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竹林

竹林-3-のコピー

千葉県北部、下総台地に生まれ育った私の身近なフィールドには竹林が沢山あった。竹林はあって当たり前ながら、特に竹に纏わる色濃いい思い出という程のものでも無く、やがて故郷も離れ時々目にすることがあれば、あっ、あるね、ぐらいのものだった。

東京を経て、その後長く長野県蓼科高原に住むがそこは標高1500mの高地、竹が自生している訳もない。あるのは熊笹、葉が竹よりは大きいが似ているので、お前も同じ仲間かよと、その下に隠れてるかも知れないキノコ取りの邪魔者扱いなどしつつもそいつは憎めないヤツだったかな。あと食べると美味しい根曲竹というのもあった。

そんな訳で、竹の存在は長いこと忘れた。竹は無くともそれに余りある当地 =高原の自然にたっぷり浸かっていたからね。それらの思い出も綴り出したら切りがないけど。

ところが歳を重ねるに付け、竹のことが何かしら頭に浮かぶようになる。制作中に「この部分は今まで通りならこう作るんだが、もし竹が素材だとどうなるんだろう。うん!!   そのほうが面白いかも知れないね」」などと・・・

竹林を再びみたい気持ちが次第に強くなる。いつだったか京都旅行に行った時も、実は隠れた理由は嵯峨野の竹林訪問だったかも知れないと後で気がついたくらいだ。

果たして、私は還暦を過ぎ故郷に戻った。車で少しでもそこら辺を走れば、竹林は至る所で目にする環境に舞い戻った。目にしたある所で車を止め竹林に入る.....

懐かしさと、やっぱり自分は竹林が好きだったのだと実感する。竹は木ではないが、見上げれば鬱蒼と囲まれた居場所感(臨場感)は、匂いや空気感は違うけれど森や林の中にいるのと同等の満足感が得られる。(人工的な公園を作るより、竹害などと言わず整備だけしてそのまま天然公園とした方が、余程人間の健康と良好な精神状態維持に貢献する事かと思う)


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