日向坂46 青春の馬 歌詞解説 〜「こんなに美しい月の夜を君は知らない」歌詞解説募集キャンペーン応募〜

ずっと書きたいと思っていてなかなか手をつけていなかったのですが、秋元康さんの自選歌詞集「こんなに美しい月の夜を君は知らない」の歌詞解説募集キャンペーンというのを目にしたので、これはこの機会に書くしかねぇのでと思い、初めてnoteに投稿し応募します。

歌詞解説

日向坂46の青春の馬という楽曲は、メンバーにとってもファンにとっても思い入れの大きな楽曲の一つだと思いますが、私は特にそのCメロで表現されたメッセージが大好きで、聴くたびに心に刺さり感動します。

冒頭サビ〜2Bメロ「どストレートな応援ソング」

君はどんな夢見てるか?
何も語らずに‥
どんな辛い坂道さえ
全力で(立ち止まることなく)
走ってく
青春の馬

まずは曲の冒頭、夢に向かって何かに取り組む人の様子が辛い坂道を全力で走る馬に重ねて表現され、この比喩を軸に歌詞が展開されていきます。

その後、
1番は、周りや先のことを気にせずに目の前のことを頑張ろう、
2番は、辛く苦しいことも後々の自分の糧になるんだ、
というような、どストレートな王道応援ソングになっています。

ここまでストレートな内容は熱すぎてダサく感じてしまうことにもなりかねないと思いますが、ひらがなけやき時代からこれらを体現してきた彼女たちがパフォーマンスするからこその説得力があるものになっており、日向坂46にしか出来ない楽曲だと感じます。

歌詞とは少し話がずれますが、三三七拍子のリズムや応援団のような振付もあって、歌詞もメロディーも振付も一貫して「応援ソング」になっているのもこの曲の素晴らしいところだと思います。

2サビ「夢から現実の目標へ」

目を開けても 消えない夢
現実の世界だ
そこに行けば 何があるか
誰もわからない
辿り着いたその瞬間
考えが(欲しかったものまで)
変わるのさ
青春の馬

ずっとストレートだった内容が、2番のサビで雰囲気が変わるように感じます。
夢だったものが、自分の努力によって、夢ではない現実の目標になる。
夢の実現に向けての過程でステージが変わるタイミングを表現しています。
そしてこのサビに続いてオーバーラップするように、私がとても感動するCメロに入ります。

Cメロ「蒼ざめた馬を照らす光」

夜が明けて行く 遠い地平線の彼方
世界はこんなに広かったと知った
蒼ざめた馬が大地を駆け抜けて行く
希望の光を浴びながら

この部分は「夜が明け」→「蒼ざめた」→「希望の光」と、短い中で明→暗→明とイメージが移り変わりますが、先ほどのステージが変わるタイミングがこの歌詞の軸である馬の比喩で表現されています。

自分の力で夜明けの時まで辿り着いた。
しかしその夜明けによって見えるようになった地平線は遥か遠くにあり、目指す世界の広さに絶望した馬は蒼ざめる。
それでもなお大地を駆け抜けて行くその馬を照らす夜明けの光は、絶望を与えた光でもあるが間違いなく希望の光でもある。

何かに挑むときに、自分が感じている目標との距離は徐々に近づいていくだけではありません。知識やスキルを習得したからこそ、知らなかった時よりも目標の難しさを認識でき、その距離の遠さを実感することがあると思います。

このCメロは、そんな時に行き詰まりを感じたりくじけそうになっている人に、それは目標に近づいている証拠かもしれないよ、と、背中を押す、送り出す意味が込められていると感じています。

この部分は振付でもクライマックスと呼べるシーンになっていて、センターの小坂菜緒さんが、この曲が収録されたシングルで休業から復帰した濱岸ひよりさんの手を取って前に連れ出し、他のメンバーが囲む中で2人並んでダンスをするというとてもエモーショナルなものになっています。

日向坂46のドキュメンタリー映画「3年目のデビュー」でこの曲の振り入れのシーンがあり、多くのメンバーがこの部分を初めて見た時に涙を流している様子が映し出されました。

私も最初に聴いていた頃はこの振付にばかり注目していてこの部分の歌詞の意味に気づいていませんでしたが、ある日車の中で聴いていた時に突然この歌詞が刺さってきて、夜明けの光を後ろから浴びながら大地を走る馬の情景が1枚の絵画のように目に浮かび、この短い文章の中での表現に痺れ、それ以来この部分でいつも目頭が熱くなるようになってしまいました。

大サビ「再びどストレートなメッセージ」

チャレンジしなくちゃ
生きてる甲斐ない
どこまで行けるか?
走り続けよう

Never give up! Never give up!
The easy way has no meaning

そして最後もまた、チャレンジしなくちゃ、諦めるな、というどストレートなメッセージで締めくくられます。

最後に

秋元康さんの歌詞は、2番に少し捻りのある、本質を突くような表現があるものが多いと感じますが、青春の馬はまさにそれで、王道応援ソングだけでも成り立つ中でさらに踏み込んだメッセージが含まれていて、個人的には最高傑作だと思っています。

「青春の馬」というタイトルのこの曲ですが、20歳前後の頃の自分だったら気づかなかったであろうCメロに込められたメッセージが、30代の自分に刺さりまくっています。

まだ日向坂46の青春の馬のパフォーマンスをライブで観たことが無いので、一度はこの目で観てみたいなあと思っています。

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