2021.02.09

久しぶりに文庫本を読んだ。米澤穂信。やはり本はいいなと思い直す。なにより広告がないのがいい。スマホばかり見ていると広告の嵐に見舞われてしまい、俺はその広告に大変気を持ってかれる。え?ビビッドアーミーとこち亀がコラボ?え?放置少女と橋本環奈がコラボ?気が散ってしょうがない。その点、本は黒一色だ。目を奪われるような極彩色も奇想天外な展開も頭の中で楽しめればそれでいい。とりあえずビビッドアーミーとこち亀のコラボだけは気になってしょうがない。

昨日から、友人と「愛」について語り合っている。こういう曖昧で純粋なものについて語る時、人は自分に酔いながらそれについて語ることになる。そして自分に酔いながら語ることはめちゃくちゃ気持ちいい。皆さんも経験があるのではないだろうか。この友人は自己陶酔しながら物を語り合える数少ない友人なので、正直もっと語り合いたい。
「もっと話そう!」と突発的に言いそうになるが俺は言えなかった。自己陶酔に寄りかかることはもう卒業していた。卒業、または失っていた。そういうときに、倫理を超えてでも通したい感情の機微に追いつく純粋な身体はとうの昔に失っているのだ。俺はもう、つまらないプライドとカスみたいな倫理観に身体を任せるしかないしょぼくれた24歳になっていた。嫌な大人になったもんだが、純粋さは時に疎まれる。愛を語るのはこの世界では罪になるかもしれない。隠れてコソコソ愛を語っていきたい。

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