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八丈島

 2泊3日の島流しの刑というわけではないけれど、3日間のフリーな日ができたので八丈島に行ってきた。(2017年7月)
 八丈島への道は飛行機か船。飛行機はANAが羽田から毎日3往復。時刻表では片道55分だが、飛んでる時間は正味30分ほど。船は毎日1往復、片道10時間ほど。東京の竹芝桟橋から三宅島・御蔵島を経由して八丈島まで行く。東京発は夜行便、八丈島発は昼便。
 東京から出発するなら、行きは22:30発の夜行の船で、帰りは最終の17:00発の飛行機に乗るのが良さそうだ。仕事帰りに船着き場に直行すれば、寝てるうちに島に着く。最終日は島での滞在時間を確保した上で、それほど遅くならずに家に帰り着く。
 船に乗ると、御蔵島を越えたあたりから、黒潮の影響で波が荒くなると言う。それを体感してみるのもおもしろそうだ。今度行くときは、行きは船、帰りは飛行機で行きたいと思う。

八丈富士(霧バージョン)

 八丈島の最高峰、八丈富士はきれいな円錐形をしている。その日は山の上半分に厚い雲がかかっていた。
 それでも山頂に登ってみた。山頂付近はカルデラになっている。すなわち中央部が大きく凹んでいて、その周りを尾根がまぁるく取り囲んでいる。尾根伝いにぐるっと一周まわれる。

八丈島霧

 上の写真はいずれも中央側が火口で、外側が海側である。霧のため火口はほとんど見えなかった。火口の反対側には海が広がっているはずなのだが、今日はまったく見えなかった。
 ここの霧は吹きつける霧。しばらく歩くうちに髪の毛もメガネもビショビショになった。

八丈富士(晴バージョン)

 前日の八丈富士は濃霧の中だったが、次の日の八丈富士は晴れ。眼下に海も見えたし、火口も見えた。
 でも、快晴というわけではない。ときどき、そして場所によって霧がかかって、景色があまり見えなくなった。
 考えてみると、ここは黒潮流れる絶海の孤島。夏のこの時期、空気は水蒸気を多く含んでいる。となれば風がどちらから吹いても、風が山の斜面を駆け上がるうちに雲になる。こうして山頂には毎日のように雲がかかる。きっとそういうことなんだろう。

八丈島晴れ

 ところで、昨日の霧の中を歩いたのは正解だったと思う。結果として、霧の八丈富士と晴の八丈富士の両方を経験できた。はじめに霧バージョンを経験したのが特に良かった。というのは、先に晴バージョンを経験してしまうと、それで満足しただろうからだ。それで霧バージョンを経験せずに済んでしまったならば、非常に勿体無いと思うのだ。
 八丈富士山頂付近が霧で覆われるのはむしろ普通のこと。たぶん晴れの方が珍しい。そこで僕の提案。晴れるのを待つより、霧の中を歩いてみよう。その方がいろんな八丈富士を経験できて、むしろ良い。

八丈島でカルデラ探検

 八丈富士の山頂はカルデラになっている。カルデラとは、マグマが噴出してできた空洞が陥没してできた窪地のこと。カルデラの淵が円形に連なって、尾根(外輪山)を成している。尾根に沿った道(お鉢巡り)が整備されていて、その道を歩くと、片側に海、もう片側にカルデラの内側がよく見える。
 そしてその後の火山活動でカルデラの中に新しい噴火口ができて、再び盛り上がった。その場所を中央火口丘と呼んでいる。八丈富士の山頂は、そんな構造になっている。
 さて、地図を見ると、カルデラの中に道がある。いや、地図によってあったり無かったりなのだが、カルデラの中に入っていく道があると言えばある。
 一つは、尾根からちょっと下ったところにある浅間神社への道。地図で見ると、距離は短い。もう一つは、中央火口丘への道。こちらはいったん下って、また上るコースだ。距離もやや長くなる。
 まず初めに浅間神社に向かった。10分程度で到着。難はない。神社の脇を数メートル進むと、陥没でできた垂直な壁とカルデラの底が間近で見られる。みなさんにもお薦めしたいコースだ。
 いったん戻って、次に中央火口丘に向かった。こちらは行く人が少ないようで、樹木が生い茂って、道がわかりにくい。一人で心細い思いをしながら、多少迷いながら、何とか行って戻ってきた。こちらのコースは、みなさんにはお薦めできない。

カルデラ
(上:浅間神社脇からの景色、下:中央火口丘)

