名古屋城所長「バリアフリー『1階まで昇降機と決定した』は事実と異なる」と明言
23/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)で横井利明市議ブログ記載の「名古屋城昇降機は23/3/20に『上からの指示』で『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を撤回し、1階以上に昇降機を設置しないと決まっていた」について問われた上田剛・名古屋城総合事務所長が「『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』は現時点でも有効で、『1階まで昇降機と決定した』は事実と異なる」と明言しました。
横井市議ブログは「事実と若干異なる」と説明しましたが、「文言の正誤について現時点で言及する段階ではない」と述べました。
・23/6/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230612.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230612-1.pdf
・18/5/30 「木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針」
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/mokuzoutenshu_fukasetsubi.pdf
・23/6/8 横井利明名古屋市議ブログ
市民の意見を聞く気もないのに「市民討論会」?
http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2567158.html
・23/6/11 横井利明名古屋市議ブログ
河村市長の指示書はなぜ撤回されたのか
http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2567349.html
今回も、マスコミへの撮影・録音・録画はあいさつまでとされました。
検討会議冒頭、上田所長は23/6/3に開催したバリアフリー市民討論会で、参加者から差別発言があったこと、ならびにその対応の不手際に対して陳謝しました。
赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「横井市議ブログには、23/3/20には『1階以上上げないと決めた』とあった。
それ以降、天守閣部会や全体整備検討会議、バリアフリー有識者会議もあった。国際コンペで優秀な業者を決めた後にそのようなことをするのは信じがたいずれがある。経過を説明いただきたい」と述べました。
上田所長は「3/20に『以前の昇降機の方針が否定された』との記述は確認したが、事実と若干異なる。現時点でも上記方針は有効。
1階まで昇降機設置というのは最低要求水準に記述されている。
様々なご議論を全体整備検討会議を含めて先生に頂戴した。どこまで昇降設備をつけるのかは議論の途上だ。
現時点で『1階まで昇降機と決定した』というのは事実と異なる」と述べました。
その上で「文言の正誤について現時点で言及する段階ではない。表現の内容や市議会議員指摘は確認する必要がある。現時点では決定事項ではない。検討に検討を重ねている」と述べました。
その後石垣等遺構の保全対策について提案され、了承されました。
また、外部スロープ(鉄骨、周囲に木を貼り付ける)を付けることが了承されました。
内部の昇降機の方針は、今回の全体整備検討会議で提案される予定でしたが、「23/6/3市民討論会の対応を優先する」として、次回以降に持ち越しになりました。
麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「現天守の記録保存についても工程表に反映して欲しいと何年も前から申し上げているが一向に取り上げてもらえない」と発言があり、次回までに反映することになりました。
小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「地上から大天守地下1階へのバリアフリーのためのスロープ(鉄骨に木仕上げを行う)には違和感を感じている。
一般の人は橋の下をくぐっていく。エントランスが圧迫を受ける感じがある。
3.5mは1階分にあたるので、エレベータ―使った方がよいのではないか。エレベータ―とスロープ併用しては」と述べました。
小鹿主幹は「『エレベータ―をつける』選択肢を検討したが、今はスロープを設置するのが一番ベストだとして掲げている。バリアフリー対応はスロープで実施したい。」と述べました。
座長の瀬口哲生・名古屋市立大学名誉教授は「どういう視点で一番ベストとしたのか」と質問すると、小鹿主幹は「大変失礼ですが、考えを書くべきか宿題としたい」と反発した後、「車いすを利用する人はスロープであれば非常時にもスムーズに避難対応ができるため。また、小天守前の石段の上にスロープ設置が難しいため」と述べました。
最後に、オブザーバーの渋谷啓一・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「木造天守整備計画は歴史建造物の復元だが、その下の遺構を守ってから上を復元するのが前提だ。
下の石垣の保存方針を踏まえた形の基本計画が出来上がってきた。皆様のご努力のたまものだ。しっかりと遺構を守った上で整備してほしい」と述べました。
一方、オブザーバーの平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「変遷する社会の中で名古屋城跡の歴史や文化をどう将来に引き継ぐか。
木造天守の再現は大きな事業だが、それが全体として事業内容に関係してくる。
