おそ松さん第二期14話感想

まだ書いてない11~13話より早く感想書いといた方が良さそうだと思ったので先に書く事にしました。Cパートの事変については記憶がフレッシュなうちに覚書しておきたい。本文中『』内にある日付つきの引用は当時ツイッターのものです(誤字脱字や二次創作的コンビ名などは訂正しています)。

Aパート:実松さん 第九話

始めに言っておきます。私実松さんちょっと怖くて苦手なんです!

なので飛ばし飛ばしに見てしまい詳細を見逃してるかもしれない。とりあえず本編六つ子っぽいのが出てきた辺りからは真面目に見た。この辺り色々な考察もなされてるでしょうから私が書く事もないかな。

実松世界の六つ子たちは「くん」時代の六つ子たちがそのままの性格を保ったまま理想の兄弟として育った姿として私はとらえています。まさか「カラ松兄さん(優しい声)」「ありがとぉ~(甘い)」なんていう一松を見られると思わなかったよ(すごい違和感だった)(でもありがとう)。他の松も少しづつ現在軸の六つ子とは違っていて確実にここが別次元だと感じさせます。一松以外だとちょっと我儘で乱暴そうなカラ松と常識的でどこか陰のある十四松が印象的でした。

現実は地獄。でも妄想の世界には永遠に居ることはできない……。新年早々なんて話から始めやがる。会社行きたくなくなる人続出だろ。

予告のギャグがまだ救いだけど辛い現実と妄想を永遠に行ったり来たりするのを繰り返すのかと思うとそれはそれでまた地獄だなって。

Bパート:UMA探検隊

AとCの間にこれ挟んどいてくれてよかった。でないと重さに耐えられなかった。

内容は「川○浩探検隊」のパロディかと思われ。イヤミ、ハタ坊、十四松っていう珍しい組み合わせですがラストで死んだ(笑)。でもなんか続くらしい。何をどう続くのかちっともわからないですが箸休め的にはいいですね。

(なおあまりにも短いパートな上直後に突然新OPが始まる為飛ばしかけました)

Cパート:チョロ松事変

予告から何かしでかす予感紛々だったチョロ松にすわ就職か?もしくは彼女でも作るのか!? って物議をかもしましたが、ふたを開けてみればチョロ松がいけてる男になるべく謎の新年デビューをしているというスケールの小ささがおかしすぎる話です。

いまどき茶髪にしたら不良とかいつの時代の価値観だ。それにしてもチョロ松の茶髪がダサさ100%なのは茶髪だからというより前髪がぱっつん正面分けだったり服装が全然合ってなかったりと典型的なオシャレ初心者の間違いをフルコンボで決めてるからだと思う。

必死でチョロ松を思いとどまらせようとするデリカシーある弟たちと、自分は格好良くなったと信じて疑わないチョロ松のやり取りで進む前半はすごく楽しかったです。弟たちの個性が良く出ていました。本気で心配するトド松に弟三人の長として頑張ろうとするもビビりの一松、周囲の空気を読み自分の立ち位置を探る十四松。それぞれがそれぞれに必死ですがどうにも空回りという滑稽さは素直に笑える。特に結局一松が本音を言えず「(茶髪)すっげえ似合ってるよ、ナイスっ☆」って優しい嘘付いちゃうシーン可愛い。最後には手紙を書こうとか言ってるし。一松くん、謎の奥ゆかしさがあるな。

しかし、この後長兄が登場するあたりからちょっと風向きが変わっていきます。弟たちの気遣いを全力で無駄にし、長男はチョロ松にあけすけな本音を言ってしまうわ、次男は「こんなクソダサい髪型をチョロ松が自分でするわけない!」とか傷口をえぐり出すし、もうはちゃめちゃです。最後にトト子ちゃんが来て更にクリティカルヒットをかまします。

