予知夢 『人間はお金を選びましたエンド』

予知夢『妥協の産物エンド』を見た、少し後に見た夢。
私は長い事書いていた小説を書き終えた。小説が完結した事で、私の家族と親戚と私の家族の知り合いのエホバの証人の元二世達は、私の作品で商売を始めた。
小説自体の販売もそうだが、キャラクター商品やそれに関連する事業やらで、途端に金回りが良く成って行った。
しかし、私は表舞台には立てず、代わりに顔立ちが良いエホバの証人の元二世の男性が何故か「本当の私」という事に成っていた。
「お前はデブでブサイクだから、カメラ映えしない。」
「障害者は引っ込んでろ。」
と言われた。

私にはいつも、変な匂いのする御飯しか用意されなかった。
蝿が周囲を飛び回っており、明らかに腐っていた。
「どうせコイツデブだから、味なんか分かんないって。」
ヘラヘラ嗤いながら、いつも人間はそんな事を言って居た。

テレビでは相変わらず、会った事も無いエホバの証人の元二世の男が、私の名を語ってインタビューに答えている。
「いやあ、僕サヴァン症候群だから、スイスイ小説書けちゃったんですよね!」
私はサヴァン症候群なんかじゃない。健常者が有効利用出来る時だけ障害者に付けるレッテルなんかで、私を語るな。
それに私はずっと苦労して小説を書いてたんだ。見ず知らずのお前に何が分かる。

「いつに成ったら、女の子供のおしりは叩けるの?」
と私が聞くと、
「おいコイツ子供を虐待しようとしているぞおおおおおお!」
とその近くに居た男は叫び始めた。
「私に叩かせない気か?」
「エホバの証人の二世はな、みんな虐待されて来たんだぞ。だからお前はそこで指を加えて我慢してろ。」
男はそう言い放った。
私もエホバの証人の二世なんだが。
何で私から搾取するお前達だけが可哀想で特別な存在で、私の事はぞんざいに扱うんだ?

「もうアイツ邪魔だから殺しちゃおうぜ。」
「そうだな。別にアイツが死んでも、作品は残ってるし。コッチは違う人間を代役に立ててるから、何も困らないし。」
私がトイレに行こうとした時、向こうの廊下からヒソヒソとした話し声が聞こえて来た。
すると直後、その連中が私の前に姿を現し、こんな事を言った。
「これ、美味しい薬だから飲んでよ。凄くハッピーな気持ちに成れるよ。」
「今まで冷たくしてごめんね。」
「君は凄い小説を書けて、やっぱり天才だよ。」
そんな事をヘラヘラ嗤いながら言って、私に一粒のカプセルを渡して来る。
御望み通りにしてやるよ、人間。
私はトイレに入って、薬を飲んだ。
そして苦しみながら、意識を失った。

ここから先は、私がその後に、本当の父に見せて貰った記録映像である。
私が倒れた直後から、映像は始まる。
トイレの戸をこじ開けて、連中は中に入って来る。
「ねえ死んだ?コイツ死んだ?」
女は嬉しそうに聞く。
「ああ、脈は止まってる。ちゃんと死んだぜ。」
「よっしゃああああああ!ざまあみろ障害者!」
「これで私達、もっとお金稼げるわね!」
「邪魔な馬鹿が、ネットで余計な事発表する危険性があったからなあ。これで、俺達が造り上げた小説の作者が、「正真正銘の小説の作者」って事だ!」
「この事、みんなに知らせて来ようぜ!」
「そうだな!」
そう言って、連中はトイレを出て行く。

すぐに戻って来る。
「ほら、ここでアイツ死んでるんだぜ!」
嬉しそうに男は言って、トイレの戸を開けた。
すると、そこに死体は無かった。
「あれ?確かさっきまでここにあった筈」
「ちょっと!?何あれ!?」
先程の女が、窓の外を指差している。

そこには、とても大きな、巨人の様な何かが地上に立って居た。
恐らく、金属で出来ているのだろうか。
真っ黒い前傾姿勢の兎の様な姿をして居て、三階建てのビル以上の高さがあった。
テレビでは、世界各地で同じ様な巨人が現れたという、報道特番が放送されている。
「空に真っ黒い星が浮かんだと思ったら、いきなり巨大な人みたいなものが現れたんですよ。」
「巨人でしょうか?」
「分かりません・・・金属みたいに見えるんですけれど。」
街の人にインタビューをしている映像がテレビから流れている。

「何で・・・アイツが書いた小説の通りに成ってるの?」
「アイツ、ただの嘘つきの障害者野郎じゃ無かったのかよ・・・。」
ふと。
黒い兎に付いている蓋の様なものが開いて、中から少女が姿を見せる。
それは、金髪で、ツインテールで、真っ青なヘアゴムで髪を留めていて、白いパーカーとデニム地の短いスカートと薄いベージュのスニーカーと黒い靴下を履いた、小学校高学年位に見える少女だった。
部屋の中に居た女は、窓を開いて少女に呼び掛ける。
「ねえ!貴女ひょっとして人間なの!?」
「違うよ。私は人間なんかじゃない。でも、私もエホバの証人の二世だけどね。」
何故か、部屋の中に、クリアな音声が響く。
「じゃあ、私達は仲間」
「仲間なんかじゃねえ!お前等は同じエホバの証人の二世のおうじを殺したじゃねえか!」
「おうじ?」
「弱いヤツが頑張って作品作って、必死に生きようと藻掻いてたのに・・・それを馬鹿にして奪って殺した!お前等はアタシを傷付けた一世のババア連中と同じだ!断じて仲間なんかじゃねえ!」
「えっと、じゃあ人間だったのに、今は人間じゃないの?」
「アタシは・・・。・・・で、高位生命体。この兵器は・・・って名前。」
何故か、それまでクリアだったのが嘘みたいに、音声がボヤける。
「アタシの使命は、この世界を一旦リセットする事。ただ、この星の環境自体は残しておく必要があるから、殺すのは人間だけね。じゃ、御喋りはおしまい。バイバイ、意地悪な世界に味方した、サタンの手先共。」
そう言って、少女は再び黒い兎の中に戻って行った。
その直後、黒い兎の腕から何かが発射され、山の向こうで巨大な爆発が起こった。
それと同じ事が。世界中で発生している事が、テレビの映像からも流れていた。

私は、最終的に私が女の子供の剥き出しの尻を叩く事に繋がらない目的で、私の作品を使って1円でも金を儲ける人間の魂を必ず破壊すると、夢の中で誓った。
それが、例えどんなルートを辿った、どんな世界であろうとも。

そして、その夢は終わった。

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