さよならの向こう側で5と1/2

※子供の尻叩きをSMプレイの様な「性的なもの」と捉える、
心が濁れた人達が世の中には居る様ですが、
その様な人達は読まなくて結構です。おしりぺんぺんは子供達の為のものであり、
子供達の権利です。子供が尻を真っ赤に成るまで叩かれる権利は、
何人たりとも奪っては成らないのです


「魔法少女フェッシーちゃんの、ラブラブスパンキングたーいむ♪」
ハートの付いた可愛らしいステッキを取り出すと、
スカートの裾を捲り上げ、クリップで挟んで固定する。
そして躊躇無く自分の真っ白いパンツを下ろした。
「よ~し、おしりぺんぺん頑張るぞー♪」
精一杯可愛くウィンクしながらポーズを決めると、
まだ幼く小さい自分の尻頬へ目掛けて、ステッキを容赦無く振り下ろした。
力を込めて叩いているせいで、すぐに尻は赤く成って来る。
50発程叩いた所で、フェッシーは叩くのをやめた。
既に尻のほっぺたは、猿の尻の如く真っ赤に成って居た。
「あ゛ー・・・自分で自分のおしり真っ赤に成るまで叩くしか無いなんて、
頭おかしく成りそう。」
薄っすらと涙を浮かべたフェッシーが呟く。
幾ら魔法少女のヒロインを真似して気を紛らわせようとした所で、
尻が痛い事に変わりは無い。
それでも自らの尻を叩かなければ、力を行使出来無い以上、
それはもう不可抗力に等しいのであった。
「何で私には、おしりを叩いてくれるパパもママも居ないんだろう・・・。」
焦燥感に駆られたまま、ボーッとした頭で呟く。
せめて自分を愛してくれる人がおしりを叩いてくれたなら、どんなにかマシだろう。
そんな叶わない事を時々思う。
「・・・私を捨てた人間の事なんて、考えても無駄だ。」
気持ちを切り替えて、フェッシーはマンションの屋上から飛び立つ。
「センチメンタルを放り投げて、アイアムバードッ!」


マンションの一室。
一人の少年が怯えて居た。
小学三年生のカケルである。
母親はいつもの様に、H大学特任教授が出演している番組を見ている。
「叩いちゃダメよー。子供はね、叱らず叩かず育てるのが一番なのよー。」
それを聞いて母親は震え出す。
「叩いちゃダメ・・・叩いちゃダメ・・・叩いちゃダメ・・・。」
母親のストレスが溜まって行くのが分かる。
そして、限界が来ると・・・。
「カケル!何でアンタって子は!」
いきなり、大人の拳が頭頂部を直撃する。
ジンジンと痛む頭を抱えて、体を丸めるカケル。
更に母親は、殴る蹴るを繰り返す。
テレビでは相変わらず、
「子供を叩いちゃダメよー。」
と無責任に笑っている中年の男が映っている。
「何であの人はいつも無責任に「叩くな」って言うの?
それで僕のママはいつもイライラして僕を殴るのに・・・。
そんなに子供をいじめたいの?」
カケルはそんな事をいつも心の中で思う。
「叩くなって言うから!アタシを否定するから!
アタシだって好きで殴ってんじゃないのに!」
母親の怒鳴り声は、とても苦しそうだった。
そして、最後には、
「ごめんね、ごめんね。何で殴っちゃったんだろアタシ・・・。
母親失格だ・・・何で母親に成っちまったんだろ・・・。」
と、誰への謝罪なのかよく分からない言葉を繰り返し、
また自己嫌悪でストレスを溜め始めるのだった。
「テレビに出て来る「子供を叩くな」と言う大人は、
みんな無責任だ。誰も僕の事を助けてくれない。
なのに、「子供の為にやってるんです」なんて顔をしている・・・
それが僕は許せないんだ。」

そんな或る日の事。
今日はテレビに『子どもをすこやかに育てる会』の代表の女が出演していた。
恐らく録画だろう。
しかし、母親の怒りを溜めるには充分であった。
「子供を叩くのは虐待です。今すぐにやめましょう。」
無責任な一言。
それを聞いて母親は激昂する。
「アタシ・・・虐待してたの?虐待してたのかああああああ!?」
その怒りは、当然の如く息子のカケルへと向かう。
しかしその日は、いつもと違う事があった。
それは、母親が出刃包丁を持って来た事だった。
これにはカケルも、死の危険を感じる。
急いで玄関のドアまで走り、外へ飛び出す。
しかし、大人の足は早く、当然すぐに追い付いてカケルの後ろまで来る。
カケルは、玄関から現れた出刃包丁を持った母親を前にして、
尻餅を付いてしまった。
近くを女子小学生が通り掛かるが、
「男ざまあみろ。」
とだけ言って立ち去ってしまった。
結局、誰も助けてくれないのか・・・。
そんな思いがカケルを支配し始めた時、
目の前に一本のサバイバルナイフが転がって来る。
「戦いな。じゃないとアンタは一生奴隷のままだ。」
後ろを振り返ると、そこには11歳程の容姿の少女が居た。
フェッシーだった。
カケルはその言葉に頷く。
ナイフを手に取ると、母親が振り下ろした出刃包丁をそれで受け止める。
しかし・・・大人と子供では力が違い過ぎる。
すぐにカケルは押され、段々と自分の顔へとナイフと出刃包丁が近付いて来る。
そんな時、母親がポツリと言った。
「アタシだって、この子を殴りたくなんて無い・・・。
でも、みんなアタシの事を「叩くな」「叩くな」って否定するんだ・・・。」
泣きながら母親はそんな事を言ったのだった。

