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好きなこと 秋の散歩

好きなこと、を具体的にことばにしたら、どうなるだろう。
それを読んだ自分は、どんなふうに感じ、思うのだろう。
そんな興味が沸いてきました。
なので、しばらく「好きなこと」を書こうと思います。

・・・わたしの好きなこと・・・

秋。高い高い空。内側から静かにひかっているような青。

昼下がり、好きな公園へ行って、散歩する。木々の葉っぱは、明るい茶色やミルクコーヒーみたいな色の中に、くすんだ赤や黄色もまじる。このあたりは暖かいので、紅葉はあまり鮮やかじゃない。
平日なので人はまばらで、おじいさん、おばあさん、赤ちゃんを連れたお母さんが遠くに見える。

枯れ葉を踏む。カシャ、カシャ、と音がする。並木の向こうで、川が流れている。音までは聞こえない。枯れ葉が一枚舞い落ちる。これも、音は聞こえない。
風が無いので、コートではちょっと暑いくらい。枯れ葉がぬくもって、日なたのいい匂いがする。

すこしずつ歩いては、あたりを見まわす。芝生の丘、遊具、散歩道、低木のしげみ。枯れたあじさいの花たち。
また枯れ葉が、今度は2,3枚、舞い落ちる。赤いのが2枚、茶色いのが1枚。赤いのはふくらんだスペードの形で、左右にゆれながら落ちる。茶色いのは細長い形で、ひらひらひらとふるわせながら落ちる。
枝の陰が差すけれど、葉が落ちているので、まとまった木陰にはならない。陽のあたる芝生。あかるい生成り色。

ときどき鳥が鳴く。2,3種類の小鳥。冬になると聞こえるキーイという声はまだ聞こえない。
河原に降りていこうかな。ちょっと迷って、やめる。
ベンチがあると、見える風景を知りたくて、ついつい座ってみてしまう。持ってきたお茶をちょこっと飲んでみたり、SNSを覗いてみたり。文庫本や図書館本を持って行って、少しずつ読みすすめることもある。

足下に小さな赤い実を見つける。どこから来たのか探してみる。
意外な場所に薄がかたまって生えていて、細かな白金色のきらきらに見とれる。

うろうろ、ちょこちょこ、すこし歩いては立ち止まり、のぞき込み、座り込み、匂いを嗅いでみたり、目をとじてみたり、ぼーっとしてみたり。
そういう自由な散歩が、わたしの好きなこと。

※「みんなのフォトギャラリー」から山根あきらさんのお写真をサムネイルに使わせていただきました。文章にぴったりの素敵なお写真だと思いました。ありがとうございます。

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