この1ヶ月余りはクライミングにかなり注力した
左足の靭帯を伸ばしてしまい沢登りや縦走の計画はなくなってしまったから
ちょっとの間だけど、絶望した
なぜなら9月18日からスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼道を歩くからだ。
780㎞もの行程を全て歩き通すつもりだったので症状を知ってちょっとの間だけど絶望していた。
でも、こうなったらこれは出発までの間クライミングが出来るじゃないかと。出来る動きに制約はあるけどそれは仕方ない。
出発までに登りたいルートが3本あった。

小川山 厩戸皇子(12B)
榛名黒岩エンド・オブ・ア・レインボー(12C)
北杜の某岩場 Dream Catcher左抜け(12D)

ボルダーはほんとは着地が危ないからやらない方が良いのはわかってたけど、ボルダーをやらなくて成長はないのはもう分かりきってたからやった
この時期に登るためにも

ロクボクではマットがまだ固くて、壁も高いからやめた。ロクボクではリードだけ
なのでボルダーはロカジャバ。ロカジャバのマットのフニャフニャが膝には丁度良かった。
今年の夏はほんとに暑かった。1000m近い北杜もほんとに辛かった。でも暑かろうと、ちょっと膝が痛かろうと登りたかったから登った。

あれは、去年の7月だった。あさこまんとケースケと小川山1峰に行った。ケースケがトライしていたのが厩戸皇子だった。こんなクラックが登れたらクライマーとしてどんなに楽しいだろうか

今年の5月くらいに初めてトライした時は全然だめだった
次に行ったらムーブが解決した
次に行ったら登れそうだったはずなのに全く繋がらなかった

ぼくはこの時、とても卑屈だった。あの人やこの人が登れたのになぜ自分はこんなにも出来ないのだろう
あまりこんな気持ちになったことはなかったんだけど、なって初めてわかった。この気持ちはクライミングをつまらなくするかもしれない。
僕にとってこのマインドはいけないものになると直感した
一緒に行ったたかしさんに下山中にこの気持ちを話したら「大丈夫、マッスーは強いよ。」と言ってくれた。とても安定できた。

それから暫くして左足の靭帯をやった。
そして、最初に書いた3本をやろうと決めたのだった。

ロカジャバではJさんを含めて常連さんが増え始めていて楽しく登れた。
特に140°壁をたくさん登った。苦手な傾斜だけど落ちても低いから足からは落ちにくかった。1日4時間は強傾斜に張り付いていたお陰か、120°の宿題が登れるようになっていた
ロクボクの灼熱の壁でも必死に張り付き12Cくらいまでは登れるようになった

厩戸皇子は美しいフェイシングクラック

次に行ったら登れた
ちょっとコンディションの良い日だった
文句無しの素晴らしいルートだった
このルートは今まで登っていたルートとは雰囲気が違っていた
レストがしにくかった。僕にとっては。だからこそなおさら嬉しかった。

ちょこちょこ違うエリアに行ったりしたけど、ずっと頭の中から離れなかったのが北杜市の某岩場にあるDream Catcherの左抜けだった
厩戸の二日後に様子を見に行った。
この日は相方さんが午前しか登れなかったのでほんと様子見程度。結果としては登れなくはないけど、かなりシケシケで所々シミだしてる。ちょっとキツいかも~って感じ。

当たり前のことだけど、9月に入ってこの頃、左膝がやはり痛くなってきた。なのでボルダーはやめることにした。

9月6日にダメ元で行ってみたところ午前中はやはり勝負にならなかった。でもアプローチ中からちょっと秋を感じていた。岩自体も前回より肌つやが良かった。
この日は高Yパイセンと
コーヒーを淹れてくれた。とても山の話はレベルが違いすぎるけど、バカな話が合う人だ。一緒に居てとても楽しい。この場所も良い気持ちになれるのだ。
夕方近くなって寒いくらいになってきた
なんと1テンだった
5月のコンディションにはもちろん程遠いけど、己のやっていることに間違いはないと確信できた日になった。

ここまで使ったら優勝でしょう

さあ、その翌日7日は榛名黒岩へ☆ミ
お目当てはもちろんエンド・オブ・ア・レインボー。
しかし、もちろん9月の群馬は暑いのはわかってる。標高が高いとは言え、ここも例外ではないだろう。北面だからいけるやろって感じだけ。
翔ちゃんがヌン掛けをしてくれていて、アップと完登を兼ねてコーナーインザスカイをやってみたらすごいヌメる。ダメダメだった。
核心のホールドがうっすら苔が生えてる気がした。

でも、それでもほんとに今日登り切る気持ちは変わらない。この日までほんとにやれることはやってきたから。

1便目 ムーブ確認  各部テンションしたけど核心はすんなり出来た。問題は上なんだよ。核心のあとも落ちれるんだ。何度か上をおさらい。

2便目 悔やまれるトライだった。核心の左縦カチが上手く入らない感触で落ちてしまった。でも落ちてしまったというより、心が折れて力が抜けたと言った方が合ってる。上は殆どパンプせずノーテンで抜けた。

3便目 押し通せなかった
涼しい。核心を超えて、トラバースしてガバの手前でムーブを一瞬ロストしてしまった。存在しない左手のホールドを探していたとき、落ちるかもと思ってしまった。この部分の動画をここ数日ずっと見てるけど笑っちゃう。情けなさ過ぎてね。
でも今日も楽しいメンバーとクライミング出来ていたことが心のクッションになってくれた。
前回始めて来たときよりは上までロープを伸ばせたことは良かったけど、ほんとに登らなければならなかったと思ってる。
でも翔ちゃん、山ちゃんとたかしさんには感謝している。
このルートはクライミングの本質を突いているんじゃないかなと思う。遠くからでも足を運ぶ必要がある。

長さ38m!ムーブも最高!!でも何が良いのかって。それは上もいつでも落ちれるってこと
次こそは歓喜のランデブーを

そしてカサメリなんかを挟んでの13日の金曜Catcherは悔しいがまたも登ることは出来なかった。
悔しい悔しい。
この課題は左足のヒールを多様するのだけど、正直壊れるかもと思ったままトライしていた。壊れたらスペインは行けなくなってしまう。でもトライしないという選択はなかった。
この課題こそ、暑い中頑張った自分の集大成が詰まった課題だったから。

実は手がすごくヌメんです!!

クライミングは命を燃やして続けるものと思ってやるようにしている
でもそれは生死のことではない
クライマーは経験が長くなればなるほど誰しもが怪我やリスクを負うだろう
それでも、わかっていてもやり続ける
クライマーとして6年目を迎えてなんとなくクライマーという人種がわかってきた気がする

スペインでは歩いている間はクライミングのことを忘れようと思う
でもクライマーであることは忘れちゃいけないね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?