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名古屋市8区小学校部活 価格で選んだ新委託先に関する苦情 2ヶ月で少なくとも80件

名古屋市内8区の小学校の部活運営企業が2024年4月から実績のない業者に新しく変わったのですが、2024/4/1-5/20までで新委託先に関する苦情が80件あったことが、名古屋市民オンブズマンの情報公開請求で判明しました。

・決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/240531-1.pdf
・情報提供
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/240531-2.pdf
・名古屋市立小学校における新たな運動・文化活動運営事業者
 公募プロポーザル審査結果(西・中村・南・天白)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/bu22.pdf
・名古屋市立小学校における新たな運動・文化活動運営事業者
 公募プロポーザル審査結果(熱田・港・守山・名東)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/bu23.pdf
・令和6年度小学校における新たな運動文化活動苦情・
 トラブル一覧(西区始め8区)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/bu24.pdf

開示された「審査結果」によれば、委員5名が各評価項目に基づき採点しています。
これまで受託してきたLCNフェローズコンソーシアムは、名東区以外はいずれも技研・地域共育推進支援共同体より採点がよかったにも関わらず、価格点がLCNが0点、技研が80点となり、合計点では技研がLCNを上回り、
しかもLCNは最低基準を満たさないとしてLCNを選定しませんでした。
(名東区はそもそもLCNの見積金額が委託金額の上限を超えたため無効とのこと)

開示された苦情は「指導者が来ない」「名簿がない」「スケジュールを出すのが遅い」「運営補助員が何の研修も説明も受けていない」「児童間トラブル(喧嘩)があり、問い合わせたいが全く連絡が取れない」「指導者からの暴言」などさんざんです。

今回、「委託金額の上限」「各業者の見積金額」を情報公開し忘れたのでなんとも言えませんが、
1)そもそも小学校の部活を民間委託することの妥当性
2)民間委託することが妥当だとしても、「委託金額の上限」の妥当性
3)採点での価格点を80点も付けることの妥当性
4)委託先の「安かろう、悪かろう」の防止策
が問われると思います。

愛知県では「公契約条例」があり、公契約の適正化を図ると共に、県民に提供させるサービスの品質確保のため、予定価格の決定等の事務を適切に行う、社会的な価値の実現を図る、公契約の下で働く労働者等の労働環境の整備を図る、としております。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kaikeikanri/joureigaiyou.html

名古屋市は、市議会で公契約条例について長年議論はされていますが、ずっと検討中です。

・令和5年10月11日 名古屋市議会本会議
 吉田茂・財政福祉委員長
1、公契約条例の制定については、事業者の視点はもちろん、労働者にとって安心・安全に働くことができる環境をつくるという視点が重要であることから、賃金下限設定の有無も含め、今まで以上に詳細な調査を基に条例制定に向けて検討を進めること

本件は東海テレビが24/5/31に報道しています。

・2024/05/31 12:13配信 東海テレビ
 「研修受けてない指導者いる」等…小学校部活動の民間委託で保護者等から苦情相次ぐ 市が委託先に90件の指導
 https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20240531_34545
・24/5/31(金) 21:01配信 東海テレビ
 業者の杜撰さ明らかに…名古屋市立小学校の部活動民間委託「来るはずの指導者が来ない」保護者等から苦情殺到
 https://news.yahoo.co.jp/articles/51749424bd57f9cddabd70e20d97cbed9bcf57df
・2024/05/31 21:09配信 東海テレビ
 “指導員が指導せずPCで別の仕事”のケースも…名古屋市立小学校の部活動民間委託 業者はなぜ選ばれたのか
 https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20240531_34555

24/6/3河村たかし名古屋市長定例記者会見で、市長は「実績のないところにやらせること自体は必ずしも悪いとはいわない。
役所にも言うが、市長個人でも調べる。
教育委員会の不手際や不正常な状況をちゃんと言いますか?」と述べました。
・24/6/3 河村たかし名古屋市長定例記者会見(部活動部分)
 名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/240603.pdf
 
2009年4月から市長に就任してはや15年を過ぎました。
民間委託に伴う混乱は、教育委員会だけではありません。
参考:なごやボランティア・NPOセンター運営審議会 議事録(平成20年11月12日)
 (名古屋市に情報公開請求して入手)
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/npo/npo081112.pdf 

河村市長による「教育委員会バッシング」に留まらず、なぜ民間委託によるサービス低下が繰り返し行われるのか、15年に及ぶ河村市政はなぜ放置し続けてきたのか、河村市長の「市民税減税政策」の影響の有無が問われると思います。

結局被害者は、小学生であり市民です。

そんな中、別の8区(千種区、東区、北区、中区、昭和区、瑞穂区、中川区、緑区)の部活に関しても24/6/4-7/17まで公募型プロポーザルがなされることが発表されました。
・名古屋市立小学校における新たな運動・文化活動運営事業実施業務委託 事業者公募に関するプロポーザルの実施について
 https://www.city.nagoya.jp/kyoiku/page/0000175424.html

今回の技研のトラブルをどこまで反映しているのかがわかりません。
再発防止策をとってから、あらためて公募型プロポーザルを行うか、別の方法を模索してもよいのではないでしょうか。

【訂正】24/6/11 11:00追記
別の8区の公募型プロポーザルの選定評価基準に金額はありませんでした。お詫びして訂正します。


・名古屋市立小学校における新たな運動・文化活動
 https://www.city.nagoya.jp/kyoiku/page/0000129667.html

24/5/31 内田良 名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教授 ヤフコメ
https://news.yahoo.co.jp/articles/51749424bd57f9cddabd70e20d97cbed9bcf57df/comments


名古屋市民オンブズマン 名古屋市教育委員会
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/kyoiku/index.htm


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