「さよならエレジー/菅田将暉」のライブ映像に見入ってしまった


“STAY HOME”が推奨される世の中の流れもあり、いろいろな歌手やバンドがLIVE映像を無料公開しているので、最近は家のテレビでそれを流しながらひとり食べたり飲んだりするのが新たな趣味となっている。

元々ライブハウスやフェスに行く事もあったのだけど、モッシュとかダイブは怖いし、歓声を上げるとか手を上げる事に気恥ずかしさが拭えないめんどくさい性格なので、整理番号が早かろうがいつも壁際や後ろの方でステージを眺めてしまっている。
本音は最前列で見たい。でも最前列でじっとして聴くのは無礼だともわかっている…。
そんな訳で、音の臨場感が劣ることは否めないけれど、落ち着いて良席で聴けるライブ映像は私の需要にマッチしていて最近の配信ブームはすごく楽しい。

それでいろいろな人のライブを見ているのだけど、今のところ私の中の一番のお気に入りは先日配信された菅田将暉の『菅田将暉 Premium 1st TOUR 2018』渋谷WWW Xでのライブ映像。

こういう言い方をすると嫌がられそうだけど、いまひとつ素っぽくないのにそこに何も違和感を覚えさせない振る舞いが最高にかっこいい。
「演技っぽい」ともちょっと違う。歌手を演じるという訳ではなくて(それはミュージカルとか、役名で曲をリリースするのと似ている)、あくまで本人という枠の中で世界が作られている。
(ご本人が曲を通して素の自分をさらけ出そうとされているなら見当違いの感想で申し訳ない…)

滲み出るスター感は、もし菅田将暉が歌手一本だったり下手な役者だったりしたら、私はうさんくさいと嫌厭しそうな気がする。
ライブで手も上げられないひねくれた私は、時にステージ上のキラキラに引いてしまう瞬間がある。かっこよく煽り、熱っぽく兄貴風なMCをするアーティストに「曲には共感したけど、こんな振る舞いができる人は私とはわかりあえないタイプなんだろうな」とふと思ってしまう。
基本的にすごく楽しいし、ライブは非日常が魅力であるし、だからこそ何度もライブハウスに足を運ぶのだけど、心のどこかで陽気なサークルの集まりに間違って紛れ込んだみたいな自分を感じる瞬間もあるのだ。
でも菅田将暉のライブにはそれがなかった。彼がどれだけかっこつけても、ロックスターのような動きをしても、全く気にならない。なんというか、そういうものが鼻につくなんて言うこと自体が恥ずかしくなる。なんならキザなことをするほど魅かれていく。

映像の1曲目は「さよならエレジー」。
スポットライトがステージを照らす。これから始まるステージに胸を高鳴らせて女性客の歓声が上がる。長めの髪がかかる菅田将暉の綺麗な横顔に青色の色気のあるライトが当たる。静かな表情でギターを鳴らし始めるが「渋谷―!」と煽ると一変、ちょっと眉間に皺を寄せたいたずらっぽい顔になる。はしゃぐようにギターを大きくかき鳴らす。歌いだしのタイミングで照明の照度が少し落ちる。まっすぐ正面を見つめ語るように歌い始め、女性たちの黄色い声が高らかに響き渡る―――。

ここまで30秒。最高。
かっこよすぎ。
この最初の数十秒をもう何回もループした。

特に男性バンドなんかで多いけれど、女性ファンがアイドルのようにアーティストを扱うと他のファンから煙たがられることがある。
顔じゃなくて音楽を聴け。メッセージを受け止めろ。という意見が出てくるのだ。
でもこのライブ映像を見ていたら、そんな論争はどうでもよくなってくる。黄色い歓声も演出のひとつなんじゃないかって。目線が合って失神する女の人とか会場にいてほしいくらい。ステージ上で曲と共に作り上げられた彼の世界に酔いしれたもの勝ち。

俳優は歌に関しては素人かもしれないけど、演出力というか、作り上げた世界観に引きずりこませる事に関してはずば抜けているな、と思い知った。


うだうだと書いたけど、一言で言うならば…
かっこいい。
それだけです。


※LIVE映像を貼り付けておくけれど2020年5月末までの限定公開だそうです。

※上記映像の1曲目は「さよならエレジー」
 ライブ映像見た後だと、MVはちょっと物足りなくなってくる不思議。


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