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レビュー Radio現場 vol.29『なんで今更デイサービス?』feat.橋本康太(9分くらいで読めます)

2022年もよろしくお願いします。日本が誇る介護教養バラエティ(KKV)ことRadio現場。
アメリカでは、「障がい者が使えない車いすはフェアじゃない!」とか社会がむちゃぶりするので、電動車いすは雪深くても大丈夫!
ジャパンではオーバースペックなアメ車(車いす)を乗りこなす吉田さん。今年も夜露◯苦!でございます!

寅年最初の放送回、ゲストは橋本康太さん(以下、橋本さん)!
吉田さんとはClubhouseでお話しした間柄。共通の知人のカワムラさんが気になる私。
そういえば、Clubhouseって、今では遠く離れた農家さんどうしを繋ぐツールとして人気なんだそうですね!アマチュア無線的な使い方、かっこいい。

橋本さんは、お父様の水道会社で取締役をされているという。
そして今、高齢者デイサービスを立ち上げようとされている。もう一つの肩書きが、一般社団法人あみだす代表理事(ネーミングが個人的にどハマり)。
現場仕事のお父さんがお年を召され、もうそろそろ引退しようか?と思いかけた時に「せっかくだから」と水道とはジャンルの異なる介護事業を立ち上げようとしている橋本さん。

立ち上げるのは、診療所兼民家を改造しての「ふくし拠点」(ツイッター調べ&相互フォローありがとうございます!)。
その古民家、なんと築120年!人間だったら大還暦じゃないですか!
広島県三原市にて、デイサービスを2022年5月に開所予定とのこと。

2022年1月現在、就職して7年目の橋本さん。
大学で理学療法士の免許を取られた。
卒業後は病院に勤め、その後特養で2年働いたという経歴。
橋本さんは、PTの“リハビリ世界”から、“介護の世界”寄りに気持ちが傾いていったという。
そのココロは、リハビリの一対一療法よりも、介護の視点で接するほうが、人がもっと良くなるだろうという思いから。
お年寄りと一番接している介護的な関わりが、より多くの人をより良くしてくれるだろう、と特養4年目くらいに考えていたという。

また橋本さんは、昨今の「介護の生産性とかICT・ロボット活用」といった風潮について、「なんのために?現状みんな苦しんでいないか?」と疑問を抱いていたとのこと。
そこで、真のICT活用を通し、近い未来にご利用者や介護職の役に立てないかと考え、大学院に入り直した。
が、半年で中退。
情報通信系の大学院に通っていたのだけど、インターンで大阪の会社に勤めているうちに、「それより前にやらなあかんことがある」との気づきが生まれ、70万ドブに捨てたという。
撤退戦の才ありとみた。

からの、デイサービス勤めを通じて業務改善をしながら様々なノウハウを積み上げ、自分のデイサービス立ち上げに漕ぎつけるという。

前述した通り、橋本さんは広島県三原市の方。
三原市をウィキペディアで調べたところ、才能あふれる人材を多く輩出されているところなんですね。
SF作家の火浦功先生、漫画『修羅の門』の川原正敏先生、青山学院大学陸上競技部の原監督、プロ野球“サンデー村田”こと村田兆治さん。

橋本さん曰く、広島の「じゃけん」はビジネス方言らしい。静岡の「づら」みたいなもんじゃろうか?

今回の『なんで今更デイサービス?』とのサブタイトルは、橋本さん自身の提案だという。
ちょっとした気づきなのですが、橋本さんは、まるでキーボードを打っているかのように、単語一つひとつの音を区切る分かりやすい話し方をされるなぁ、と感心。
そんな橋本さんは。現在29歳。
年齢が聞けて良かったモリチカさん。

自分にできるのが、デイサービスなのだと語る橋本さん。経験したことを糧に実行拡大するマインドをお持ちである。喩えるなら、一粒万倍日の人間バージョン。一粒万倍人。

デイサービスでは資格がない人も雇えるし、営業時間と営業日が決まっている。夜勤がないという、働きやすさメリットもある。
経営者として、さらにデイサービスでノウハウを積み上げていこうとしている橋本さん。いずれ小多機や看多機も展開していこうと考えているという(広島に尊敬する小規模多機能があるらしいがどちら様なんでしょう?)。

