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柔道クラブがいい教育をつくる視点~「なぜ学校と地域の協働が必要か?」から~

先日、宮城県石巻市の石巻専修大学で開催された「石巻教育カンファレンス2019」に参加し、大正大学の浦崎太郎先生の講義を拝聴したのですが、とても参考になりました。

1.浦崎太郎先生の講義

以下、自分なりに簡略化したメモです。

-これから求められる能力(AIにできないこと)とは自分で問いを立てる力。自分で立てた問いに夢中になってやる(努力するのではない。夢中は努力に勝る)。しかし、問いは「現場」にいかないと生まれない。つまり、これから求められる力は、学校の中だけで育むことができない。だから地域と協働する必要が生じる。

-問いは自分で立てるもの。先生や地域の大人が「地域の課題はこれ」と提示しても効果がない。一人ひとりに即した問いを促す必要がある。

-生徒が自ら問いを立てることができないとき、どうしたらいいか?地域で思いっきり遊ぶこと。地域に浸り、「楽しい!!」という経験から、主体性や問いが生まれる。

-皆が個別に問いを立て始めたら、先生はどうオペレーションするか?高校生の場合、進学につながる問い(AO入試など)、つながらない問いがある。地域の課題と個人の問いが重なるようサポートする必要がある。段階的に実施する。

-すでに、地域と協働したカリキュラムを実施している先駆的な高校では、地域の課題解決に夢中になって奔走している高校生が生まれている。昔は、ちょっとボランティアした程度で推薦で大学入学できたが、もうない。

-それぞれの生徒の興味関心と地域の課題とを効果的にマッチングする組織(地域・学校魅力化コンソーシアム)が必要になる。

2.応用

学校のこれからについてのお話でしたが、これは柔道クラブ(部活動を含む)に当てはまるのではないかと思いました。

単純化すると、柔道やスポーツクラブには、二つの側面があります。一つは競技者の育成。競技の「中」で、柔道の技術を身につけて、大会での上位を目指して頑張ったり、スポーツとして楽しんだりと。

もう一つは教育的な側面。稽古を通じて何か大切なことを学び、学校や仕事など、競技の「外」でそれを活かしていく。屈強な身体とか、最後まで頑張る力とか、誠実さや規律さを重んじる姿勢とか。

「柔道は人間教育」というとき、後者の側面を言うと思うのですが、それでは、柔道クラブが教育機関として優れた人間教育を提供するためにはどうしたらいいのでしょうか?

もしそう考えたら、学校がいい教育をつくるため、学校の中で完結せず、地域と協働していい教育をつくろうとしているように、柔道クラブもまた、地域と協働することでいい教育をつくっていくことができるのではない、という視点が得られる。

そういえば、柔道している小学生の子ども達が地元のお祭りに屋台を出して、仕入れ・仕込み・製造・販売・接客まで全部自分たちでやって、商売を体験してみる、という取り組みをされていた柔道クラブがありました。柔道クラブと地域が協働して生みだした素敵な教育プログラムだと思います。

地域との協働といっても、地域は地元だけではありません。おすすめは、海外の柔道クラブとの協働。日本の地域の子ども達が海外にいって柔道をしたり、海外の子ども達が日本の地域にきて日本の子ども達と柔道すること。NPO法人judo3.0はそのマッチングを行い、子ども達が世界を巡りながら学ぶ環境づくりを行っていますが、今回の浦崎先生の講義は自分たちの活動を理解するうえでもとても素敵な示唆をいただきました。感謝です。

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