2021/11/15

週末はお酒を飲んでそこで出会った男と行きずりのSEXをするのが通常の過ごし方だと思うのだが、俺は出不精だしお酒もあまり得意ではないので先週末も家で一人ABEMAの『恋愛ドラマな恋がしたい KISS or Kiss』を座椅子に座りながら鑑賞するだけだった。この『恋愛ドラマな恋がしたい』通称ドラ恋は言わばテラスハウスのような恋愛リアリティーショーで顔の良い男女がガチで恋愛しまっせというだけの番組なのだが、俺はこれを眉間に皺を寄せ腕を組みながら見ている。テラスハウスの面白さは南海キャンディーズ山ちゃんのズバリとしたコメントにあって、俺はそれを楽しみにテラスハウスも見ていたのだが、このドラ恋にはその手のコメンテーターはいない。なのに俺が好んでこのような恋愛リアリティーショーを見ているということは、俺がただの恋愛脳おじさんであるという何よりの証左になってしまった。京典和玖(通称:わく)の「俺じゃダメかな...」に代表されるドラ恋名物、若手俳優の甘々セリフが飛び出すたびに「いい加減しろよ!」とスマホの小さい画面に向かって唾を飛ばしている。

こういう番組は友人とあーだこーだ言いながら見るのが楽しくて、誰かに声をかけようかなとちらと思うのだが恋愛脳おじさんが電話回線をくぐり抜けて「ドラ恋見ない?」と話しかけてくるなんて恐怖以外の何物でもない。というかこれに限らず急に電話をするってのは非常にリア充っぽくて良いなと思うのだが、大人になって変な遠慮と意味の分かっていないマナーばかり身について相手に急に電話をかけるなんてそんなの迷惑でやんすよ...と俺の中のやんすがブレーキをかける。確かに相手に急に電話をかけたらなんとなく楽しかったなという曖昧な感想は残るのだが、具体的な感触は何も残らなくてただ相手に迷惑をかけてしまったなという後悔だけを後からじわりじわりと感じる。それを学習した俺は今日も座椅子にどっかりと座り若手俳優の一挙手一投足に一喜一憂しながらドラ恋を見るのみである。

Twitterなんかでは今日はどこどこで飲んだとか騒いだっていう情報が逐一入ってきて、俺はあまり酒も飲めないしクラブイベントにもいまいち乗り切れないということが分かっていながらもどうしてもチクリとした羨ましさを感じてしまう。酒と音楽に溢れた週末を諦めているようで諦めきれていない。しかし俺は現状を変えようとはせず今のままの俺でいつか最高になれるんじゃないかとぼんやりと思っている。甘ったれた考えであることは分かっているがどこか期待してしまうのだ。俺は今のままで最高になりたい。
もう20代も後半に差し掛かろうというのにこういう卑しい羨ましさは消えてくれない。長期休暇のたびに「また俺が誘われてない楽しい集まりがあるようだな」と思ってしまうのは俺の器が小さいからだろう。週末に他人の恋愛を覗き見るよりこの卑しさを消すほうが俺のやるべきことなのだ。

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