現在立っている天守にも歴史と文化が刻まれている。同じ場所に再建を検討しようとしている。同時には存在できない。
苦渋の決断で現天守を解体せざるを得ないなら、事業の全体像を考えて、おおまかなスケジュールだけでなく、相当細かい手順がこれから検討が必要。
名古屋城の歴史文化をどう伝えていくか。遺構保存、できたものをどう見せるかを超えて、事業そのものをどう見せるか。プラン、デザイン 統合的に取り組んでいくか。
繰り返しになるが、基本計画ができたといって、そのままにやらないといけないわけではない。ベースにしてさらに検討、修正するべき方向性もあるかもしれない。いろんな事情が出てくるなかで細かく検討していけばいい」と述べ、渋谷調査官とは若干ニュアンスが異なる発言をしました。
皆見秀久・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室室長補佐は「文化財保存の観点から、遺構を必要以上に改変せず、だれもが名古屋城を訪れ、特別史跡のすばらしさを感じれるようにしてもらいたい。活発なご議論を行い、様々な人と話しあい、保存と活用が図られるようにしてほしい」と述べました。
終了後、上田所長はマスコミから「木造天守整備基本計画について『文化庁への提出が遅れる見通しになった』でよいか」と何度も問われましたが、「『遅れる』というのは、目標があってそれが延びたというもの。
文化庁への提出は、『なるべく早く』としていただけで、いつまでとは決めておらず、『遅れる』ではない」と詭弁を弄しました。
2020/1/25に障害者団体が主催した名古屋城バリアフリーシンポで、森本章夫・名古屋城総合事務所主幹(当時)は、「2018年5月に『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を定め、史実に忠実するためエレベーターを設置せず、可能な限り上層階まで昇ることができるよう目指し、現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保証するため新技術を開発するとした。これをバイブルとして努力している。」と述べています。
https://ombuds.exblog.jp/27952255/
横井利明市議はブログで「名古屋城昇降機は23/3/20に『上からの指示』で『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を撤回し、1階以上に昇降機を設置しないと決まっていた」「自民党会派だけでなく、民主、公明会派にも説明したとうかがっている」と記載しています。
仮に市議がブログに事実に反したことを記載したのであれば問題です。
もっと問題なのは、市が、市議と全体整備検討会議への説明を使い分けていた(2枚舌)場合です。
23/6/11横井市議ブログでは以下記載があります。
http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2567349.html
にもかかわらず、突如として「天の声」で本年3月20日にバリアフリーの方針を撤回。市長の指示書に従って事務を進めていた担当者は、すでにMHIエアロスペースプロダクションの選定を済ませるなどしていたことから大混乱に陥った。
事実関係は、市当局を追及しても出てこないのではないでしょうか。
市議会は、少なくとも今こそ100条委員会を開き、どうしてこのような市民討論会を開くことになったのかだけでなく、MHIエアロスペースプロダクションの出頭を求め、事実関係を明らかにしてもらいたいです。
当然、市職員に対し、『上からの指示』の具体的な氏名、内容も明らかにする必要があります。
また、自民(20人)、民主(17人)、公明(12人)合計で49名(72%)と、議員総数68名の2/3を超えます。地方自治法には様々な手段が記載されているので、色々検討されてはどうでしょうか。
さらに、文化庁の平澤調査官は「現在立っている天守にも歴史と文化が刻まれている」と明言しました。
現天守と木造天守が同時には存在できない以上、情報を市民に公開した上で、あらためて方針を問うてはどうでしょうか。「市民の宝」名古屋城の今後を考えることは、焦る必要が全くありません。
①木造復元+5階まで大型エレベーター+外部スロープ
②木造復元+5階まで小型昇降機+外部スロープ
③木造復元+1階まで小型昇降機+外部スロープ
④木造復元+昇降機無し 人を入れない
⑤現天守を耐震改修+最上階まで大型エレベーター
今後の予定
・23/6/13(火)10:00~12:00 名古屋市役所前
差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会(主催:名古屋城木造天守に EV設置を実現する実行委員会)
https://www.dpi-japan.org/blog/workinggroup/traffic/nagoya-city-hall-protest-meeting/
・23/6/14(水)13時~ 名古屋市議会総務環境委員会
本市における人権に対する認識等について(スポーツ市民局関係)
・23/6/15(木)9時半~ 名古屋市議会財政福祉委員会
障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について(健康福祉局関係)
23/6/15(木)15時半~ 名古屋市議会経済水道委員会
名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会
https://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-1-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm
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