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Vol.20 採卵前ってどう過ごす?採卵当日の流れとその後の注意点は?

東京都港区北青山にあります不妊治療クリニック「表参道ARTクリニック」です。(ホームページ:https://omotesando-art.jp/

こちらのnoteで生殖補助医療(ART: Assisted Reproductive Technology)やその周辺の分野をご説明する中で不妊について疑問、不安、お悩みをお持ちの方が「そうなんだ!」と理解できる機会をご提供できればと思っています。

※こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。

Vol.17の記事では、採卵の方法についてお話しました。


採卵日が決定すると患者様から、
採卵までにどのような準備が必要なのか?
採卵日はどのような流れになるのか?
採卵が終わってからどんなことに注意して生活を送れば良いのか?
等の質問がよく聞かれます。

では、実際に採卵日が決定してから採卵日前日・当日・当日以降にそれぞれ何を行うのでしょうか?それぞれ何に注意して過ごせば良いのでしょうか?
今回はそれらについて説明していきます。

まずは採卵が決定してから採卵当日までの流れについてです。

採卵日の前ってどうやって過ごせばいいの?

採卵周期が始まると、内服や注射のお薬で卵胞を育てていきます。
卵胞を育てる方法として、多くは2種類の方法で行っています。

その方法は、
自然周期:内服薬でホルモン状態をサポートしながら、自然に育つ1~2個の卵を獲得することを目指す。
刺激周期:内服薬や注射を用いて複数の卵胞を育てて獲得することを目指す。

その周期の卵胞の成熟具合やホルモン値・子宮内の状態などから採卵日を決定してきます。

採卵日が決定すると、採卵日に成熟した卵子を採卵できるよう排卵のタイミングを調整する薬が処方されます。
採卵直前の卵胞の成熟をサポートする点鼻薬や自己注射薬、卵胞が予測より育っている場合には排卵を遅らせる座薬などの薬です。

卵胞の成熟をサポートする薬は、投与後約36時間で排卵を迎えます。
排卵後は採卵を行うことができないため、それより前に採卵手術にて卵子を確保します。

当院では朝9時より採卵を行うため、2日前の22時や23時頃にご自身で薬を投与していただきます。
採卵のために重要な薬となりますので、日時を間違えることなく確実に投与する必要があります。

処方薬をお渡しする際には、医師からの診察後に必ず看護師が患者様と1対1で薬の内容・使い方を説明しています。
自己注射を行うのが初めてで不安だという方もいらっしゃいますが、看護師とともにやり方を確認することで不安を解消しご帰宅される患者様が多いです。

採卵日当日の流れは?

当院では、採卵は朝9時から開始となります。
9時より採卵を行えるよう、点鼻や注射などのお薬を処方しておりますので、患者様には時間厳守での来院をお願いしております。

1.来院
来院時に、採卵の当日にパートナー様・旦那様にご自宅で採取して頂いた精子を受付に提出していただきます。
旦那様が不在の場合、凍結精子を使用することが可能です。
凍結精子は顕微授精になってしまうことも多いですが、当院では状態によっては通常の体外受精も試みています。
事前の凍結処理が必要になりますので、採卵周期を開始する際に医師にご相談ください。

2.着替え
来院後、リカバリー室にご案内致します。
そちらで採卵時の手術着へのお着替えとお手洗いを済ませていただき、体温・血圧等が問題なければ採卵室にて採卵を開始します。

3.採卵
自然周期で採卵周期を開始した場合、育つ卵胞数は1~2個になります。
15~20分程度で処置が終わることが多いです。
刺激周期の場合、卵胞が複数育つため卵胞の数に応じて採卵時間も長くなることがあります。

4.着替え~診察
採卵後は止血を確認でき次第、リカバリー室に移動しお休みいただきます。
患者様のお着替えが終わりましたら、診察室にて採卵した卵の数や状態・次回の受診について説明があります。
医師からの説明が終了後、その後のスケジュールや処方薬を看護師と確認し、終了次第ご帰宅となります。抗生剤やホルモン剤等を処方致します。

以上の流れで採卵が行われていますが、採卵に向けた準備や注意事項にはどのようなことが挙げられるのでしょうか?

採卵当日はどんな準備が必要?

採卵当日ですが、簡単に行うことを説明すると、‘‘膣壁から卵巣へ向かって針を刺し、卵巣内にある卵胞を超音波で確認しながら卵子を採取‘‘します。
この際に痛みを伴うので麻酔を使用しているのですが、この麻酔の使用に関連していくつか注意事項が発生いたします。

〈食事〉
麻酔時にまれに吐き気を感じる場合があります。
万が一嘔吐し誤嚥すると危険な状態となるため、採卵当日の朝食は召し上がらずにお越しください。お水・お茶の飲水のみ可能です。

〈化粧〉
麻酔薬を使用するため、投与後に患者様の体調が悪くなることがあります。
採卵の際には、看護師が患者様の顔色やご気分の変化・痛みの状況など確認しながら進めています。
万が一の場合に素早くご対応できるよう、化粧やアクセサリー類、マニキュア・ペディキュア・ジェルネイルはすべて外してお越しください。

〈持ち物〉
採卵後には出血を伴う場合がありますので、生理用ナプキンをご持参ください。

安全に採卵を行えるよう、上記事項を守ったうえでご来院下さい。
それでは、採卵の後はどのようなことに気を付けて生活を送れば良いのでしょうか?

