、うつなど、健康面に問題を抱えていること、そして、ここから発達障害と表される行動が現れていることに注目、

体調や健康面の問題、いわゆる「ストレス」という視点から、発達障害にアプローチすると(主として、食事と運動を見直すと)、子供たちが改善していくということを示した、

アメリカの重度自閉症療育施設「The Center of Discovery 」の運営者による著書。

上記はポイントだけで、本の内容は、実務家が書いているので、実践的、包括的なアプローチが描かれています。

本の感想

例えば、よく攻撃的な行動をとるお子さん、お医者さんが診断したら重度の便秘で、それがストレスになって攻撃的な行動として表れていて、便秘が改善したら攻撃的な行動が減った、とか、

びっくりです。

発達障害を「身体」から捉える視点は、近年、当事者からたくさんの声が上がることで注目され、2017年にNHKスペシャルで特集されたりして、注目が集まっていますが、

そこでの身体は、主に、聴覚過敏、特定のモノがまぶしい、肌にさわられるのが不快、片足立ちがうまくできないなど、「感覚」に関する話題が多く(感覚神経に関するトラブル、感覚統合の話など)、

自律神経や免疫などに関するもの、体調や健康面については、調査しても文献はあまり見つからず、当事者から声は上がっているも(体温調節がしにくい、体調不良になりやすい)、整理されていない印象でした。
(あくまで自分の限られた調査の中での印象です)

ここに正面から切り込み、

運動、食事、睡眠などを中心にしてアプローチすると、
子供たちが改善していく、

ということを示した画期的な本だと思います。

「運動」が主なアプローチの一つなので、

- 地域のスポーツクラブや学校体育が、なぜ、大事なのか?
- これからどんな役割を担うことができるのか?

医療・福祉関係者だけでなく、体育、スポーツ関係者も参考になると思いました。

この本は、小児科医の積田綾子先生から勧めていただいた本で、実際の診療でも、ストレスに注目して、運動や食事、睡眠を見直していくことで、子供たちが改善していっているそうです。

日本語訳が早く出ることを祈ります。

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