目

【アートレビュー】非常にはっきりとわからない

11月に千葉市美術館開催中の展覧会を見てきました。ネタバレを防ぐために内容については詳しく書きませんが、私が感じたことをシェアします。
様々な観点がある作品だと思うので、実際に作品を見た方の意見(どう感じたか)を聞いてみたいです!

https://youtu.be/RwtBxyOOpFM
https://www.japandesign.ne.jp/event/me-ccma/
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「非常にはっきりとわからない」この名前の通り、もやっとした、狐に包まれたような感覚を感じることがこの作品の醍醐味だったなと思います。
まるで自分だけルールがわからないボードゲームの上に、ひきづりこまれたような心許なさ。
それでいて、蚊帳の外にいるからこそ感じられる奇妙な可笑しみ。
私たちの周りは「何となくわかった(ような気になっている)」ようなことで溢れています。回答がない問題はないし、大抵の作品には解説が加えられ、歴史は紐解かれて(いるように見せられて)います。
なぜなら「わかる」ことは快感で安全で、それを求めている人が多いから。

「わからない」感覚はどちらかというと非日常的。
ストレスフルだし悔しい。でも「わかる」感覚以上にパワフルな力が秘められていると思います。この作品を見て「わからないから〇〇したい」エネルギーがワーッと出てきて、それが展覧会をリピートする人の多さに繋がっているんだなと思います。(今私たちが"わかって"いることは、かつて誰かが"わかりたい"と願い、想像し、思考した結果"であると思うので、"わからない"はパワーだと思うのです。)

ただ、この作品は見れども見れども"わからないことしかわからない"。
そもそも、この作品の着想ともなったチバニアンについても(ちょっとぐぐっただけですが)よくわからない。
地磁気反転と言われてもピンとこないしそもそも極が違うと世界はどう違ってくるのかもわからないし、地磁気とか地質時代とか一連の研究だって本当に真実である確証なんてどこにもない。本当に反転したのかもわからない。
だとしたらチバニアンって何?(笑)
そして、分からないことが膨大な年数をかけて、地層のように積み重なってきた結果、今のこの場所がある。とすると、
ここで生きている私たちは、一体何者なんだろう、
ここで何しているのだろう、と不思議な気持ちになります。

※余談ですが、幼い頃、大人たちが仕事をしているのを見て
仕事って何なんだろう、何のために人は仕事をしているんだろう、一体どこに向かっているんだろうと、感じた気持ちを思い出しました。

きっと地磁気は、(反転するとしても)個人が願ったところで反転はしない。
目には見えない、何か大きなものによって反転することが仕組まれている気がします。
私たちの活動や何気ない動き、もちろん美術館の展覧・運営なんかも、私たちの意思で動いているようでいて、実は何かに導線を敷かれているのではないか、私たちは動かされているのではないか、と感じています。
チバニアンも私たちもこの世界そのものだから。
そして、この曖昧で、理解することもコントロールすることも不可能なこの世界の不思議さ、そして理不尽さの断片を、千葉市美術館で垣間見たように感じます。



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