2021/08/17

ハンバートハンバートという男女二人組の歌に「今晩はお月さん」という曲がある。心の傷が癒えない男女の生々しい別れを歌った曲だ。その歌にこんな一節がある。

『帰りたくない 今夜だけは何もかも忘れて 眠ってしまいたい』

そう、何もかも忘れて眠ってしまいたい時がある。

俺たちはどんなに今に力を尽くしたって、過去に囚われてしまう。忘れられない何かがあるから、忘れようと旅に出るし、映画を見る。宴の後の寂しさは、宴の後の日常が覆い被さってくるからこそ感じるものだ。

つまり、何もかも忘れて眠ってしまうなんてことは出来ないからこそ、何もかも忘れて眠ってしまいたいのだ。人は出来る事より出来ない事を願って日々を消費する生き物なのだろう。

つまり何が言いたいかというとお盆休みが終わって最悪だよ、ということだ。別にどこかに出かけたっていうことではないが、それでも怠惰をむさぼり続けた日々はどうしても手放しがたい。出かけない代わりに美味しいものをいっぱい食べたお盆だった。食費への金遣いの荒さがワイルドスピード/ジェットブレイク。帰省も諦めたし、まぁそこで使う分のお金回すかという思考ね。いや貯蓄せぇよとはならないのが不思議だ。この不思議を解明すべく調査隊はアマゾンの奥地には向かわず今日も新宿のラーメン屋の行列に並んでみた。え?ラーメン1杯1400円?2杯ください。


今更、実家に帰省したかった気持ちが沸々と湧いてきていて、あぁ今は遠き理想郷よとか思っている。実家に帰省するということは初恋のいる人の街に帰省するということだ。今はもう結婚して1児の母になっている初恋の人。胸がずきりと痛むぜ。

帰省と言えば、元カノにも久しぶりに会いたい。俺が20歳の時に「俺、男が好きなんだ」と別れの告白をしたら「分かる。私も。」と返した元カノ。今思うと人間が出来すぎている。4年間付き合った彼氏がゲイと告白した直後に、一瞬で恋愛感情を仲間意識へと切り替えてくれた。通常なら殺されてもおかしくない。俺が今生きているのも彼女のおかげなのだろう。次帰る時はあいつの好きなコスメを百貨店で買って帰ってやろう。え?化粧水50mlで5000円?やっぱやめます。

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