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名古屋市 公共事業再評価は国土交通省所管交付金・事業のみ対象

23/10/17に名古屋市は令和5年度第1回名古屋市公共事業評価監視委員懇談会を開催しましたが、対象が国土交通省からの社会資本整備総合交付金の事業と、国土交通省により評価の実施が義務づけられている上記以外の事業評価のみとなっているため、事業採択から5年以上未着工となっている名古屋城木造復元事業については対象となりませんでした。

・23/10/17 令和5年度第1回名古屋市公共事業評価監視委員懇談会 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/231017.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/231017-1.pdf

国土交通省は、事業採択後一定期間が経過した時点で未着工の事業に関し、再評価対象事業とし、事業評価監視委員会を設置しています。
https://www.mlit.go.jp/tec/hyouka/public/09_public_01c.html

同様に、各地方自治体でも、国庫補助金事業について、政策再評価法に基づき公共事業再評価を行い、地方自治体が補助事業を中断した場合、国は補助金等の返還を求めることがありません。
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/082/79000469/79000469.html

また、自治体によっては全ての公共事業に関して事前評価・再評価・事後評価しているところもあります。
愛知県は県が主体となって実施するすべての公共事業を対象に、事業評価(事前評価・再評価・事後評価)をしています。
・愛知県の公共事業評価
 https://www.pref.aichi.jp/kensetsu-kikaku/hyoka/hyoka_toppage.html

開催に先立ち、以前の「名古屋市公共事業評価監視委員会」の設置要綱ならびに現在の「名古屋市公共事業評価監視委員懇談会」開催要綱、さらに変更の経緯を担当の緑政土木局企画経理課に問い合わせて入手しました。
名古屋市「懇談会」対象は、国土交通省からの社会資本整備総合交付金の事業と、国土交通省により評価の実施が義務づけられている上記以外の事業評価のみでした。

・名古屋市公共事業評価監視委員会設置要綱(1998年12月1日~)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/kanshiiinkai.pdf
・名古屋市公共事業評価監視委員懇談会開催要綱(2014年4月1日~)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/kanshikondan.pdf
・名古屋市公共事業評価監視委員懇談会
 https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/53-10-4-0-0-0-0-0-0-0.html

平成10年12月に名古屋市公共事業評価監視委員会が設置されましたが、当時名古屋市全体で附属機関及び附属機関に類する機関等について、活動実態を踏まえ、附属機関と位置づけるもの、懇談会と位置づけるものに整理が進められており、公共事業評価監視委員会については懇談会と整理し、平成26年から名古屋市公共事業評価監視委員懇談会を開始したとのこと。

・名古屋市審議会の設置及び運営に関する指針
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shingishishin.pdf

23/10/17「懇談会」での録音・録画は禁止されました。
傍聴者は名古屋市民オンブズマン事務局員1名のみ。
23/10/17開催の「懇談会」対象は3件。社会資本整備総合交付金事業は「東山公園の魅力向上」のみ。
国土交通省所管公共事業は、「名古屋鉄道名古屋本線連続立体交差事業(桜駅~本星崎駅間)」「中川運河上流地区における浸水対策」のみでした。

名鉄連続立体交差事業については、3回目の事業評価となっています。
事業期間は未定(着工準備中)ですが、そのことを委員が認識していないような発言までありました。
傍聴者は名古屋市民オンブズマン事務局員1名のみと、市民・報道機関の注目度が極めて低かったです。
事前に対象事業を広く知らせる等の方法が必要ではないでしょうか。


なお、2004年に全国市民オンブズマン連絡会議が調査したところ、2003年度に名古屋市公共事業評価監視委員会が再評価の対象にした事業は31件7806億100万円でしたが、中止(休止)が決定された事業は0件でした。

・2004年全国市民オンブズマン函館大会 資料 弁護士大川隆司
 公共事業再評価制度の実効性を検証する
 -全体会議及び公共事業分科会への報告
 https://www.ombudsman.jp/taikai/04saihyouka.pdf


名古屋城木造復元事業の事業採択がいつなのかははっきりしませんが、17/5/9に竹中工務店と「基本協定」「基本設計契約書」を結んで早6年半。
いまだに着工のメドはたっていません。
23/3/14名古屋市議会経済水道委員会で天守閣整備担当主幹は「順調にいって2032年度」と発言しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230314-1.pdf
また、23/6/3市民討論会での障害者への差別発言問題の検証委員会が開催されており、佐治独歩・名古屋市観光文化交流局長は「一連の検証が終わるまで名古屋城木造復元事業を進めない」と明言しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230615-5.pdf

先述した愛知県の事業評価制度によれば、事業採択から5年未着工で再評価の対象となり、愛知県事業評価監視委員会の意見を聴き、対応方針を決定します。
https://www.pref.aichi.jp/kensetsu-kikaku/hyoka/hyoka_toppage.html

差別発言問題の検証がどうなるかわかりませんが、バリアフリー対策、2方向避難、耐震、耐火問題、緊急時避難問題、さらには人数制限ならびに収益性の問題など、課題は山積みです。

名古屋城木造復元事業は「国・県から補助金をもらわない」方針を示しているため、現在の名古屋市の事業評価制度には乗ってきません。
名古屋市は、せめて愛知県並に「すべての公共事業」を外部有識者からなる再評価委員会で評価し直すべきではないでしょうか。
それには名古屋市公共事業評価監視委員懇談会の位置づけを見直す必要があります。
「すべての公共事業」は難しくとも、少なくとも名古屋城木造復元事業を外部有識者からなる再評価委員会で評価し直すべきだと考えます。


なお、第2回名古屋市公共事業評価監視委員懇談会は令和5年11月7日(火)午後1時30分から名古屋市役所西庁舎12階 西12A会議室で開催されます。傍聴可。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/ryokuseidoboku/0000168668.html


今後の予定
・23/11/6(月)10時~ 石垣・埋蔵文化財部会(能楽堂)
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kankobunkakoryu/0000168755.html
・23/11/13(月)15時半~ 取材のウラ側 どうする?どうなる?名古屋城木造復元
 https://www.chunichi-culture.com/programs/program_201207.html
 https://www.chunichi-culture.com/programs/program_201213.html
・23/11/25(土)14時~ 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会 市政資料館
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・23/12/16(土)13時40分~ 市政出前トーク「名古屋城天守閣の整備」 市政資料館
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle




・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

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