以下全体を通しての感想をツイッターから抜粋。

『割と好評回かなって思うんですけど私は私の苦手要素が結構盛大に詰め込まれた回で苦手かもしれない…
とりあえず三男事変の末弟は(逃げはしたけど)男前だし優しい
なんだかんだ言って最後に謝る三男も嫌いじゃない
弟松可愛い
現場からは以上です
13:14 - 2018年1月9日』
『二期に入ってから特に感じていたけど末弟は兄三人の中なら三男が一番普通に頼りにできると感じているんだなっていうのには萌えました
なんだかカンダとその常識人ポジションを大切にしてほしいんだよね、分かるよ
13:21 - 2018年1月9日』
『悪気なくDISを投げ合う率ナンバーワンの組み合わせ次男・三男恐ろしいですね(思えば10話では三男が無自覚DISを次男に投げていた)
13:24 - 2018年1月9日』
『次男・三男ってさお互いの事を意外と好意的に見ていて基本イイ奴って感じあっているにもかかわらずその行為が相手に鋭利な刃物になってしか刺さないという地獄のような関係ですね
好きだけど一番遠いところにいるようなそんな感じ
13:34 - 2018年1月9日』
『長兄は逆で距離は近いし価値観もあうけどお互いにリスペクトはなくクソだと思っている(注:個人の見解です)
ツートップ発言の薄っぺらさよ
あれ絶対長男は右から左へ聞き流してるし次男もうまい汁吸う事しか考えてない
13:37 - 2018年1月9日』
『「ツートップでやっていこう!」(ツートップだとは言ってない)って感じ……
13:39 - 2018年1月9日』
『二期に入ってから次男もだけど五男も素の部分を多く見せてくれるようになってやっぱりこいつ賢いんだなって思うこと多い
いや賢くない部分もあるんだけどそういう自分をよく知っててそれ以上の墓穴は掘らない
発言する必要がないときは黙っている知恵はある……
18:27 - 2018年1月9日』
『それだけに逆に今まであえて発言してきた時にはそれなりに意味があるという事
相手を傷つけたり攻撃的な発言をするときには明確に悪気がある可能性があるという事だ
五男の言葉は多分六つ子の中で一番重い
18:29 - 2018年1月9日』
『14話を見ると胸がキュッとするのは六つ子たちそれぞれの生きづらさダメな部分大品評会みたいなところがあるからだろうな
21:43 - 2018年1月9日』
『誰にも指摘されないがゆえにダメさに気が付かないまま罪を重ねる長兄に自信のダメな部分無意識下では分かっているのに認められない三男、そんな兄たちに逆らえない弟松たちという……この話って得してる人誰もいないんだよね
21:45 - 2018年1月9日』

何か綺麗にまとめる気力がないからツイートを羅列しましたが全体的な感想はこんな感じ。長兄の「ツートップで行こう」発言についてはほとんどの人は萌えたっていう感じなんですが、多分私はそれと結構真逆の感想を抱いているとだけ記しておきます。

あと二期10話ではチョロ松がカラ松の価値観を無意識DISしてしまいましたが、この話はその逆でカラ松が全身全霊でチョロ松の価値観をDISしてしまうんですよね。二人とも悪気など欠片もなく純粋な好意であるところが事態の悲劇性を強めます。この二人って価値観は真逆なのに変なところ似た者同士(自分自身の考えに固執し他人をおもんばかるという事に難がある為悪気なく人を傷つけてしまう)なものだから話がややこしくなるんです。

一周回って気があってるとも言えないことないですが言いたい事が言えるというのにも限度ありますね。チョロ松・一松の関係は似たような価値観を持ちながらもそれに対するアプローチが全然違うというものでしたが、カラ松・チョロ松はそれの反対のような関係といえるかもしれません。今期は本当にチョロ松絡みの人間関係が面白すぎて目が離せません。

『末弟は本当に三男兄さん好き過ぎでしょ?
自分の手を汚さない卑怯さはあるけど間違いなく三男を一番まっとうに心配していたし傷つく覚悟もあって男前過ぎんだろ
末弟夢女子になる勢い
先週戦力外されたのに本当に偉い
21:53 - 2018年1月9日』
『自分で三男に言うのはさすがに怖かったみたいだけどそれでもその場から逃げなかったわけだから真剣に正さないと三男兄さんの為にならないっていう気持ちだけは本当だったと思うしな
四男、五男あたりは「めんどうくせぇ~」という気持ちの方が先に立ってる感じだ(もちろん心配もしてる)
21:55 - 2018年1月9日』
『二期になってから本当に三男・末弟が熱いんですよ
これで三男兄さんがもう少し末弟のありがたみを知ってくれれば……
でも末弟ってテレなのかどうなのか自分が三男を心配してる姿を見せないんだよね(三男は末弟に対していらない事か言ってる場合じゃないぞ! 一番心配してくれてる松だぞ)
21:57 - 2018年1月9日』