 中央火口丘に二人以上で行ってはならない。二人以上で行くと、お互いに相手を頼って「こっちかな」「いや、こっちだろう」と言っているうちに、きっと道を見失う。一人で行って、道中の光景や特徴を記憶に留めながら進む方がたぶんマシだ。いや、どっちにしてもガイドなしにその道を進むのはやめた方がいい。

シダの森

 ひょうたん型の八丈島の北西部は新しい火山(八丈富士)で、風化侵食が進んでいないから山の形は円錐形できれいだが、時間が経っていないから植生に多様性は少ない。水をたくわえる土壌にもなっていないようで、住む人も少ない。

シダ

 一方の南東部は古い火山(三原山)で、時間が経った分だけ侵食が進み、森も発達して、植生の多様性が豊かだ。水も豊かで、人も多く住む。温泉が多いのもこちら側だ。そんな南東部の一角に、シダの森がある。水気の多い沢に多い。この場所は、霧の中を歩きたい。

地熱発電所の実情

 八丈島は火山島だから温泉が豊富で、地熱発電所 がある。運転しているのは東京電力で、発電所の敷地内に八丈町立の施設「八丈島地熱館」がある。
 見学してきた。客は僕一人で他には誰もいなかったおかげで、係りの人は丁寧に説明してくれた。
 解説のためのビデオで、こんな話をしていた。

地熱を発電に利用した後に、温水を近隣の農園・ビニールハウスに送って作物を栽培している。

 パッションフルーツやパパイヤなど熱帯・亜熱帯系の作物を育てているらしい。ビデオの中で農家の人はこう言っていた。

以前は灯油を燃やしていたが、地熱による温水を使うようになってコストが10分の1になった。

 実際、地熱発電所の周りにはビニールハウスがあって「えこ・あぐりまーと」という農産物販売所もある。僕は係りの人にいろいろ質問してみた。そこでわかったこと。

 東京電力から温水の供給を受ける契約はすでに切れている。地熱発電所の操業開始は1999年で、そのとき15年間の契約を結んだが、その契約は2014年に切れていて、現在は温水は供給されていない。

 地下の熱水にいろんな鉱物が溶け込んでいるからだろう。機械の耐用年数はあまり長くないようなのだ。発電そのものは続けているが、それもいつまで続けられるかわからないらしい。こういう実態はビデオでは紹介されないので、気になるなら積極的に質問した方が良い。案外普通にきちんと答えてくれる。
 その後ですぐ近くにある「えこ・あぐりまーと」に行ってみた。普通に営業していて、農産物や土産物を確かに売っていたが、客はいなかった。そこは住宅街からも少々離れている。だからだろう、地元の人の姿もなかった。客がいなかったのはたまたまかもしれないが、そこに大勢の客が来る様子は想像できない。

南の島の田舎リゾート

 八丈島は黒潮が流れる絶海の孤島にあって、2つの火山がつながった瓢箪のような形をした火山島です。北西側が新しい火山(八丈富士)で溶岩台地と低木と草地が広がっています。海からニョキッと突き出た円錐形の火山の中央にカルデラがあって、カルデラの縁をぐるりと一周歩けます。南東側が古い火山(三原山)で、時間が経った分だけ風化侵食も進んでいます。植生も豊かで、水も豊富で、温泉もたくさんあります。
 黒潮の水蒸気をたっぷり帯びた空気は、風がどちらから吹いても山の斜面を駆け上がるうちに冷えて雲になります。ですから八丈富士・三原山とも山頂にはたいてい霧がかかっています。

八丈島
左上:溶岩と八丈小島、右上:うろこ雲、中:鳥居、左下:唐滝、右下:シダ(ヘゴ)

 写真は三原山の麓に広がるシダ(ヘゴ)の森。水気の多い沢沿いに広がっています。恐竜が出てきそうな景色ですね(この場所は、霧がかかっているとなお良さそう)。
 お宿は民宿に泊まりました。ラッキーだったのは、泊まり客に釣り人がいて、その人が釣ってきた魚が夕食にずらりと並んだこと。その宿の常連さんで、毎度のことらしいです。みんなでパクつきました。ホテルではあり得ないこと、民宿ならではですね。
 この島ではお年寄りが元気です。火山学者、シダ類博士、明日葉料理研究家などどなたとお話ししても感心しきりです。こんな島に羽田空港から片道55分で行けます。週末に気軽に行ける南の島の田舎リゾートです。

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