採卵後の生活って何に注意するの?

〈日常生活〉
採卵では膣壁に針を刺しており、感染のリスクや出血が続く恐れがあります。
感染・出血予防のため、採卵当日は湯船には浸からずシャワーのみでお済ませください。
また、過度な運動、ご飲酒などの代謝が上がる行為はお控えください。

採卵後の副作用の中に、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)というものがあります。
採卵に向けて卵胞を成熟させるためにホルモン剤を使用しますが、それにより過剰に卵巣が刺激されることで発生することがあります。
お腹の張りや痛み等の症状が出ることがありますが重症の場合には治療が必要になります。
多くの卵胞が成熟し採卵した場合など、発症するリスクが高い場合には、採卵後に予防のための内服薬を処方しています。
ご自身でも次の生理がくるまで水分をたくさんとることが大切です。
それでも尿が出ない、お腹が張る、痛みが続く等の違和感があれば当院にご連絡ください。

〈仕事〉
局所麻酔での採卵でしたら、基本的には午前中に全て終わることが多いです。
痛みがやや残ることなどがあるため、午後はご自宅での安静を推奨しております。
ただし、痛みや体調に問題がなく、デスクワークなど身体を動かすことや力仕事がないお仕事でしたら可能です。
午後から仕事に行く患者様もいらっしゃいます。

〈静脈麻酔をご希望の方〉
表参道ARTクリニックでは、採卵は基本的に局所麻酔で行っています。
局所麻酔は意識がある中で行うため、採れた卵の様子をモニターで確認することができます。
ただし、痛みに対して強い不安があるなどの場合には患者様のご要望を踏まえながら全身に作用する静脈麻酔で採卵を行うことができます。
静脈麻酔の場合は局所麻酔と違って患者様には意識がない状態での採卵になるので術中の痛みは感じません。
一方で採卵後にしっかりと目覚めるのに時間がかかる場合があるため、大人の付き添いの方と一緒にご帰宅いただくようお伝えしています。
帰宅後はご自宅で安静にお過ごしください。

以上が採卵当日、採卵後の注意点となります。

採卵日が決定しますと日時厳守のお薬が処方され、採卵後には上記の注意点があります。
採卵周期の開始時期はご自身の予定に合わせてホルモン剤にて調整することが可能です。
採卵をご希望される方は、ご自身の予定と合わせて医師にご相談ください。

採卵のイメージを持つことができたでしょうか。採卵は多くの方にとってなじみのない処置になります。
痛みが伴う、麻酔を打つといったことを聞くと不安なイメージを持たれる方が多いと思いますが、その中で少しでも不安の解消に役立つ内容になっていたら幸いです。

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『不妊治療』と検索すると様々な情報であふれかえっていて、何が正しいのか?何が自分に合うのか?と不安になってしまいますよね。
まずはどのような治療方法があるか、ご自身にどのような治療が必要なのか、それにはどの程度の経済的な負担が見込まれるのかを正しく認識するうえでも、妊娠を希望されている方には医療機関への受診をお勧めします。
専門医に相談することで今まで抱えていた不安も少しずつ解消されることと思います。その上で妊娠に向けて適切な検査や治療を医師や家族と相談しながら安心して進めてきましょう。

表参道ARTクリニックでは、30年以上不妊治療に携わってきた二村院長が今までの経験を踏まえ患者様一人ひとりに合わせた治療を行っております。
検査や治療に対しての必要性や費用の説明を医師が行いますので、患者様にとって安心して通えるクリニックであると思います。
様々な治療方法を提案し、患者様にも納得いただいた上での治療を行い、少しでも早く妊娠していただけることを目指しております。
「自分には不妊治療が必要かな?」と考えたら、まずは気軽にご相談にお越しください。


表参道ARTクリニック
表参道駅徒歩1分の不妊治療クリニック。
30年以上の経験を持つ院長が必ず診察いたします。
人工授精、体外授精、顕微授精などの治療に幅広く対応し、患者さん一人ひとりが納得できる治療法をご相談、ご提案します。

■こちらのnote
不妊治療を検討されている方、現在不妊治療を進めていらっしゃる方々の不安、疑問が少しでも解消するように、不妊治療にかかわる情報を発信しています。
こちらのnoteに記載の内容は一部ですので、詳細はクリニックにてお尋ねください。

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