チョロ松絡みの人間関係が熱いという中でも二期になって以後特に掘り下げられたなって思うのがチョロ松・トド松の組み合わせです。一期でもライジング回にはチョロ松の行く末を心配していたり、なんだかんだとトイレについてきてもらったり、24話でチョロ松の就職にケチをつける長男に憤慨したりなど一番まともな形で兄として慕っている様子はありました。二期になってからは特にその描写があちこちに見られます。

今回の話を見ても分かる通り上二人の長兄は六つ子の中でも別格で手の付けられないモンスターです。それ故に表向きは馬鹿にしつつも、チョロ松の存在は六つ子内でバランサーとしてとても重要だという事をトド松はよく分かっているんだと思います。下三人の中では一番の兄キャラである一松も良き兄ではあるのですがいかんせん我を通すことができない。それではいざという時にリーダーシップを取るのが難しいのです。

お金を管理させたり六つ子内での秩序を保つためにはチョロ松の時に強引な所も必要なんですよ(上二人が欲望のまま暴走したらエライことになる)。例え思うとおりにならなかったら殴りかかってきかねないような暴君だったとしても上二人から直接干渉を受けるよりはるかにまし。緩衝材として必要不可欠な松なんですね。

今回は気を使う弟たちに対して長兄の(弟たちが罰ゲームでチョロ松にダサい髪型を強要したという)勘違いに乗っかり自分の保身を図るという超絶裏切り行為に出たチョロ松なのですがそんな兄に対してもトド松は率先して謝り場を収めることに終始します(他二人もそれに乗っかりますがまずはトド松が先導する形になっています)。男らしすぎますね。しかもそういう三男を心配する姿を表立っては見せないところが更に漢って感じがします。前回13話で戦力外通告されてた時チョロ松が暴走したのは間違いなくトド松がいなかったせいだと思う。

『今回の話六つ子内で終始してればフツーに三男があの場で逆切れ終了だった可能性もあるのですが一番の悲劇はととこちゃんという他者がきてしまったことですね
誤魔化しようのない真実を告げる女、自身の兄という権力が通用しない女ですもんね
23:27 - 2018年1月9日』
『二期は世間という他者に相対した時六つ子内での万能感がいともたやすく崩壊するという容赦ない現実をこれでもかとぶつけてきますな
23:28 - 2018年1月9日 』

今回の話がこじれたのはひとえにトト子ちゃんの存在。六つ子内だけでの事ならカラ松がああ言い出したどこかでチョロ松が逆切れしていた可能性もあったと思う。チョロ松って六つ子の中でなら自分の価値観が一番って疑いないと思うので。でも完全なる他者であり崇拝者であるトト子ちゃんに言われてしまったらアウト。自身の矮小さを誤魔化すことができなくなってしまったんですよね。

ただ今回チョロ松の心を一番深くえぐったのはカラ松の無責任な期待と見当違いな思い込みではあるのですが同時に救ったのもカラ松のでたらめなストーリーであるのが皮肉です。トト子ちゃんの前で恥をかかずに済んだのは間違いなく長兄の流れに乗ったから。自分に気を使う弟たちではなくデリカシーゼロの加害者に助けられてしまうというこの地獄よ。チョロ松のこの時の心中想像するのも怖いです。

結局弟たちは長兄二人に真実を暴露することはなく一方的に謝らされてしまいます。満足げに兄ぶって去って行く長兄に激しくモヤモヤするし、このまま終わったら本当に地獄だったのですが唯一の救いはラストの展開。チョロ松は弟たち三人に確かに申し訳ないという気持ちを持っており最後にそれを形にして示したのです(全裸土下座)。

