著作権の侵害にならないもの
(2016年1月 85号)
東日本大震災が起きた年の暮れに出した問題です。
さて、著作権を授業で扱うと「あれやっちゃダメ、これやっちゃダメ」という話になりがちですが、それじゃ何もできなくなっちゃいそうで、結局は何の指針にもならないでしょう。
また「やっていいこととやっちゃいけないことの間に線引きする」のも無理があります。現実にはグレーゾーンがたくさんありますし、そもそも合法・違法の判断をするのは裁判官の仕事であって教員の仕事ではないはずです。
むしろ大事なことは「やっていいことをきちんと押さえる」ことではないでしょうか。著作権法の第三十条~第五十条に「一定の条件の下で利用者が著作物を利用/複製できる」場合が示されています。
この問題は「著作権法で『やっていい』とはっきり書かれているもの」を選ばせる問題です。
さて、この問題の答えは、
です。
これらは、遠慮せずに正々堂々とやっていいのです。もちろん勝手に拡大解釈するのは禁物ですが。
他のものはやらない方が無難でしょう。あえて「違法」とは呼ばずに「グレーソーン」と呼びたいと思います。(「裁判に訴えられても勝つ自信があるなら、どうぞ」と私は授業で言っています)
2015 の回文っぷり
(2016年2月 86号)
《解答》
なにはともあれやってみましょう。
(※ ここでは上付き文字が使えないので、「2のn乗」を「2^n」と表記します)
2015=1024+512+256+128+64+16+8+4+2+1 (← 32 が抜けている)
=2^10+2^9+2^8+2^7+2^6+2^4+2^3+2^2+2^1+2^0 (← 2^5 が抜けている)
=11111011111 (2)
おやっ、またまた見事な回文になりました。二進数表記したものは、右から読んでも左から読んでも「11111011111」になります。
というわけで、《答え》は「11111011111」です。
《解説》
なんのことはない、単に十進数を二進数に変換するだけの問題といえばそうなのですが、たまたまきれいな回文風の数になったものですから、問題を作ってみました。2015を素因数分解すると回文風になるという話はネット上で見かけたものです。
実はこの問題を思いついたのはつい最近のことで、実際の試験にはまだ出していません。2015年は終わってしまったけれど、2015年度ということならあと1回だけ使うチャンスはありますが。
試験に出していないので何とも言えないのですが、もし出したら正答率は思いのほか高くなるんじゃないでしょうか。というのは、2015という大きな数を二進数に直すと計算ミスが頻発しそうですが、上のように出せば生徒たちは「回文になるのかな?」と思いながら計算するでしょうから、計算ミスは減ると思うのです。回文風の結果が出た生徒は自信をもって答え、そうならなかった生徒は計算し直して、多くの生徒が正解に辿り着くような気がするのですが、いかがでしょうか。
東京特許許可局はどこにあるか?
(2016年3月 87号)
知的財産権に関する誤文訂正の問題です。
ところで実際に採点してみると「○」と書いた答案がちらほらありました。意外と○が多かったのが(2)でした。「東京特許許可局」が間違いであると分かっていても、「特許庁」という単語が出てこなかったのかもしれません。でも、役所名を覚えることにあまり意味はないと思うし、要するに私が「東京特許許可局」と言いたかっただけなので、出来なくても気にしないでくださいね。(3)でご丁寧に「Write」を過去分詞形に直しているものもありました。なるほど現在形よりは近づいた感がありますが、外国人に伝わるでしょうか。
ザツから始めてマシにする
(2016年4月 88号)
「情報の科学」にある「モデル化とシミュレーション」をやった後の定期試験に出した問題です。設問は、難しいというより、無茶な問題だったかもしれませんが、答えを見れば「なるほど」と思っていただけるんじゃないでしょうか。問題文を読むことで情報技術の一端を感じていただけたら幸いです。(なお、ベイズ推定に関する試験問題は2015年11月発行のメルマガ83号にも載せました)
◇ ◇ ◇
〜 連載記事(2016年) 〜
▷ 連載記事(2016前)
▷ 連載記事(2016中)
▷ 連載記事(2016後)