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全国の障害がある議員が名古屋城視察と差別発言ヒアリング

全国の障害がある議員らで構成する「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」の議員ら約20名が23/7/25に名古屋城を訪れ、名古屋城木造復元事業の視察ならびに23/6/3バリアフリー市民討論会についてのヒアリングを、市ならびに「名古屋城木造天守にEV設置を実現する実行委員会」に対して行いました。

・23/7/25 障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク
 記者会見資料
 ~障害者差別解消法第7条に抵触する可能性を正しく報道してください~
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725.pdf
 
・23/7/25 名古屋市民オンブズマン配付資料
 名古屋城バリアフリー市民討論会はなぜ開催されたか
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725-2.pdf
 
議員らはまず名古屋城を視察した上で、階段体験館を視察しました。

続いて、名古屋市からの説明を非公開で受けました。

・23/7/25 名古屋市説明資料(すすめるネットワークから情報提供) 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725-1.pdf
 
その後、名古屋城木造天守にEV設置を実現する実行委員会の斎藤縣三氏から、これまでの概略の説明があり、23/6/3バリアフリー市民討論会の動画のダイジェスト版を見た上で、名古屋市民オンブズマンの内田隆が、「名古屋城バリアフリー市民討論会はなぜ開催されたか」というタイトルで10分程度発言しました。


河村たかし名古屋市長は、自分で世界公募すると決めた新技術国際コンペの結果が2022年12月に出てから「新技術は認めない」と言い出した。
市長は「全く認めない」「3階までしか認めない」。次に「1、 2階までしか認めない」など日によって発言をコロコロ変えた。
その後、熱狂的な木造復元支持者から市長、副市長や市担当者への電話が殺到し、市長は「新技術は付けない」と思いを固めてしまった。
過去数年間「新技術で最低でも1階、なるべく最上階を目指す」としてきた観光文化交流局との板挟みになった副市長は「とりあえず1階までにしましょう」と局に命令した。
市長と副市長と局の意見がバラバラになってしまい、形だけでも5000人のアンケートをし、さらに市民討論会という形をとって、最終的に市長の判断を仰ぐと妥協した。
で、大慌てで議会にも文言を諮らずに4月以降アンケートを発送し、6月3日市民討論会を迎えた。
6月3日後のスケジュールも全て決まっており、形だけ討論会を終えた後、6月20日には文化庁に市長が書類を持っていくはずだった。
討論会の中身については、障害当事者が参加するかどうかや差別発言が出たらどうするかなど考える余裕は無かったようだ。


その後、障害がある議員から実行委員会メンバーに多数の質問がありました。
斎藤氏は「新技術の国際コンペを実施しても、(柱や梁を切らないという前提であれば)何一つ変わらないと、当初から国際コンペ自体反対してきたし、最優秀作品は何のバリアフリーでも無いと発言してきた。
ただ、名古屋の障害者団体の中には、この小型昇降機を認めようという人もいるが、最上階まで登るのは当然だというところでは一致している。
刃向かっているのは河村市長ただ一人。
2022年10月日弁連の『明らかに法律違反』という要望に対して名古屋市はいまだに無回答。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
解決は市長退任しかない」と述べました。

参加した舩後靖彦参院議員(れいわ新選組)は
「私の出生地は岐阜。久しぶりに名古屋城を拝見した。
 本来なら懐かしく、かつ郷土の誇らしい城なのに、私たち障害者にとっては正直見るのがつらい建物になっている。
 名古屋城のバリアフリー化を巡る問題で、改めて差別解消の難しさを痛感している。
 難しいからこそ、議員として活動している私達が前面で取り組まなければならないのだと改めて感じている。
 この先どのような形で、差別解消とバリアフリー化を進めていくのか、その方法と案をぜひお聞かせください。」
と述べました。

ヒアリング終了後、記者会見が開かれました。

「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」代表代行の村上博・熊本市議は「今回の問題は、エレベーターとバリアフリーと捉えてきたが、市長自らが人権感覚が無いことが一番大きな問題だったことが、地元の障害者のお話を伺って判明して驚いている。
(同じ鉄骨鉄筋コンクリート造の)熊本城が熊本地震で被災後に復興する際、熊本城総合事務所が障害者団体に呼びかけ、どうしたらよいかということで3回意見交換会を行った。
最終的に完成するのは30年近くかかるが、熊本城総合事務所の基本的な姿勢は、誰もが訪れることができる熊本城ということで、名古屋市長の姿勢と全く違っていた。
熊本城は当然天守閣最上階までいけるようにエレベーターを付けている。」と述べました。

「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」事務局長の古庄和秀・大牟田市議会副議長は「各種報道は『木造復元vsバリアフリー化』の構造になっているが、日本は国連障害者権利条約を批准しており、障害者差別解消法も施行されている。障害ある人ない人が平等な関係にならないといけない。
『合理的配慮』の前に『事前的環境整備』が必要だ。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/honbun.html
極端な言い方をすれば、エレベーターをつけなければ、階段を外すべきだ。新築なので平等にすべき」と述べました。

また、障害者議員は「ヒアリングで名古屋市は『バリアフリーの詳細は、市民討論会の検証を行ってから。現時点では何も申し上げられない』としか述べなかった。
今回、介助者に階段体験館に登ってもらったが、47度の急勾配で高齢者に危険であることがわかった。どこの視点に立って再建するのか。
また、障害者差別解消法7条に抵触する可能性を質問したが、回答は無かった。
質疑応答含め30分の予定中、名古屋市から25分間説明があり、ほとんど質問出来なかった。
地元障害者団体から、『ぜひ外部から名古屋市議会に抗議やメッセージを送って欲しい』という声があったので、今後考えたい。」と述べました。


・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

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