『14話三男事変、長男も次男も三男もディスコミュニケーションの塊で三つ巴の地獄だよな
必死で円満なコミュを取ろうとする弟松たちが割を食うというこの構図二期には特に頻出だよね
正直者がバカを見てしまう…
でも三男が最後に一応謝りを入れたのだけが救い
19:21 - 2018年1月9日』
『これで三男が謝らなかったらマジモンの地獄になるところだった
でもここで地獄の住人になりきれないところが三男が三男たる由縁で上二人に勝てないところでもあるのがやっぱり正直者がバカを見る世界なのだなぁ……
19:23 - 2018年1月9日』
『三男に関してはむしろ安心した
思ったほど自分を追いつめる事態にならなくてよかった
メンタルは色々崩壊したかもしれんけど最後に謝れたのだけは本当に良かった
12:46 - 2018年1月10日』

 上のツイートにもあるように二期は「正直者が馬鹿を見る」という世界観が特に顕著です(一期もあります。というか正しく生きていようが何だろうがみな等しく理不尽をこうむるというのがギャグ漫画時空だと思いますが)。

そういった世界の中で嘘をついた三男がそれを「正しくないこと」だと思いキチンと弟たちに謝ったという事実はとても大きいです。

思えば一期ライジング回では身の丈に合わない理想を持つ自分を認められず妄想の世界に逃げてしまったチョロ松。そんな彼が現実を受け入れそれを態度で示したというのは紛れもない進歩だと思う! 謝った後腹に据えかねた弟たちにタコ殴りにされるけどその際も一切無抵抗。それだけの事をしたという自覚があるのは大きいと思う。例え長兄たちには真実を暴露できないチキン野郎だとしても。

チョロ松はどちらかといえば兄側の人間で今回も長兄におもねりはしましたが長兄たちの住むモンスターワールドの住人になる事は拒否したのです。理不尽の側に行く事を恐ろしい間違ったことだという意識が彼の中にまだあるということが本当に救いなのです。

事変回だと該当者含め多くのキャラがトラウマを抱えるような目に合う中でチョロ松の前向きな成長が見えるこの回は事変としては優しい回かもしれません。私はチョロ松の事好きですよ。あの理不尽な世界で外への変化を求めようとするところ(これはトド松にも言える)。

モラトリアムを主軸に据えたギャグ漫画というのは構造的にキャラの成長を許さない世界である為、どうしても常識のあるキャラやまっとうな考え方というのが阻害される傾向があります。だってモラトリアムの終焉は作品の終わりなのです。そういうギャグ漫画のジレンマみたいなものが苦しいけど私は好きで、もどかしいところでもあります。私が作品を好きである以上キャラの苦しみは続いていってしまうという……。

なんだか苦しくてもどかしいそんな14話Cパート。単純におもしろいというにはあまりにも業が深すぎる。直前にUMA探検隊という軽い話を挟んでくれてつくづく良かったと感じました。

【追記】

『夕べは寝る間際に突然狂った別ジャンル長文をあげてすまない
しかし私は本当に自分自身を信じて盲信するマイワールド絶対主義者が好きだなと確認しました
良く考えたらからまつくんもそうだ(しかも元演劇部だし、青だし)
7:00 - 2017年12月23日』
『でも次男はこのタイプのキャラとしては相当に善良な方なので…
童貞ニートという権力最底辺のキャラ付けがいい方向に働いた例だと思う
再三言っているがこの手のタイプに実際の権力や実力を必要以上につけてしまうお手が付けられなくなるほど話で暴走しがちなんだよね
7:04 - 2017年12月23日』
『次男がよく不憫役を担わされるのもこういうキャラ付けによるところが大きいと思う
無意識で脚本の人がバランスを取っているんじゃないかなって
次男の場合平和にマイワールド信仰が暴走するとサマー仮面になるのでやっぱり平和なんですけど
7:06 - 2017年12月23日 』

少し前のツイート見てたら14話カラ松を予言するようなのがありました。次男はあんまり調子に乗らせると凶器なんですよね。やっぱり一期ほどではないにしろ程よく不憫くらいの立ち位置が本人にとっても周囲にとっても丁度いいのかもしれないし、その方が平和です。

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