さよならの向こう側で8

下で相変わらず青く燃えて居る民衆。
しかし別の通りからは、別の集団が現れる。
「子供達を学校へ戻しましょう!
「学校へ行くな」と言い出す人達は皆、とても無責任な人達です!」
小学校三年生位の女の子が、集団の先頭に立って、
そんな事を拡声器で叫びながら突き進んで来る。
「また下らない事を・・・。」
フェッシーはその少女目掛けて急降下する。

「何で学校へ行かなくちゃいけないのか、
簡潔に述べてみな。」
腰に両手を当てたフェッシーが、少女へ詰め寄る。
「だ、だって、学校へ行かないと就職出来無いし・・・。」
「大学出たって、大学院出たって、就職に失敗する奴は必ず居るんだ。
どうしてだと思う?」
「入ってから御勉強出来なかったから?成績とか・・・。」
「違うね。ただの運だ。」
「え・・・?」
「成績なんか首席や次席位しか評価されない。
そもそもこの国に、国民全員を養えるだけの職があるのかい?」
「無い・・・の?」
「無いよ。ハローワークだって実際は
募集していない求人広告を水増しして置いてあるんだ。
だから少ない職を得る為にはパイの取り合いをするしか無い。
そこで人事担当は履歴書の何を気にすると思う?」
「学歴?」
「そう!何処の大学を出たのか。この一点を気にする。
どうしてかって?客観的に、どんな馬鹿でも測れる基準が
学歴だからだ。
しかし。そんな評価基準は景気が良い時だけ。
実際は勉強が出来ても使いものに成らない人間なんか、巨万(ごまん)と居る。
だから今は面接重視が主流に成って来て居る。」
「じゃ、じゃあ面接を頑張れば採用される!」
「違うね、ただの運なんだよ。考えてもみな、
面接で幾ら口が達者でも、そんな事が営業以外の担当部署で
役に立つと思うか?」
「あ、確かにそうだ・・・。」
「つまり、人間が考える価値基準なんて流動的なんだから、
何をやった所で採用する会社の機嫌次第さ。
だから結局、最後は運なんだよ。
つまり学校なんか行っても、就職の役になんか立たない。
精々やれる事は、頑張ってコネを作る事位だな。」
「じゃ、じゃあ何の為に学校ってあるの?」
「決まってんだろ。教師の為さ。
教師が金を貰う為には、生徒に何かを教えている、
と言う建前が必要だ。
その為には、何かを教える事の必然性が要る。
取り敢えずゴールは就職だ。
しかし義務教育だけでは、大した教師の数を養えない。
だから、就職をする為の勉強をさせる為の学校の大学と、
就職をする為の勉強をさせる為の学校へ進学する為の学校
である高校が必要なんだ。
これで、小学校と中学校で税金から金を搾り取って、
高校と大学では親から直接金を搾り取れる。
6年と3年と3年と4年、合計で16年も御金を搾り取れる期間がある。
教師って言う生き物は天才だねえ。
生きて行く上で不必要な事を教えて、
御金が貰える仕組みを作るなんてさ。」
「でも、学校へ行かないと就職出来無いのは事実だもん!
学校へ行かなくていい、なんて無責任だよ!
学校へ行かなかった後はどうするの?その後も人生は続くんだよ?」
「はあ~・・・行かなくても行っても、就職出来るんだよ。
大きい会社だけが仕事じゃない。
職人だって、町工場だって、みんな立派な仕事なんだ。
もっともっと、世の中の色んな所へ目を向けてみな。」
「そんなの底辺の仕事じゃん・・・
それにどんな仕事したらいいかなんて分からないもん。」
「それ位自分で考えな!
その為に子供時代があるんだろ?
何をやりたいのかを自分で真剣に探すんだ。」
少女は唖然として居た。
「で、何でアンタは、
そんなどうでもいい「学校」なんて言う
下らない場所へ行く様に扇動して居た訳?」
「それは・・・。」
「何で?」
「だってパパがそう言えって、言ったんだもん!」
そう言って少女は泣き出した。
「そうかそうか。パパが言ったのか。
でもね、だからって悪い事をした事には変わり無いんだよ?
さて、悪い事をすると子供はどう成るでしょうか?」
「ど、どう成るの?」
「先生、悪い子はおしりぺんぺんだと思いまーす!」
「やだやだ!おしりぶたれた事なんて無いのに!」
「だからぶつの。さあ、覚悟しなさい。」
少女を軽く引き寄せると、立ち膝の姿勢に成って
少女を膝の上に乗せた。手際良くスカートを捲ってパンツを下ろす。
そして自らの手にハアーと息を吹き掛け、その手を思い切り高く振り上げた。
「二十発叩いてあげる。しっかり我慢するんだよ。」
フェッシーは力を込めて掌を尻のほっぺた目掛けて振り下ろした。
よく響く甲高い音がして、尻の頬に紅葉の様な手の形がピンク色に浮かび上がる。
「少し強過ぎたかな・・・じゃ二発目。」
もう片方の白い尻頬に掌を打ち付けた。
そして暫し、尻を叩く音と、子供の泣き声が辺りに響いた。

少女は膝から下ろされた後も、
「ごめんなさい、もうしません」を繰り返して居た。
「よく頑張ったね。おしりぺんぺん、ちゃんと耐えて偉いよ。」
まだ泣いている少女を抱き締めて、頭を撫で擦ってやった。

その後で、フェッシーは叩いた自分の掌を見つめて居た。
「初めて他人のおしりを叩いたけれど、
こうして子供にお仕置きしてあげるのって、案外悪く無いかもね。
但し、手が凄く痛いけど。」
フェッシーの手も、少女の尻と同じ位真っ赤だった。

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