「叩いていいよ。好きなだけ叩いたらいいじゃん。」

「え?」
母親もカケルも、言った当人を見た。
フェッシーだ。そして、言葉を続ける。
「子供なんてどうせ悪さするんだから、叩いていいんだって。
口で言って分かる子供がそうそう居るかっての。
但し、顔を殴ったり、腹を蹴ったりは駄目。
叩くんなら、おしりにしなさい。」
「え?でも、おしりを叩くのは子供を殺すより酷い虐待だって、
大学の特任教授の教育評論家の先生が・・・。」
「アホらしい・・・おしりぺんぺんが虐待なら、
今のある程度以上の歳の大人は全員虐待されてたっての?
別に普通に大人に成ってるし、立派な人間も沢山居るでしょうが。」
「あ・・・何で気付かなかったんだろ・・・
言われてみればそうだ。」
母親は納得する。
「ま、それがテレビだからね。
そもそも子供の尻は一番肉が付いていて安全なの。
叩くのに最も適した場所なんだからね。
おしりなら、幾ら手のひらで叩いても真っ赤に成るだけなんだから。
大体さ、子供のおしりなんてね、叩かれる為に付いてんのよ。
悪い事をしたなら、パンツ下ろして丸出しのおしりを
バシバシひっぱたいてやりなさい。
子供は馬鹿じゃない限り、それでちゃんと良い子に成れるんだから。」
フェッシーはカケルの両肩に両手を置く。
「アンタだって、この子の何かを叱ってあげたかったんじゃないの?」
「・・・昨日その子、0点のテスト隠してた。」
「そっか。叱られるからってテストを隠しておくのは、悪い子だね。
お母さんの御膝でおしりをひっぱたいて貰いなさい。」
カケルはフェッシーの方を振り返る。
「え?でも、さっきは戦えって・・・。」
「虐待には戦いなさい。でも、正当なお仕置きを受ける事から逃げたら駄目。
お仕置きでおしりを叩かれるのは、子供の権利であると同時に義務なの。
そこから逃げる事は、子供の義務を放棄したという事。
これは子供には許されない事なんだよ。
何故なら、それが人間に本来課されている義務だから。」
「分かった。僕、おしり叩いて貰うよ。」
「頑張って来なさい。おしりをうんとぶたれるんだぞ!」
カケルはその日、初めて母の膝でおしりぺんぺんのお仕置きを貰った。
マンションの廊下に、子供の丸出しの尻を叩く乾いた音が響く。
しかしそれは、今までの虐待とは違い、とても暖かい痛みだった。
カケルの尻のほっぺたが赤く成る頃、カケルは母親の膝の上から下ろされ、
そして二人は抱き合った。
「お母さん、ありがとう。僕のおしりを叩いてくれて。」
「アタシこそ、ありがとう。カケルを産んで本当に良かった。
今程思った事は無いよ。最初からこうしていれば良かったんだ。
どうしてあんなテレビの嘘つきに騙されちまったんだろう。」
フェッシーが近寄って来る。
「大人だってね、自分の事を認めて貰いたいんだよ。
なのに、必死にそれを否定して金儲けする大人が居る。
最低な連中だよ、本当に。」
「そうだアイツ等、いつも「叩くな」「叩くな」ってアタシの事を否定していて、
それで気付いたら、この子の事を殴ってた。私は最低」
「最低じゃない。誰だって追い詰められたら、そう成るの。
そうやって他人を追い詰めるのが、アイツ等のやり方なんだ。」
「そうだね。これからはこの子のおしりを叩いて教育する。
私が産んだ子なんだもん、しっかり愛してあげなきゃ。」
「お母さん。」
カケルと母親は、再び抱き合った。
フェッシーは微笑ましそうに笑ったが、

すぐに悲しそうな顔に変わった。
「でも、ごめんね。」
次の瞬間、フェッシーの右掌から伸びた赤黒い刃が、母親の首に突き刺さっていた。
「もう時間切れなんだ。」
カケルは動けずに唖然としていた。
事切れた母親を見つめながら。
「私の事、最低だと思った?騙してなんかいないんだよ。
どっちにしても、もうこの世界の人間はね、みんな殺すしか無いの。
おうじが死んでしまったから、契約に従って一旦全ての人間を眠らせないといけない。
そして、今の事だって、決して無駄になんか成らない。」
フェッシーはカケルを後ろから抱き締めた。
耳元で囁く。
「今まで辛い事沢山あったのに、よく頑張ったね。
もう、休んでいいよ。安心しなさい、次はやさしい世界だから。
そこでお母さんに沢山おしりぺんぺん貰って、幸せに暮らせるからね。」
フェッシーは左手でカケルを抱き締めたまま、右手で赤黒い刃を心臓を突き刺した。
突き刺した瞬間、カケルがゆっくり頷いた様に見えた。
母親の亡骸の上にカケルの亡骸を重ねると、フェッシーは立ち上がって呟いた。
「私はね、君が羨ましいんだよ。
次の世界では、母親との楽しい暮らしが約束されている。
でも、私にはもう、多分何も無い。
だけど、私にはもう居場所が一つしか無いから。」
眼から水滴を飛ばしながら、フェッシーはマンションの廊下を駆け出した。

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