2021/06/14

今日は要町駅3番出口近くの中華屋にて昼食。店の前の電光掲示板には「特級調理師がいます」とのこと。あやかりすぎだ。
店に入ると明らかに南米人っぽい人が迎えてくれた。あれ?ブラジル料理屋に入ってしまったのか?とメニューを見ても物凄く中華料理しかない。博多ラーメン専門店を中国人がやっているような違和感。いや、それよりも強い違和感がある。呪術の本場は南米とされているが、料理の本場も南米なのか?なわけがない。中華料理の本場は中華だろう。
訝しげになりながらも日替わりのレバニラ定食を注文。めちゃくちゃ美味しかった。しかも相当に量もあるのに750円。特級調理師の仕業だ。南米人はなんでも出来るなと感心させられる。


最近ハマっているアニメがある。『ゴジラS.P』だ。

https://godzilla-sp.jp/

ゴジラの新規アニメーション作品ではあるのだが、今回の『ゴジラS.P』はSF色を全面的に押し出しており、アクション云々よりもなんだか小難しそうな人たちが小難しそうな話をして小難しそうにゴジラをどうにかしようというのがメインのストーリーになっている(もちろん過去ゴジラ作品のオマージュも各所に散りばめられておりシリーズ愛好家も納得の出来である)。


この『ゴジラS.P』、一見難解なストーリーで見る人を選ぶ作品ではあると思うのだが、なにが良いってその難解さが小気味良くて最高なのだ。私は自分の知らない単語を当然のように使われるとめちゃくちゃ興奮するタイプなのだが、この『ゴジラS.P』は正にその刺激を多く含んだ作品なのだ。例えば公式サイトにある用語集を軽く下に書いてみる。

オーソゴナル・ダイアゴナライザー
MD5ハッシュ関数
ビオロギア・ファンタスティカ
超時間計算機

もう全然分かんない。一度聞いただけでは何が何だか分からない単語の数々が物語上で多く登場し、そして物語上の登場人物は殆どが天才なのでなにも説明がないまま進んでいく。この「当然知ってますよね?」を前提として進んでいく物語。知らない単語フェチの自分からしたらたまらないのだ。知らない単語が出てくるたびに性的興奮に似た刺激を受ける。もっと...もっと知らない単語言ってぇ...!!♡状態である。


SF色の強い本作ではあるが、文学や言語学的視点から物語が語られることも多く、その筆頭たる登場人物が旧嗣野地区管理局、現電波観測所局長を務める”山本”という人物だ。

画像1

このキャラクターは完全に物語の確信を”知っている”人物ではあるのだが、常に不敵な笑みを見せるだけで物語の中心人物というわけではない。しかし、要所要所で詩歌を引用し状況に即しているのか即していないのかよく分からない発言をすることで知られている。私はこの山本という人物が大好きで、マジで言っていることが殆ど分からないのが私の知らない単語欲求を満たしてくれるのだ。ここで山本の発言も軽く見てもらおうと思う。


〈第1話 山本が部下の佐藤と電波観測所の地下に留置してあるゴジラの骨を見るシーンにて〉

山本「よっと。(地下室の重い扉を開ける山本)」
佐藤「これは...!!(ゴジラの骨を見て驚く佐藤)」
山本「寒風に もろくもつくる 紅葉かな
     君はいま 駒形あたり ほととぎす
     忘れねばこそ 思い出す候」

意味が分からん。部下の「これは...!!」の後にいきなりの詩歌の引用、コミュニケーション不全すぎる。この詩歌も調べればなんか即した意味だと分かるかもしれないが初見の段階ではいきなり詩歌を引用しだすのでほんとに意味わからない。けどそこが良い。ゾクゾクする。


〈第10話 ゴジラ上陸後自衛隊によるゴジラ排除作戦直前、そのニュースを居酒屋で見ている山本とその部下佐藤のシーンにて〉


佐藤「(電波観測所の地下に何故ゴジラの骨があったか、独自で調べ所見を述べる佐藤)」
山本「ん~君さ、前に自分で仕事増やすタイプでしょって言ったよね。世の中には忘れられるって仕事もあると思わないかい?」
山本「飛鳥尽きて 良弓蔵れ 狡兎死して 走狗烹らる
        人は皆、有用の用を知るも 無用の用を知ることなき
        民の治め難きは その智 多きをもってなり」

ん~!!分からん!!「良弓蔵れ 狡兎死して 走狗烹らる」も分からないし、「人は皆、有用の用を知るも 無用の用を知ることなき」も分からん!何も分からん!!しかもこの通常の会話からの流れるような引用、絶頂に達しそうになる。

「知らない単語をさも当然のように使われると興奮する」性癖に少しでも共感できる人がいたら是非『ゴジラS.P』を観て欲しい。そして私と同じように絶頂を迎えてほしい。山本、LOVEである。

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