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Vol.12 14人に1人は体外受精児 不妊治療をしている人は特殊ではない。

東京都港区北青山にあります不妊治療クリニック「表参道ARTクリニック」です。(ホームページ:https://omotesando-art.jp/

こちらのnoteで生殖補助医療(ART: Assisted Reproductive Technology)やその周辺の分野をご説明する中で不妊について疑問、不安、お悩みをお持ちの方が「そうなんだ!」と理解できる機会をご提供できればと思っています。

※こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。


●不妊治療クリニックに足を運びづらい

「赤ちゃんが欲しい」と望んで不妊治療専門の病院やクリニックを受診される患者さんの中には、周りの人たちと比べて自分たちが妊娠しにくいという事で劣等感を抱いたり、ストレスを感じたりする方がいらっしゃいます。
また、不妊治療によって赤ちゃんを出産された方の中には、生まれた赤ちゃんが体外受精等によって生まれた事で、そのお子さんが周りから変な目で見られるのではないかと心配する方もいらっしゃいます。

しかしながら、実は不妊治療によって生まれてくる赤ちゃんの数は年々増加しています。そんな現状を今回はご紹介していきたいと思います。
それによって、「こんなにたくさん体外受精で生まれている赤ちゃんがいるんだ」と、今、不妊治療を受けている方やこの治療をまだ受けた事がない世の中の方々に不妊治療をもっと身近に感じていただければと思います。
そして、赤ちゃんが欲しくて一生懸命に治療に取り組まれている患者様の不安を少しでも和らげることに繋がれば幸いです。

●数値で知る不妊治療

先ず、この日本国内で1年の間にどれくらいの赤ちゃんが生まれてきているのかをみていきましょう。
下のデータ図1)は、厚生労働省から毎年発表される『出生数の年次推移』を基に日本国内の1年間に生まれた赤ちゃんの人数を2015年から2020年までまとめたものです。
これをみると国内の出生数は、年々減っていることが分かります。
もう少し細かく説明すると2016年には100万人を切り、昨年(2020年)は85万人以下となりました。
つまり、出生数はこの6年間で16万4845人も減っていることになります。

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※ (図1) 参考:厚生労働省 『出生数の年次推移』(2015年~2020年)より

では、次に国内で1年間にどれくらいの赤ちゃんが一連の体外受精によって生まれてきているのかご紹介していきたいと思います。
皆さんは1年間に体外受精によって生まれてくる赤ちゃんは何人くらいいると思いますか?

まわりでそこまで聞いたことないし500人くらい?
最近話題にもなっているし、3000人、それとも5000人くらい?
皆さんの予想は何人だったでしょうか。

日本産科婦人科学会の報告を基に各年の体外受精によって生まれた出生児数をまとめたデータ(図2)によると、実は体外受精によって生まれる赤ちゃんは既に年間5万人を超えています。
体外受精によって生まれてくる赤ちゃんは年々増加し、今年発表された2019年に関する報告では、遂に6万人を突破しました。
つまり、2019年に生まれた赤ちゃんは、約14人に1人が体外受精児であるということになります。
これは、40人のクラスの中に約3人は体外受精によって誕生したお子さんがいると言う事です。
また、1983年に日本国内で初めて体外受精により赤ちゃんが誕生してから2019年までの間にこの技術で誕生した命は累計で71万931人にも上ります。これを聞いてどうでしょう。
皆さんの想定よりもかなり多い数だったのではないでしょうか。

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※ (図2) 参考:日本産科婦人科学会 倫理委員会 登録・調査小委員会報告体外受精・胚移植等の臨床実施成績『治療法別出生児数及び累積出生児数』(2015年~2019年)より

