見下していた明日9

統治の世界が始まってから、200年が経過した。
肉体を再び得た人間の内、生き残ったのは45億人。
この三十倍以上の人間が既に死んでいる。
これから、人間という種類の生き物は、もっと個体数が減って行くだろう。

全ての大人だった人間が再びチャンスを与えられた上で、
一定期間が経過した為、人間に選択を迫る時期と成った。
このまま子供の体で居るか、それとも大人の体に成るか、である。
どちらにしても大人の扱いと成るのだが、
案の定、人間の大半は「大人の体に成る方」を選んだ。
大人の体に成ったから何かを許される、という事は無い。
しかし、人間は大人の体に固執した。
そしてこの時を境に、もう一つ変化が起こる。

それが子供だった者達の復活である。
正確には18歳未満で死亡した人間達であるが、
その人間達の育成環境が整ったと判断された為、
地上に本当の意味での子供が肉体を再び得る様に成る。

子供達には、これから毎日、剥き出しの尻を鞭で叩く教育が行われる。
本来は掌で剥き出しの尻を叩く教育だったのだが、
「子供の尻を叩くな」と騒ぐ連中の教育によって育てられた
女の子供三人によって、救いの子、即ち闇の皇子は殺された。
これは四番目の罪であり、本来は存在しないはずの罪であった。
しかしながらこの罪が「子供の尻を叩くな」と騒ぐ連中の教育によって
生み出されてしまった為、新しい、より高位の浄化を行う
必要性に迫られたのである。
尻を叩かねば成らぬ。
尻を鞭で叩かねば成らぬ。
尻を鞭で叩き続かねば成らぬ。
そうしなければ人間は生きて居る必要性を否定する事に成る。
これを耐え抜いてこその、本来の人間なので在る。
また、これに加え、白人による反乱、
フェミニストという危険分子の女による反乱、
この二つの反乱によって、白人の子供と女の子供、
この二つに関しては「尻の皮が剥けて血が出るまで叩かねば成らない」
という事が定められた。
白人の女の子供に関しては、二つの反乱の危険思想の罪が重なっている為、
「尻の皮が剥けるまでの鞭打ち」に加え、
「浣腸による強制排泄行為を毎日十回以上行う」事とした。
身も心も芯からきれいにする必要があるという判断である。
子供と言えど、無法の世界の頃に比べ格段に身体は丈夫に成っており、
これらの浄化行為は身体的影響という意味では、全く問題が無い行為である。

これらの事が子供達に伝えられると、
子供達は「子供の尻を叩くな」と騒いでいた連中、
及び、フェミニストの連中に対して、怒りを顕にした。
当たり前の事だろう。
エゴを振りかざす馬鹿な大人達のせいで、子供が犠牲に成るのだ。
しかしながら、これら反乱分子に対して共感を抱く者達も居たのである。
それは嘗て、無法の時代において、尻を叩かれない教育によって
育てられてしまった子供達であった。
悪しき教育を標準として与えられてしまった子供は、
悪しき基準によって物事を推し量ろうとする。
そう、嘗て反乱を起こした白人やフェミニストと
全く同じ思想に陥ってしまうのである。
人類の歴史において、障害者を差別した歴史は、
必ず子供の尻を叩かない所から生まれる。
どんな時代においても、子供の尻を叩かない家庭というものは存在し、
それ故に、どの時代においても障害者差別を行う子供が存在し、
それが大人に成った時、ナチスの思想を抱く様に成るのである。
それが最も顕著に発露した例が、日本に生まれた
植松聖であろう。
父親が小学校教師であった彼は、ナチスに共感し、思想実行する組織
「日教組」の「子供の尻を叩かない教育」によって育てられ、
障害者19人を殺害する悪行に及んだ。
その思想はヒトラーのものと全く同じだったという。
問題はそれだけでは無い。
その凶悪な連続殺人をした男に、
尻を叩かれていない子供達が数多く共感して居た事である。
この殺人鬼を英雄扱いする小学生も多数存在した。
人間に関する全ての事実が、
「子供の尻を丸出しにして叩く教育以外は正しく無い」
と証明している。
しかし。いや。だからこそ。
ナチスの思想を持った者達は、「子供の尻を叩く事」を徹底的に批判した。
全ては「ヒトラーと同じ思想を持った人間を育てる為」。
即ち、「植松聖と同じ人間を大量に生み出す為」であった。
その為には、多くの学者、研究者を抱き込んで、
「子供の尻を叩くのは悪い影響がある」というでっち上げの研究結果を
発表し続ける事すら厭わなかったのである。
人類滅亡の仕掛けに逆らわなかった、というのもある。
「子供の尻を叩かない事」は「人類を存続させない事」に
繋がっているからだ。
しかし、それと同時に
「障害者として生まれて来る闇の皇子を追い詰め、殺す事」
もまた、目的の一つであった。
そう、アイツの思惑だったのである。

さて。
話が脇道に逸れたが、「子供の尻を叩かない教育」に共感した子供達には、
或る事が起こった。
それは額に「鉤十字の印」が浮かび上がり始めた事であった。
すると子供は尚一層、障害者を馬鹿にして喚く。
「ガイジのせいや!ワイらは悪く無いんやぞ!」
小学生程度の年齢の女の子供がそう喚く度、
額の鉤十字は色が濃く成って、最期には紅く染まって、
その瞬間その人間は死んだ。魂ごと。
人間に新しい機構が組み込まれたのである。
人間の設計図は、我々の側が熟知して居るのである。
人間は新しい体を与えられた時、
丈夫で健康な肉体に変えて貰った。
それは無法の世界の頃とは比べ物に成らない程、頑丈なものだ。
と、同時に様々なアップデートが行われた。
この、「子供の尻叩きを否定するナチスの思想を持つと発動する機能」
も、そのアップデートの一つなのである。
子供時代に尻叩きを肯定出来る人間に育たないと、
高確率で「ナチスの思想に陥る」。
その為、こうして
「救済不可能な子供の魂を自動的に処分可能なシステム」
が組み込まれたのだ。
この機能は寸分違わず発動され、「尻叩きを否定した子供」には、
必ず発動する様に成って居る。
この機能が発動した子供を「ナチスの子供」と呼ぶ。
「ナチスの子供」に成ると、24時間以内に魂が死ぬ事が確定する。
「ナチスの子供」の状態で障害者を馬鹿にしたり、
尻叩きを否定する言葉を吐くと、死までの速度が加速し、
場合によっては先例の少女の様に一瞬で魂が死ぬ。
その為、子供が再び新しい肉体を得た数日中に、
尻を叩かれていなかった子供の大半は死んだ。魂ごと。

人間は新しいものが大好きだと聞く。
神はその事をよく分かっておられて、人間そのものを新しくして下さった。
子供も大人も、晴れて最新バージョンの人間に成れたのである。

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