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日本のおもてなしの特徴

 ■一座建立
一座建立という言葉を聞いたことがありますか。
お茶席で招く側が心を尽くし、お客様が心から喜び、双方が一体感となってよい雰囲気ができる、そのような場面を表します。
どのような場面にも、物事や機会を与える側と受けとる側が存在します。どんなに与える側が頑張っても、受けとる側がそれを評価しなければ良い場は生まれません。

■三位一体「舞台(しつらえ)」「支度」「仕掛け」
 また、「おもてなし」には3つの軸があります。
・「舞台(しつらえ)」
 「おもてなし」が行われる場を指します。茶の湯であれば、それは茶席であり茶会ですが、現代は、お客様をもてなす場は様々でしょう。
 お客様を迎える側は、目的を考え、一期一会を完璧なものにするために、まず、場を選び相応しいものになるよう準備をします。お迎えをする側が演出家とすれば、お客様にもっとも相応しい舞台を考え用意します。この場の選び方が「おもてなし」の方向性を示します。
・「支度」
 「舞台」が整ったら、準備が必要です。お客様は何を求めていらっしゃるのか、何をお好みなのか、前回はどのようなもてなしをしたのか、季節の風情をどう表すのか、またお客様をどう喜ばせたいのか、ひたすら考えて準備します。
 この「支度」がしっかりとなされなければ、「おもてなし」は実現しません。同時に、相手に思いを巡らすこの時間は、おもてなしをする側にとってもっとも楽しい時間であるはずです。
・「仕掛け」
 お客様を迎える準備が整ったら、どうお客様を喜ばせるのか驚かせるのか、趣向をこらすことが仕掛けです。お客様の気持ちを汲みながら、それに沿うだけではなく、さらに喜んで頂ける仕掛けを準備する、これが「おもてなし」です。例えば茶の湯であれば、珍しい茶碗を使ってみる、などお客様の心にそった話題になるものを置くなどがその例でしょう。
 

 さて、ここまで読んでいただいてお分かりのように、「おもてなし」はもてなす側だけでは成立しません。「もてなす側」と「もてなされる側」が共通ルールを踏まえたうえで互いを思いやり、その出会いを楽しみまたとない価値のあるものにすることで成り立ちます。日本の「おもてなし」の一番の特徴はここにあります。一方通行ではなく、心を通い合わせて、相乗効果を生むことで初めて「おもてなし」は完成します。
 

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