橋本さんが、デイサービスを立ち上げる目的として「課題解決のために」、と言うのは本心ではない。
責任はありつつも、己の自由時間を増やしていくことがモチベーションになっているという。
また、3期目くらいで上手く権限移譲して現場を離れ、他のことをしたいとの思いがある。

吉田さんが語る、“社長になる前の社長像”は、「昼くらいにちょっと会社にきて、夕方くらいに帰ってキレイなお姉ちゃんと飲んでいる」というもの。
さらに、ユニクロの柳井さんの「経営者になると、時間の使い方は自由。お腹空いたら、その時にご飯を食べられる」というエピソードもふるっていた。

自由な時間を追い求める人々は、みんなの上に立てる素敵さを持っていると思う。

私自身は、好きな時にご飯を食べられなくても、別の何かを探して紛らわせていくタイプなので、進む道が異なると思っている。
進む道は異なっても、登っているかぎり到達するテッペンは一緒だから良いのさ。

社長というものは、柳井さんがそう言っても、なかなか自由な時間は手に入らないものなのよ、と先輩としてアドバイスをする吉田さん。

現場でリハビリをしてきた橋本さん。
現場での疑問は?何があったのか?との問いに、「リハするよりも、ちゃんと生活した方が心身の維持ができる」と、確信を持ったお答え。
「生活をちゃんとやる」ことが最大のリハビリであるとの信念をお持ちである。

橋本さんは「リハビリから介護のフェーズに入る」といった表現をされていた。
介護職の自分にはその視点が新しく、どこかフレイル(虚弱)の概念と重なる。

そして、テンポ良く挟まれる吉田さんのツッコミが、2022年も絶妙である。

デイサービスでは、たとえば料理の外注、入浴をみんな同時に‘回す’等、妙な効率化を目指そうとしているのが疑問だという橋本さん。
橋本さんはそこを整えていきたい。
現場で培ってきた橋本さんのノウハウを、もっとめっちゃ教えてもらいたい。
引き算の業務改善を行うことで、50〜60分の空き時間ができる、とおっしゃっているのだもの。ホントご教示願いたい。

現状の介護では、時間軸が決まりすぎていて、スケジュールに合わせられない人が、置いてけぼりをくってしまうという。
もうちょっと利用者と関わりたい思い。
現場で業務を‘こなしている’という罪悪感がズンズン募っていく。反省。

生活をちゃんとするということ=めんどくさいことを敢えて増やしていくということ。
例えば食事一つとっても、要素を一個一個分解してみると、献立を決める、買い物、仕分け、下拵え、等々無数の段取りがある。
それらをみな取り上げてしまったら、そりゃお年寄りはやること無くなるよね、との話。

タブノキさんの用事中心主義と似ているかもしれない。

ご利用者が、介護‘外’の人たちと触れ合えるよう、敢えて「本人がやるべきこと」を増やしていく
そこには入念なアセスメントと、ゼロリスクを否定する勇気、人と人との信頼関係の構築がもっともっと必要。
自分にどれほどできているだろうか?現状を反省しきる。

デイサービスを新規に立ち上げるにあたり、そこの特徴を出す=ケアマネへのアピールはどうしているのか?との問いに橋本さんは、リハビリよりも、活動や社会参加に焦点を当てるようにしているという。
「ケアマネは、わかりやすいアピールポイントがあるところに食いつきやすい」という視点が勉強になる。

そうか、ケアマネのコーディネートは‘振り分け’になるのか……
事業所側としては、ケアマネのその振り分け、果たしてどうなの?と思うことがままあるという。
いやいや、ケアマネ持ってる自分としては、自身喪失案件だわぁ〜

橋本さんが出会った一人のケアマネが、介護保険外の2階とデイサービスの1階の交流について「個人情報どうしますか?」と質問されたそうで。
モリチカさんも、同じようなことを行政から言われたらしい。
どうやら、入口を分けてたら、行政からケチがつかないとのこと。
そうか、個人情報ときたか!と横槍感ハンパないクエスチョン。

