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しましまねこクックの物語

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オリジナル羊毛フェルトのねこの人形「クック」のお話し本編です
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2019年4月の記事一覧

vol.5 バカンスに出掛けよう

クロタを待ち続けたクックは擦れた声で叫びました。 「クロタ!!」 しかし、マンションの扉から元気に飛び出してきたのは、大きなトランクを持った3匹の猫達でした。 その中の黒い猫が言いました。 「君、ずっとそこに居るのが窓からみえていたよ。」 「友達を待っているんだ。」とクックが答えると 「友達は猫かい?どんな猫だい?黒いのか?白いのか?茶色なのか?毛は?長いの?短いの?ああ・・もしかしてミケ?錆猫?」 矢継ぎ早に聞かれてクックはたじろぎます。クックは兔スーツの中の

vol.4 クックとクロタ

桜も散ると、とたんに緑はぐんぐんと力をみなぎらせ成長を止まらせることはできません。それは、何かになろうと必死に手を伸ばし何かをつかもうとする勢いのようでした。 街は緑に飲みこまれ、人々はみなそわそわと落ち着きを失い始めました。 一瞬もじっとしていられず、どこかへ旅に出たいと思い始めます。 しましま猫クックも、そのひとりです。友人のクロタを誘って少しばかり旅に出てみないかと提案しました。 話しを聞いたクロタはすっかり乗り気で、ふたりは「何も決めない旅」に出ることにしまし