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指数の拡張

 a を n 回かけ合わせることを、aⁿ と書く。ここで n は 自然数 である。そして、黒板に書き並べる。
      2³ = 8 → 2² = 4 → 2¹ = 2
 さぁ、ここから未体験ゾーンだ。なにしろ、指数部分が自然数ではなくなるのだから。なにはともあれ、上の続きを書いていこう。すなわち、指数部分の数字を1つずつ減らしながら、同時に右辺の値を半分にしていく。
     → 2⁰ = 1 → 2⁻¹ = 1/2 → 2⁻² = 1/4 → ・・・
 ところで、2 を –2 回かけ合わせるって、どういうことなんだろう?

 さて、次のことは中学生なら知っている。

 m ,n が自然数 のとき、 aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ  ・・・ (1)

 では、割り算はどんな式で書けるか? これがあんがい、ややこしい。

 m > n のとき、 aᵐ ÷ aⁿ = aᵐ⁻ⁿ      ・・・ (2)
 m = n のとき、 aᵐ ÷ aⁿ = 1       ・・・ (3)
 m < n のとき、 aᵐ ÷ aⁿ = 1/aᵐ⁻ⁿ    ・・・ (4)

 さて、以上のこと、なんとかならんかね。まっいいや、やっちゃえ。ということで、

    a⁰ = 1              ・・・ (5)
    a⁻ⁿ = 1 / aⁿ           ・・・ (6)

と、勝手に、決めちゃうことにする。
 そうすると、スゴイことがおきるぞ。まず、これまでは指数部分が 自然数 じゃないといけなかったが、指数部分が マイナス でも 0 でもよくなる。
 それだけじゃない。指数の割り算 (2) ~ (4) の式が、

 aᵐ ÷ aⁿ = aᵐ⁻ⁿ     ・・・ (2)

だけで済むようになる。
 まだあるぞ。指数の掛け算 (1) も割り算 (2) も

 aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ     ・・・ (1)

この式1つで済んじゃうんだ。
だからオレは今日から、(5) と (6) に決めた! (定義)
でもって、(1) だけで計算する! (定理)   文句あるか?

・・・ 中学数学では計算練習や答案の書き方指導、高校数学では解法テクニックの伝授ばっかりで、こういう数学っぽいこと話せる機会って案外少ないんだよねぇ。

 さて、いまのところ (1) 式が m , n が整数で成り立つところまでは言えた。
 となると、次に考えたいのは、m , n が分数や小数の場合、さらに言うと m , n が実数の場合だ。
 とは言ったものの、ここから先は別の機会に。

◇       ◇       ◇

指数で変わるものを対数で見る 〜 
▷ 指数の拡張    ▷ 世の中の増減は率で変わる
▷ 原子から宇宙までを1つの数直線に表してみよう
▷ eってなに?    ▷ e^iπ+1=0 を腑に落とす

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