狭間の世界12と1/2

「人間は本来、神を崇拝する様に作られているから、
それを行わなく成っても代わりに人間を崇拝したりする。
つまり崇拝の代償行為として、精神的な置換が本能的に行われているんだよ。
ボクは思う。それがカルト宗教で無い限り、どんな宗教でも、
神を崇拝するという事は等しく尊い行為であると。
しかし、人は神への感謝を忘れた頃、自然への感謝も忘れ、
己が何なのかも忘れたまま、ただ傲慢に増長し、
「子供の尻を叩くな」「子供の裸を隠せ」と、
人間の浅知恵のみを信仰し始めた。
自らを愚かだと証明する様に。」
夜が明けようとしている。
そしてボクは、一つの事を決意した。

朝日が差し込む大地に立つタナトスの元へ二人で行くと、ボクは言った。
「もうまどろっこしいのはウンザリだ。残りの因子は纏めて倒すよ。いい?」
「構いません。確かに、このままだと工程が多過ぎるので。」
タナトスの了承も出たので、ボクは遠慮無くそうする。
「時間よ進め。最後の因子が訪れるその時まで。」
ボクがそう言うと、
空に日が昇って地平線の向こうへ落ちて、月が天に昇って、落ちた。
それが三回繰り返されると、また朝焼けが訪れた。
ほんの一分と掛からない出来事だ。
しかし、もう三日経ったのだ。
朝日を背にして、大量の因子が空に浮かんで居るのが見える。
「何が起こった!?」
因子達は顔を見合わせる。
やはり、世界の理では無い側からは理解が出来無い事象として映るらしい。
「そんなッ!有り得ない!」
タナトスが声を上げる。
「今回の襲来は第六波、最期の因子の襲来です!
この事態は既に事前に予測されています!」
「やっぱり。」
タナトスの言葉に納得する。
「全ては御見通しって事だよ。だからここで全員殺す。」
ボクの言葉で察したらしく、目の前に光輝の神剣がザクッと突き刺さる。
ボクは、まだ状況を把握していない因子連中に向かって走り出す。
13月7日の朝の事だ。

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