好きなゲームの話 【四月馬鹿達の宴】

間が空いてしまったので、肩慣らしにゲームの話でも。


ネット上で無料公開されているフリーゲームを時々触るんですが、その中でも特に好きなゲームの一つがこれです。

作者さんのHPはもうないものの、Vectorからダウンロードできるので、やったことのない方は是非プレイして頂きたいです。


夕暮れの雰囲気を基調とした独自のグラフィックと、同じくらい特徴的なセリフ回しで人気なんですが、ゲームシステムも独特。

RPGツクールのデフォルト戦闘でない、0から始まるMPを戦闘中にチャージしてスキルを使う、自作の戦闘システムなのもそうなんですが、「装備を灰に」してスキルを習得したり、能力値を上げるシステムがあったり、移動中の回復アイテムである食べ物にキャラごとの好き嫌いが設定してあったり、属性が一般的な火水風土その他じゃなく、信仰→文明→精霊(→信仰)の三すくみ+αだったりと、とにかくやりたいシステムを全部組み込みましたという感じの独自路線。

この独自路線が上手く機能しているかというとそうとは言い切れず、例えば「装備を灰に」は事前に何が習得できるかやってみないと分からない上、キャラ毎に別々の習得物が設定されているので試行回数の要求がかなり多い。そして、スキル習得は基本的にこのシステムで行う都合上、避けて通るのが難しい。特に重要なスキルはアイテム説明で何が習得できるか分かるようになってるものもあるんですが、なかなかにしんどいです。

食べ物の方も10種類くらいある分類にキャラ毎の好き嫌いが設定されており、好きなものは3倍の効果量だが嫌いなものは1/2とある程度覚える必要があるものの記憶が大変だったり、属性も慣れないうちは「どれがどれに強いんだっけ?」となったり、不便なことも多いです。

……と書くと、変に凝っていて駄目なシステムのゲームに聞こえるんですが、逆に言うとその不便なシステムが世界観のフレーバーに結び付いた、重要なものになっているんですね。「火喰い鳥のクローク」「聖なるはんだごて」「羽のように軽い引き金」等など、ファンタジックだったりふざけていたりよく分からなかったりする装備一つ一つに、習得スキルで更にどういうものなのかの味付けがされているのが楽しい。食べ物の方も、甘いものでお酒を飲むのが好きだったり、貧乏暮らしを思い出すから豆や野菜が嫌いだったりするキャラに、塩湖の上の国名物の塩まんじゅうに常夜の国で育った暗がり金柑など、世界観に結び付いた食べ物が用意されていることで想像の余地がどんどん広がる。

ゲームも創作物の一つである以上、作者のやりたいことが感じられるのは当たり前なんですが、ストーリーや舞台設定、システムだけじゃなく、一貫した「ゲーム全体」にここまで作者のやりたいことが反映されているゲームってなかなかないように思います。

触れるのが遅くなったんですが、音楽の選択もまたとてつもなく良いセンスで、こちらは自作じゃないものの、この音楽はこのゲームというくらいハマってるものが多い。

近年ではインディーズゲームにその役目を譲った感があるんですが、やはり個人製作ゲームは作者さんのやりたいことがはっきり見えるのが醍醐味。その中でも特に出来のいいこういう作品が、誰でもプレイできるようになっているというのはとても価値があるように思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?