個人情報云々を問うことを思考停止と考える。
思考停止というキーワード。自分が外から仕入れた概念や自分の中で醸成させた概念を、オートマティカルに行うこと。その是非については今後宿題として考えを深めていきたい。
今の私は、思考停止を良くない!と即答することも思考停止だと考えている。

そもそも個人情報を我々は抜かれまくっている。GAFAとかにね。
クレジットの購買履歴が公開されたら生きてゆけない吉田さん。「俺も!」と危うくコメントしそうになった。

利用者さんが食後の皿洗いとか片付けを行うモリチカさんの職場。
何やら自然発生的にシフトが作られている感じになっているという。
なんなら「私たち、お金払っているのに片付けするの?職員にやらせたら?」みたいな愚痴も漏れ聞こえるという。
この言葉を発し続けられるのって、本人が人生経験で培ってきた「しょーがねーなー、やれやれだぜ」というメンタリティが根っこにあるからではないだろうか?
そして、「しょーがねーなー」を維持していくことが、成熟した人生に、ひいては“自律”につながるのではないだろうか?
契約を盾に「俺は客だぞ」を振りかざしているよりも、よほど粋だね。

意識的にせよ、無意識にせよ、‘することを取り上げてしまわない’即ち、バリア多めを推奨していくという発想は、遊びの科学と似ているかもしれない。
人はある程度のリスクと隣り合わせの遊びを経験しないと、逆に危険を回避できなくなるということを明らかにしたものだ。

介護の場で、決まったルーティンをこなすのではなく、敢えて生活に必要な事を増やして暇(いとま)を与えない。
それが実現できたら、究極、腹が減ったら、夜更けでもバナナを食えて当たり前になるかもしれない。
みんなが自称社長になったら、自由な時間に色んなことができるようになるかも。
それって、責任はありつつも、自分の自由の時間を増やしていくという、橋本さんの自己実現に他ならないのかもしれない。
そして、自称社長の概念は、職員にも利用者にも、自律した生き方を喚起するきっかけになるのではないだろうか。
いや“活き方”か。もっと大胆にいうなら、“粋き方”。

ごちゃ混ぜに違和感。とのツイートを以前した橋本さん。
なんでもかんでもぶっ込んでみるような“ごちゃ混ぜ”は準備体操なしでプールに飛び込ませるようなもので、何か違う。
橋本さんの考えるごちゃ混ぜは、喩えるなら‘現行のサザエさん’ではなく、磯野家とフグ田家が二世帯住宅を構えた‘リメイクバージョン’ではないかとイメージした。

ここにいる3人は、陰キャだから、立食パーティ大っ嫌いとの意見で満場一致。
色んな人に会うにあたっては、ただお膳立てだけして後はヨロシク!では不十分で、何かの仕掛けが必要、との認識で良いだろうか?
「異業種交流会とかマッチングアプリ的なのは気持ち悪い。マウント合戦になるから」と吉田さん。
Radio現場10周年立食パーティは、みんな壁際に寄りかかって黙食!になるかも。
それはランバージャックデスマッチみたいで、画的にはめちゃくちゃ面白いので参加させてくださいな。会場の中央でタイマンラップバトルとかしたら超盛り上がるかも。

橋本さんの控えめなコミュニケーションっていいよな。‘暮らり’は洗練された事業所になりそうな予感がする」と吉田さん。
思えば、控えめを排して、言葉にしすぎるのって人間の負担になるのかもしれない。

そして、洗練されたデイサービスって、家庭的なほっこりさが売りの民宿というよりも、ホスピタリティの行き届いたホテルのイメージなのかもしれない。そんなグイグイ来ない系のデイサービスを作ってくれそうな 暮らり・橋本さんの今後に大注目なのです。

「新年早々、ブラック要素が増えたね」と総括する吉田さん。
名人・吉田師匠に弟子入りすると、きっと破門されまくりだ。でも、きちんと詫びたら、しれっと許してもらえそう。
新年から、吉田さんが立川談志に重なってしょうがない(静岡では、しょんない)私なのであります。

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