●不妊治療が増える社会的背景

高度経済成長期を経て日本社会が成熟していく過程で、女性の社会進出が進みました。
しかし一方で、その実状をきちんと支えられるほど、企業や社会が進歩しなかったために、女性がキャリア形成を考える上では、新人扱いされるような20代前半のうちは結婚、出産などでキャリアに空白を作ることが考えづらく、ある程度キャリアを積んで時間に余裕が持てるようになってから子育てを考える方が増えていることが、出産の高齢化や体外受精の増加につながっていることが考えられます。
厚生労働省が発表した2019年までの第1子出生時の母の平均年齢の年次推移(表1)に示されているように2005年以降は、第1子出産時の母親の年齢が軒並み平均30歳くらいで推移しています。

表1 第1子出生時の母の平均年齢の年次推移

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※ (表1) 参考:厚生労働省 『令和元年(2019) 人口動態統計月報年計(概数)の概況』より

そういった社会的な背景がある中で、「人」は子供を妊娠して出産できる期間に限りがあります。
そして、1人の女性が1回の生理周期で妊娠に至る確率は約20%と言われています(ネコの妊娠率は90%~100%)。
つまり、普通に「妊娠する」ということは、そこまで簡単なことではありません。

この社会的にも安定し、お子さんを授かれる限られた期間に計画的に不妊治療や体外受精を取り入れるというのは、この社会情勢を考える中で何らおかしなことではないと思います。
それに加えて最近では、子宮に受精卵を戻す前に受精卵の染色体を検査する(着床前診断)ことで、妊娠後の流産等による肉体的・精神的負担を軽減しようという試みも増えてきています。

ですので、今や『不妊治療』や『体外受精』というのは、多くの方にとって身近な存在になってきています。
子供のころから馴染みがある内科や耳鼻科、歯科などに比べると不妊治療は馴染みもなく、そこまでオープンに話される内容でもないため、周りで例も聞くことがなく、最初の来院までに心理的なハードルをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
一方で数字として体外受精による出生数は年々増加しています。
不妊治療や体外受精を受けていることは特別なことではなくなってきています。
その証拠に国や地方自治体も働きながら不妊治療が受けられるよう、様々な取り組みを行っておりますので、厚生労働省や地方自治体のホームページ覗いてみるのも良いかもしれません。

いきなり「治療」を始めるかどうかを考えるのはハードルが高いかもしれません。
まずは自分の体について正しく把握するための検査や、不妊治療について正しく認識するための相談から初めて見てはいかがでしょうか。

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『不妊治療』と検索すると様々な情報であふれかえっていて、何が正しいのか?何が自分に合うのか?と不安になってしまいますよね。
まずはどのような治療方法があるか、ご自身にどのような治療が必要なのか、それにはどの程度の経済的な負担が見込まれるのかを正しく認識するうえでも、妊娠を希望されている方には医療機関への受診をお勧めします。
専門医に相談することで今まで抱えていた不安も少しずつ解消されることと思います。その上で妊娠に向けて適切な検査や治療を医師や家族と相談しながら安心して進めてきましょう。

表参道ARTクリニックでは、30年以上不妊治療に携わってきた二村院長が今までの経験を踏まえ患者様一人ひとりに合わせた治療を行っております。検査や治療に対しての必要性や費用の説明を医師が行いますので、患者様にとって安心して通えるクリニックであると思います。
様々な治療方法を提案し、患者様にも納得いただいた上での治療を行い、少しでも早く妊娠していただけることを目指しております。「自分には不妊治療が必要かな?」と考えたら、まずは気軽にご相談にお越しください。


表参道ARTクリニック
表参道駅徒歩1分の不妊治療クリニック。
30年以上の経験を持つ院長が必ず診察いたします。
人工授精、体外授精、顕微授精などの治療に幅広く対応し、患者さん一人ひとりが納得できる治療法をご相談、ご提案します。

■こちらのnote
不妊治療を検討されている方、現在不妊治療を進めていらっしゃる方々の不安、疑問が少しでも解消するように、不妊治療にかかわる情報を発信しています。
こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。

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